高橋大輔、荒川静香をはじめとするスケーターと増田貴久(NEWS)らアーティストが共演する新たなアイスショー「The MELT-Cross of Roots-」が5月2日、KOSÉ新横浜スケートセンターで開幕しました。2017年に始まった日本文化とスケートを融合させたエンターテインメント「氷艶 -hyoen-」を生み出してきた“カンパニー”が贈る新機軸のアイスショーで、さまざまなジャンルの才能たちが、白く冷たいスケートリンクを舞台に、熱く“溶け合う”90分間ノンストップのパフォーマンスを繰り広げました。
さまざまな境界線を溶かして
今回誕生した「The MELT-Cross of Roots-」は、大がかりな照明や音響効果、舞台装置を用い、スケーターがセリフや歌にも挑むなど、高い物語性を誇る「氷艶」シリーズとは異なり、スケーターたちは滑り、アーティストたちは歌やリーディングとそれぞれの強みを活かしたプログラムで構成された。初日の2日は、高橋大輔、荒川静香、村元哉中、織田信成、田中刑事、友野一希、中田璃士ら17人のスケーターと、増田貴久、大野拓朗、エリアンナ、財木琢磨、青山凌大らアーティストが集結した。構成・演出・振付は尾上菊之丞、演出補佐・振付に村元哉中が名を連ねた。
開演時刻の少し前、リンクの上には出演者たちが1人、2人と登場し、ウォーミングアップをはじめた。おだやかなBGMのなか、氷を削るエッジの音が観客の耳に届く。やがてアップが終わり、氷から誰もいなくなると、音楽のボリュームが大きくなり、ショーが幕を開けた。「出演者同士、リンクと観客など、さまざまな境界線を溶かす」というコンセプトの公演だけあって、その幕開けにぴったりなショーがいつのまにか始まるシームレスな演出だった。神秘的な雰囲気のなかで繰り広げられるショーの前半で、出色だったのは、荒川静香が披露した「祈りにみちて」だ。二胡奏者ウェイウェイ・ウーと平原綾香のコラボレーション曲と伸びやかな荒川の滑りの相性の良さが格別だった。
新たな息吹が吹き込まれた「氷艶」ナンバー
大野拓朗、財木琢磨、青山凌大が観客にスマートフォンを使った演出協力を仰いだり、中野耀司と大島光翔がラップに乗って対決する“リリックスケートバトル”を行ったりと、楽しいコーナーが差しはさまれたのち、「氷艶」シリーズのナンバーが装いも新たに披露された。
まずは、拍子木の音が響いて、メドレーの始まりからいきなり会場にどよめきが起こった。高橋大輔が「破沙羅」で初めての陸ダンスを踊った楽曲だ。今回氷上のプログラムに移し替え、妖艶さと鋭さをまとって初披露。そして、高橋とクロスするように中田璃士が登場。9年前の「破沙羅」では子役で出演していた中田が、いまや世界ジュニアチャンピオンとなり、かつて高橋が演じた“義経”役を堂々と引き継いだ。2人が手をとり合ったシーンは感慨深いものがあった。
増田貴久とかなだいの圧巻コラボ「喜怒哀楽」
「月光かりの如く」(2019)、「十字星のキセキ」(2024)と続いたあと披露されたのは、「鏡紋の夜叉」(2025)から吉備津彦のナンバーだった。高橋大輔とダブル主演を務めた増田貴久が、驚くべき身体能力とバランス感覚でスケーティング技術を身に付け、スケート靴で堂々と演じていたのは記憶に新しい。今回も増田はマイクを手にスケート靴で氷上を滑りながら歌声を響かせ、田中刑事らと思い出のナンバーを披露した。続いて、増田は自身のソロ曲「喜怒哀楽」を熱唱。アカペラの歌い出しから大きな拍手が沸き起こり、“かなだい”の2人が目まぐるしく変わるテンポに乗って氷上で自在に踊りまくると、この日一番の盛り上がりを見せた。後半には、さらに自身のナンバーから、「暁-AKATSUKI-」を久しぶりに披露し、伸びやかな歌声と織田信成のクリーンなジャンプやあざやかなステップが共鳴し、深い印象を残した。
つながる縁、生まれる新しい魅力
90分間ノンストップのショーのクライマックスで披露されたのは、「氷艶」シリーズの第1作「破沙羅」(2017年)からのオリジナル楽曲だった。「破沙羅」に出演していた高橋大輔、荒川静香、織田信成の3人から中田璃士へと滑り継ぐシーンは、フィギュアスケートの新時代を担うホープへ注がれる温かい思いが存分に伝わってきた。何よりもこの場面を特別なものにしたのは、「破沙羅」で高橋とダブル主演した歌舞伎俳優・松本幸四郎(当時:市川染五郎)が特別音声出演したことにちがいない。「はじまりは1つの思いだった。異なるものがぶつかる、混じり合い、やがて溶け合って、さまざまな色が生まれた」と圧倒的な存在感をもつ声が場内に響き渡ると、厳かな雰囲気が空間を満たした。9年前に、想像もつかないスケールで新しいショーを創造した情熱は、たくさんの人々によって、つながって、この日この時を迎えた。
最後は「The MELT」のオリジナル楽曲に乗って、全員がリンクを周回。「異なるルーツを持つ表現者たちの個性が出逢い、交差し、身体が、歌声が、共鳴しながらひとつの波動となって新しい熱を生む」というコンセプトのもと、誕生した「The MELT」。新しい魅力にあふれたショーは、5月5日まで、KOSÉ新横浜スケートセンターで開催される(アーティストは日替わり出演)。











