プロスケーターとしてアイスショーで活躍中の宇野昌磨さんと本田真凜さんが5月22日、アイスダンスチームを結成して新シーズンから選手として競技に参加することを発表しました。チームのSNSで第一声を発表し、同日午後に2人そろって、東京ミッドタウン日比谷内の「LEXUS MEETS…」で記者会見に臨みました。新チームは宇野さんのシングル時代と同じくトヨタ自動車に所属。会見は、同社のYouTubeチャンネル「トヨタイムズスポーツ」で生配信されました。
2024年10月に挑戦を決意、2030年のオリンピックを目指す
進行を務める「トヨタイムズスポーツ」の森田京之介アナウンサーが2人を呼び込むと、まずは宇野昌磨が「この度、私たちはアイスダンスチームを結成し、競技へ挑戦することを決意しました。そして、2024年10月ごろに2人でこの決断をし、アイスダンスに真剣に取り組み今日まで歩んできました」と、新たにアイスダンサーとして2人で競技復帰することを報告した。そのまま今度は本田真凜が「私たちは今年の秋の大会より選手として競技に出場するために準備を進めています。2人で掲げた目標を達成できるように、日々練習を積み重ねていきたいなと思っています」と続けた。
目標については、「とても大事な部分なので2人の口から」と、せーのと声を合わせて「2030年のオリンピックに出場することです」と発表した。
宇野は、男子シングルの選手として平昌・北京2大会連続計3つのメダルを獲得、日本男子初の世界選手権連覇を達成するなど、日本男子をけん引したのち2024年のシーズン終了後に引退。いっぽうの本田は、世界ジュニア選手権で優勝するなど早くから頭角を現し、全日本選手権やグランプリシリーズなどに出場、2024年1月に競技を離れていた。
引退後、2人は2025年より宇野がプロデュースを手がけるアイスショー「Ice Brave」でアイスダンスのプログラムを披露していたが、宇野から本田へ「オリンピックを目指して一緒にアイスダンスをやりませんか」と提案し、アイスショーの先に競技を見据えて取り組んできたという。
誘いを受けた本田は、「強い覚悟が持てるまで少しだけ時間を置いたんですけど、自分のなかで大きな覚悟が決まったので、一緒に目指したいですと伝えさせていただきました」と言い、「小さいころからリスペクトしていた宇野選手に、こんな提案をしていただいて、そのうれしさももちろんありました。現役を引退してから、スケート選手だった自分というよりも、スケート以外の部分でも何か自分を認めてもらわなきゃいけないと、必死に次のステップに踏み出し、好きなことから、そうかわからないものまで、10年先まで考えて計画を立てて歩んでいるところだったんですけど、自分が本当にいましたいこと、やるべきことは、本心は何なのかとよく考えたときに、私はまだスケートで叶えなきゃいけないことがあるんだと感じました。昌磨くんとだったら、それが実現できるかもしれないし、足を引っ張らないように必死に覚悟を持ってやっていかないとなという気持ちでした」と、挑戦を決めた当時の心境を振り返った。
本田の思いを聞いた宇野は、「引退会見もこの場で、すごく昔のように感じます。でも、この2年間すごく濃いいろんな経験をさせていただきました。その1つ1つの経験を全部いったん止めて競技に挑戦するというよりも、すべてを背負って、自分の一部としてまた競技に向き合っていきたい」と引退からの日々に思いを馳せつつ、「真凜さんが足を引っ張らないようにと言ってくれていましたが、いちばん覚悟を持って練習に取り組んで、ついて行かなければいけないのは、間違いなくぼくのほうだと自覚しています。ぼくだけじゃなくて、スケートを知っている人ほど、本田真凜さんがどれだけスケートにおいて素晴らしいか(知っている)、そしてぼくはスケート以外の部分も見ていて、自分で計画を立ててどうなっていきたいか、いま何をやるべきかを明確にこなしている姿を見て、(引退後)1ヵ月ダラダラした自分は、いまのままではいけないとすごく感化されて歩み始めた。シングルでは何も心残りがなかったんですけど、シングルとはまた別の場所で、アイスダンスというジャンプがない世界で、表現力という--本田真凜さんはぼくがリスペクトするスケーターだからこそ、そのパートナーにふさわしいと自分でも思える、見る人全員に(本田のパートナーが)ぼくでよかったねと言っていただける選手生活にしたいと、いまは決意を改めて持っています」と、本田へのリスペクトに熱弁を振るった。
きっかけは互いのスケートへの憧れ アイスダンスのメッカでも練習
今年に入って、カナダ・モントリオールのアイスダンス・アカデミー・オブ・モントリオールを訪れてトレーニングを受けたという2人。所属チームが3大会連続でオリンピック・チャンピオンとなり、2015年以降世界選手権制覇を続けているアイスダンスのメッカだ。会見では、アイスダンスに取り組み始めたころからカナダ修行までの日々をまとめたVTRや、お互いのスケートの魅力を語るコメントを見ながら、挑戦の日々を振り返った。
最後に改めて、「この会見を通して、私のスケートをたくさん褒めていただいてすごくうれしい気持ちと、私も昌磨くんのスケートが本当に好きで、これだけたくさんの方が昌磨くんのスケートが好きだということにも表れていると思うんですけど、それだけ魅力的なスケートをする選手なので、私も同じように負けずにがんばっていきたい。練習でミスをすることも私はたくさんあるので、すごく上手いんじゃないかとハードルが上がっていっちゃわないか心配なんですけど、お互いに高め合いながら、2024年10月から準備期間を設けて競技に向き合っていける時間を過ごしてきたので、試合に出るからには勝ちを目指してがんばっていきたいなと思います」と決意を語った本田。
そして宇野が、「ここにいるみなさんも真凜のスケートが素晴らしいものだとわかってくれているのは承知のうえで、でもまだみなさんはわかりきっていないと思います。もっともっとその素晴らしさを、ぼくがパートナーであることでより引き出して、より見せられるように。もう1人ではなく、2人での競技になっていくので、強い気持ちをこめて練習していきます。また、競技なので勝ちにいくのは間違いないんですけれども、小さいときに始めたスケートの延長線上で競技をして、世界で戦うというところから一度引退して、そしてぼくたちがいろいろな経験をしたうえで、再び選択して競技という舞台に戻っていこうと決めた。この選択は、(選手として競技に出るという)結果は同じなんですけど、大きく違うと思う。もちろんいい結果を目指します。勝ちにもいきます。最善を尽くして覚悟を持ってやるんですけど、やっぱりそこに2人の楽しさがあって、見る人が楽しかったり、おもしろいと思ってもらえるスケーター、人間性でいられるように、これからも日々精進していきたいと思います」と締めくくった。
全日本選手権の予選会に向けて準備を進め、新チームのコーチや練習拠点、初戦は決まり次第発表される。
次ページでは、会見後半で行われた質疑応答を掲載します。また、5月9日に行われたコラントッテイベントのあとに伺った宇野さんの個別インタビューではアイスダンスへの熱い思いが語られています。ぜひあわせてチェックしてみてください!



