2025年3月10日
「村上佳菜子のフィギュアスケート音楽会」東京は高橋大輔、愛知は鈴木明子、町田樹がスペシャルゲストで登場! 

INTERVIEW 村上佳菜子「ライブならではの驚きと感動を!」

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村上佳菜子さんが司会を務めるコンサート「フィギュアスケート音楽会」。フィギュアスケートのプログラムで使用された音楽を、フルオーケストラの生演奏とゲストをまじえての楽しいトークで届けるスペシャルなコンサートが、今年は東京(ゲスト:高橋大輔さん)と名古屋(ゲスト:鈴木明子さん、町田樹さん)の2都市で開催されます。村上さんに、昨年3月に開催された前回の音楽会を振り返りながら、今回のプログラムや意気込みを語ってもらいました。

リアルな音色の躍動感を感じて

―― 前回、大好評を博した「村上佳菜子のフィギュアスケート音楽会」。東京文化会館で行われた初日(2024年3月16日)は、村上さんのご結婚を祝って、コンサートの冒頭でいきなり「結婚行進曲」が流れるサプライズがあったり、素敵な音楽と楽しいトークにあふれたコンサートでしたが、司会をしてみていかがでしたか。

「初めての司会ということで、やはりすごく緊張して、足も震えながら登場したんですけど、指揮の田中祐子さんをはじめ、みなさんのおかげですごく楽しい音楽会になったと思います。舞台袖で待っている間も、音楽に聴き入ってしまい、ついつい出遅れそうになりました。(笑)リハーサルでは、私も客席から演奏を聞かせていただいたんですけれども、録音された音源では伝わってこない、リアルな音色の躍動感を感じることができた最高の音楽会だったなって感じます」

―― さらに、ゲストの高橋大輔さんのお誕生日だったということで、村上さんが自ら指揮台に上がって、「Happy Birthday」を指揮する演出もありました。

「指揮はめちゃくちゃ難しかったです。私たちスケーターは、音楽に合わせて振りをしますが、指揮は、音楽を聴いていると、どんどん遅くなってしまうんです! 1・2・3、1・2・3とそれを崩さないようにやっていかないとだめなんです。指揮者はオーケストラの皆さんを誘導し、スケーターは音楽に誘導されて表現する。こんなにも違うことが大きな発見でした」

―― ゲストの高橋大輔さんとのやりとりはいかがでしたか。

「アイスショー、とくに高橋さんがプロデュースしているショーでは、憧れの『高橋大輔先輩』についていきますというスタンスで参加させてもらっていますが、この音楽会は、『大ちゃん』という感じで、より人間らしい“高橋大輔”を見せてくれる場でもあるかなと思っています。ショーで滑りについて話すことはあっても、こうやって音楽の素晴らしさを皆様と共有しながら、当時の話をする機会はなかなかありませんでした。『ああ、大ちゃんはこういうふうに音楽をとらえていたんだ』とか、『あの当時はこうだったんだ』とか、私も知らなかった話をたくさん聞けたのですごく面白い機会だったと思います」

―― 指揮の田中祐子さんは、指揮だけではなく、トークのほうでもおおいに盛り上げてくださいました。

「最初、クラシック業界はやはり敷居が高いイメージがあったのですが、初めてお話ししたときから、「たぶん私と同じ星の人だ!」と感じるくらい意気投合しました。フィギュアスケートと音楽の融合という点でも、田中さんにクラシックの大事なところをおさえていただきつつ、臨機応変に対応していただいて、「田中さんがいるから大丈夫!」と思って、安心感をもって司会をすることができました」

東京公演:高橋大輔さんのバースデーに開催

―― 2回目の開催となる今年の東京公演は、また高橋大輔さんのお誕生日ですね。前回、村上さんだからこそ聞ける、高橋さんのスケートについての鋭く切り込んだエピソードが明かされました。

「この音楽会では、スケートファンのみなさんにも、『そうだったんだ。知らなかったな』といったお話を引き出せるように私も頑張りたいと思います。同じスケーターだからこそ思っていた疑問とか、私が好きだったポイントを聞いたりできるのは、司会の特権なのかなと思うんです。今も昔も知っているからこそ、聞けることってあるのかなと思います」

―― 今回の予定セットリストを見ると、まず村上さんがシニア1年目に滑った「ジャンピン・ジャック」が入っています。

「私の『ジャンピング・ジャック』は、先生が編集していた音源を使っていたので、じつはフルで聴いたことがないんです。ジャズでポップな音楽ですし、生演奏で聴いたら、どんな発見があるのか楽しみなところです。

シニア1年目は元気でフレッシュな感じで滑ってほしいということで、楽しみながら、遊び心ありつつ振付したプログラムなんです。曲が鳴るまでは緊張しているんですけど、鳴りだしたら、もう楽しくって。(笑)ステップの前にお客様に向かって手を振る振付があったんですけど、グランプリシリーズ1戦目のスケートアメリカに出場したとき、そこでみんなが乗り出して手を振ってくれたり、試合だけど試合じゃないみたいな、初めての経験をした曲でもあります」

―― メンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲 第1楽章」(2011-2012シーズン)については? こちらはマリーナ・ズエワ先生の振付でした。

「それまでドラマティックな音楽が多かったなか、これほど清らかな美しい音楽で滑ることはいままで一度もありませんでした。この曲を滑ったからこそ、オリンピックでドラマティックに滑ることができたので、ここを通らなければ、私の表現力も開いていかなかったのではないかというくらい私にとっては、挑戦の音楽でした。

前回自分のプログラムの曲をオーケストラの演奏で聴いたとき、ここをもっとこういうふうに表現して滑ったらよかったなという思いが生まれました。また、たとえばショーなどで滑る機会があったら、滑りたいなと思ったので、今回もきっとそうなるんだろうなと思っています」

―― 「ムーラン・ルージュ」から「ロクサーヌのタンゴ」も予定されていますが、こちらもいろいろな思いがあるのではないでしょうか。

「この曲は私自身も滑ったんですけど、やはり高橋大輔さんのイメージがすごく強くて、ずっと滑りたいと思いながらも、私にはレベルが高いというイメージがあって、言い出せなかった曲でした。初めて先生に、この曲を提案されたとき、『やったー!』って、飛び跳ねた音楽の1つです。いまでもウォーミングアップのときに、あのステップシークエンスを必ず滑るんです。この曲にかける思いはすごく強いので、生演奏で聴けるなんて贅沢ですよね」

名古屋公演:鈴木明子さんと町田樹さんがゲスト出演

―― 名古屋公演には、ゲストとして鈴木明子さんと町田樹さんが出演されます。

「先日、あっこちゃん(鈴木明子さん)と別のイベントでお会いしたとき、この3人が揃うのは、ソチ・オリンピック以来じゃない?って話になったんです。どんな話ができるか楽しみです。私は司会として、まっちー(町田樹さん)の難しいお話にも対応していかなきゃというプレッシャーも若干ありつつ(笑)、突っ込んだりするのも私しかできないかなと思いつつ、新しいまっちーの部分も見せつつ、いろんなお話を引き出せたらいいなと思っています」

―― 町田樹さんとの出会いは?

「ジュニア時代に一緒に試合に行ったことがあって、それが最初の出会いだったと思うんです。当時は、どちらかというと、やんちゃなイメージがあって、どんどんいろんな経験をして、いまの『町田樹』になったと思うんですけど、その過程を私は見ているので、どういう経験をして、どんなことを感じて、というのを音楽を通して聞けたらいいなと思っています」

―― 鈴木明子さんは愛知の大先輩ですよね。

「私の記憶では、あっこちゃんはトップで走り続けているイメージがあります。逆にあっこちゃんには、私の記憶にない私の記憶がある。私が5歳くらいのとき、膝の上に乗ってたんだよ、とか、シングルアクセルが跳べないって、あっこちゃんに話していたみたいです。(笑)この歴史がないと話せない話かなと思うので、そういうことも含めてお客様と盛り上がれたらいいなと思います」

―― 名古屋公演ならではのプログラムということでは、「愛の讃歌」。

「あっこちゃんが、引退のシーズンに滑った大事な曲だと思うんですけど、ソチに向けて練習してきて、リンクで何度も何度も聴いたり見たりしたプログラムです。あっこちゃんが経験してきたスケートの重みだったり、スケートに対する愛がギュッと詰まったプログラムだったと思うんです。この曲を聴いたときのあっこちゃんの感想を聞くのもすごく楽しみです」

―― それから、「火の鳥」。これは、町田樹さんがソチ・オリンピックのシーズンに滑った曲です。

「『火の鳥』というと、私は中野友加里さんのイメージがずっとありました。それをガラッと変えて見せてくれたのがまっちーだったと思っています。どちらかというと、この曲はもっとクラシック系のイメージがあったんですけど、力強さという部分を、まっちーの世界観で楽しませながら、見せてくれた衝撃的なプログラムでした。マッチーは感受性が豊かで、自分の言葉で表現しているじゃないですか。どんなふうに話してくれるのか聞いているときの表情も私はしっかりチェックしようと思います」

―― このほか、映画「ラヴェンダーの咲く庭で」、「道化師」「カルメン」(東京のみ)、「白鳥の湖」(愛知のみ)、さらには前回に続いて「トゥーランドット」「トスカ」「道」「オペラ座の怪人」も予定されています。

「音楽ファンの皆さんにとっては、もしかしたら数々聞いてきたラインナップかもしれませんが、私たちの話を聞いて、その滑りを見てみたいと思ってくださって、たとえば、映像を探して見てくださったりするかもしれません。知らないうちにスケートファンにもなってくださるのではないかと期待ももちつつ、逆もしかりで、スケートファンの皆さんが、何気なく演技で見ていたけど、こんなに躍動感があって、心震える音楽だったんだと思って、音楽にのめりこんでくださるかもしれません」

―― あらためて、お客様にメッセージをお願いします。

「前回音楽ファンやフィギュアスケートファンの皆さんがたくさん来てくださったと思うんですけど、私でさえ、たくさんの驚きと感動をいただいたので、皆さんもきっと驚きと感動があったのではないかと思うんです。だからこそ、第2回の開催が決まりました。

音楽がないとフィギュアスケートは成り立ちません。切っても切り離せない関係が、こうやってコラボできるのはすごいこと。とくにプロスケーターになってからこそ、そこをより感じるようになったと思っています。やはり生演奏って、生き物と同じ。私たちもショーや試合で滑るときって、同じ曲を滑るんですけれども、やはり毎回ちょっと違うじゃないですか。歌をカバーすると違った魅力を感じるのと同じように、同じ音楽でも、演奏する方によって、ガラッと変わったりするのが面白くて、新しい面が見えてくる。前回と同じ音楽でも、どう感じるのかもすごく楽しみなところです」

―― では、最後に2025年の抱負をお聞かせいただけますか。

「私は昨年11月に30歳になったのですが、30歳を迎えたら新たな世界が見えてくるかなと思って楽しみにしてきました。今までやろうと思って逃げてきたこともたくさんあるので、そういうものに向き合いたいし、資格をとるとか、新しい挑戦もしたい。私の周りの30代が、大ちゃんも含め皆さん楽しそうなので、そういう人生を送れるように30代の1年目を頑張っていけたらと思っています」

(2025年2月中旬に取材)

プロフィール
村上佳菜子(むらかみ・かなこ) プロフィギュアスケーター、タレント。1994年名古屋生まれ。2010年世界ジュニア選手権で優勝。2014年にはソチ・オリンピックに出場し、同年の四大陸選手権で優勝。2017年に引退。現在プロフィギュアスケーターとしてアイスショーに出演する傍ら、バラエティ番組でも活躍している。
= INFORMATION =
「村上佳菜子のフィギュアスケート音楽会」
東京公演 3月16日(日)14:00/東京文化会館大ホール スペシャルゲスト:高橋大輔           愛知公演  3月20日(祝・木)14:00/愛知県芸術劇場大ホール スペシャルゲスト:鈴木明子、町田樹 【出演者】 司会:村上佳菜子 指揮:田中祐子 ヴァイオリン:木嶋真優 テノール:笛田博昭 管弦楽:シアター オーケストラ トウキョウ  
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