2024年11月21日
『ワンピース・オン・アイス~エピソード・オブ・アラバスタ~』開幕直前インタビュー特集③

Cross Talk 田中刑事×島田高志郎「2人をセットで見たときにどう映るかは考えています」

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『ワンピース・オン・アイス~エピソード・オブ・アラバスタ~』開幕直前インタビュー特集の最後は、麦わらの一味の“両翼”ことロロノア・ゾロとサンジを演じる田中刑事さんと島田高志郎さんです。初演の公演期間中に行った対談(「ワールド・フィギュアスケート99号」掲載)以来、およそ1年ぶりにWFSインタビューに集まってくれたお2人。初演から再演に向けてのそれぞれの役作りや関係性の変化、リハーサルの裏話を伺いつつ、最後はスケート界きっての『ONE PIECE』オタク2人による夢トークに着地。お2人が作品と『ワンピース・オン・アイス』に注ぐ愛と熱意にあふれたインタビューをお楽しみください!

「リハーサル中に目が合うのは気のせいではないですよね?」

―― 再演に向けてのリハーサルを拝見しましたが、みなさんの自信がうかがえました。お2人の手ごたえとしてはいかがですか?
田中 去年はどういう反応や評価をしていただけるのかわからない状態だったので、それを不安に思いながら進めていましたが、今回は昨年の公演で、すごくいいものをみんなで作れたという自信を持って臨めています。再演ということで、楽しみにしていただいている中でもう一度演じるという意識でぼくたちもやっているので、その分去年のものを超えていきたいと思っています。
島田 刑事くんの言う通りで、ハードルが上がった状態で再演を迎えることになると思うので、より強い意志をもって、熱をもってリハーサルに取り組むことが大事だなと思っています。
田中 リハーサルで通してみて、改めて昌磨がすごいなと。自分ももっとやりたい、もっと役に入らないといけないと感じたので、ゾロならどうするのかをもう一度しっかり考えたいですね。去年は与えられたものをかみ砕いて吸収していく感じでしたが、今年はそこからさらに自分で練り上げていく作業が必要だと思うので、まだまだ完成していないなという感じはしています。

―― 外から見ていると、普段の大会や合宿でお会いする田中コーチ、島田選手ではなく、すでにゾロであり、サンジであるように見えました。
島田 そう言っていただけるのはすごくうれしいんですが、今日は本当にルフィがすごかったですね。演出の金谷かほりさんがおっしゃっていたんですが、「熱量というものが人の心に届く」というのを昌磨くんのルフィを見て改めて感じました。もちろん自分も熱をもって取り組んでいるつもりではあったんですけど、演技が体にある程度沁みついているからこそ、自然と何も考えずにメカニックに動くところが増えてきちゃったのかなとも思ったので、キャラクターと同じ感情、人物そのものになるにはもっと理解を深めないといけないなと感じました。

―― 役作りでお互いに影響されたことなどはありますか。
田中 サンジはこの場面どうするかなというのは考えながらやっていますね。サンジはしっかり仲間のことを考えて動いていて、仲間の話を真剣に聞く場面では、あまり大きなリアクションをするタイプでもない。まあ、女性を見るとスイッチが切り替わる特性はありますけど。(笑)だから、サンジを見ながら「サンジもそういう動きだよな、ゾロもこっち側だよな」と、役を作っているところはあります。
島田 まったく同じかも。
田中 とくに「アラバスタ編」では、ルフィとは動きやテンションがちょっと違う。冷静に仲間を見守る立ち位置なのかなと。
島田 リハーサルのとき、たまに目が合うのは気のせいではない……ですか?
田中 サンジ、見てるよ。
島田 やっぱり。(笑)金谷さんにも、『ONE PIECE』ファンの方々にも2人にはこういうリアクションをとってほしいというのがあると思いますし、自分たちとしても2人をセットで見たときにどう映るかはお互い探りながら考えています。

―― のちに“両翼”と称される2人を演じるプレッシャーはありますか。
田中 それはやっぱり去年一通り感じました。いまはそこを考えるよりも自分に何ができるかを考えるように切り替わっていて、プレッシャーももちろん多少はありますけど、“もっとよく見せたい欲”が勝っています。どこで“ゾロらしさ”を出していけるかを探しているところです。

―― 初演のときは、反響も大きかったのでは?
島田 SNSで回っている動画を見た友だちから、「これはあなた?」って連絡がきました。(笑)スケートを知らない方々にも知っていただけて、反響はすごくうれしいんですけど、それゆえに期待して再演に来られる方もいらっしゃるだろうし、去年のほうがよかったと思われないようにするのがいちばんの目標ですね。
田中 いや、もう単純に「去年よりよかった」って思わせたい。
島田 そうですね! そう言ってもらえるものをやるしかないと思います。

―― アメリカのジミー・マ選手もサンジ役をやりたかったとか。
島田 聞きました。本人に会ったときに「なんだあれ、めっちゃうらやましい! 自分がやりたかったんだけど」って言われました。(笑)

―― フランスのフランソワ・ピト選手はゾロのファンだと言ってましたよ。
田中
 お、うれしい!

プロフィール
■t田中刑事(たなか・けいじ) 1994年11月22日、岡山県生まれ。2018年平昌オリンピック代表。世界選手権3回出場。2018年全日本選手権3位。2018年四大陸選手権4位。2022年4月に競技を退き、現在は変幻自在のパフォーマンスを見せるプロスケーターとして活躍するとともに、指導者としても後進の育成に尽力している。 ■島田高志郎(しまだ・こうしろう) 2001年9月11日、愛媛県生まれ。木下グループ所属。2018年ジュニアグランプリファイナル3位。2022年全日本選手権2位。2023年四大陸選手権11位。2023年全日本選手権11位。15歳から元世界王者のステファン・ランビエルに指導を仰ぎ、師匠譲りのしなやかな身のこなしでアーティスティックな滑りを得意とする。
▶イベント開催情報
『ワンピース・オン・アイス~エピソード・オブ・アラバスタ~』
9月7日(土)、8(日)/LaLa arena TOKYO-BAY 各日2公演 全4公演 8日各公演は配信チケットあり
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