4月22~23日に京都府宇治市の木下アカデミー京都アイスアリーナで行われる「Bloom On Ice 2023」。日本初のフィギュアスケートのアカデミー、木下アカデミーで日々研鑽を積む若きスケーターたちが一堂に会するフレッシュなアイスショーを前に、出演予定の選手たちをご紹介してきました。最終回の今回は女子シングルの注目選手4名をご紹介します!
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四大陸選手権出場のトリプルアクセルジャンパー、吉田陽菜
最初に紹介するのは、吉田陽菜選手。これまでジャンパーとして知られていましたが、近年は長い手足を生かした豊かな表現力でも評価を得ている選手です。
愛知県出身で、中学2年生までは愛知県を拠点とし、出場した全日本ノービス選手権のすべてで優勝するなどの活躍を見せていました。中学3年生のときに木下アカデミーの開設がきっかけで京都に拠点を移し、その後はジュニアの舞台で奮闘。2022-2023シーズンは国内ではジュニア、海外ではシニアと2つのカテゴリーで競技会に参加し、念願のジュニアグランプリシリーズにも出場しました。トリプルアクセルにも果敢に挑んで、2大会ともに優勝。ファイナルにも進出しました。
また、この2月には四大陸選手権の代表にも選ばれて、ISUチャンピオンシップにもデビューし、8位と健闘。高地での試合でしたが、試合後のインタビューでは「体力も全然余裕があって、最後まで全力でスピードも落とさずにできた」と振り返り、タフな一面を印象付けました。
3月から4月にかけてはスターズ・オン・アイスにも出演して経験値を積んできた吉田選手。Bloom On Iceではホームリンクにどんな世界を描いてくれるのでしょうか。
アカデミー1の演技派、櫛田育良
次にご紹介するのは、春から高校生となった櫛田育良選手。吉田選手と同じ愛知県出身で、受験シーズンのインタビューでは「勉強も大切だと思うので、勉強もスケートも両立できる学校に行きたい」と語り、4月に吉田選手も在籍する中京大中京高校に進学しました。
櫛田選手の武器は、何と言っても表現力。2022-2023シーズンのプログラムは「レッド・ヴァイオリン」と「サムソンとデリラ」で、どちらも中学生スケーターとしては大人っぽい選曲です。名前がコールされたときから曲の雰囲気をまとったかのような美しい立ち居振る舞いを見せ、演技が始まると視線までも表現の一部にして、見ている人を曲の世界観に引き込んでいきました。
今季は、ジュニアグランプリシリーズチェコ大会に出場して、3位。国内大会でも全日本ジュニア選手権で4位、全日本選手権で8位、全国中学校スケート大会で2位と安定した演技で好成績を残し、同年代の先頭集団の1人であることを示しました。
インタビューではおっとりとした雰囲気で言葉を紡ぎ、氷上とのギャップも印象的。アイスショーの舞台では、どんな表情で櫛田選手の世界にいざなってくれるのでしょうか。
涙の数だけ立ち上がる、柴山歩
柴山歩選手は、櫛田育良選手と同じ新高校1年生。関西出身で、ノービスAでは2年連続でメダルを獲得して頭角を現しました。ノービス時代は少女らしい弾けるような笑顔で「回転木馬」や「ドン・キホーテ」のプログラムを演じてきた柴山選手。しかし、ジュニアに移行し、才能あふれる同世代のライバルたちとともに木下アカデミーでトレーニングを重ねるようになってからは、葛藤と覚悟が垣間見えるような言葉が聞こえてきました。
2021-2022シーズン、ショートプログラムで滑ったのは「Pure Imagination」。このプログラムに対する思いを尋ねられた柴山選手は、「最近は、複雑な気持ちが入ってくるけど、このショートの間だけはそういうことを忘れて、自分がオリンピックに出る夢に向かって、純粋な気持ちを忘れないようにしたい」とコメント。そういった姿勢が好影響を与えたのか、大舞台である全日本選手権では初出場で10位に入って新人賞を獲得しました。
2022-2023シーズンはジュニアグランプリシリーズに2大会出場。1戦目のフランス大会では2位となって表彰台に上りましたが、2戦目のポーランド大会(2)では5位と悔しい結果に。その後は気持ちが落ち込み、練習でも苦悩がぬぐえない時期があったということですが、木下アカデミーのコーチ陣の励ましの言葉に背中を押され、再始動。全日本ジュニア選手権、全日本選手権、全国中学校スケート大会で計6回演技を披露しましたが、GOEでマイナスがついた要素はたったの2つ。悩み多き時期も経験しながら、その数だけ立ち上がってきた柴山選手は、Bloom On Iceの舞台でまた1つ成長した姿を見せてくれることでしょう。
ヒロインへの道を駆け上がる、金沢純禾
最後にご紹介するのは、木下アカデミーの最年少スケーター、金沢純禾(すみか)選手。北海道出身の11歳、小学6年生です。
まだノービスBにも達しない年齢の頃に、よりよい環境を求めて京都に転居。そこから、才能あふれる先輩たちのなかで実力を着実に伸ばしてきました。
ノービスBデビューの2021-2022シーズンには、近畿選手権で2位以下に10点近い点差をつけて優勝。その突出した才能を成績で示しました。しかし、念願の全日本ノービス選手権では、ノービスBの選手としては大技のトリプルルッツに挑みましたが、悔しい結果に。試合後、「狙いすぎた」と冷静に演技を振り返りました。
リベンジを誓って臨んだノービスB2年目の2022-2023シーズンは、出場したすべての大会で優勝。いちばんの大舞台である全日本ノービス選手権でもトリプルルッツを完璧に着氷させ、ノーミスの演技でキス&クライでも満面の笑みを見せました。挑戦した曲は「Yellow River Piano Concerto」。クラシックの大人っぽい曲ですが、「やっぱり表現とかは、川の曲なので難しくて。天使みたいな感じを意識したら、もうちょっと表現ができるかなと思い、それを意識してやっています」と表現面での工夫を語りました。将来の目標について「4回転ルッツにコンビネーションをつけたい」と頼もしい口調で話す金沢選手。11月に行われたNHK杯でのエキシビションではハートのクッションを持ってキュートな演技を披露。舞台度胸も十分に身につけた11歳のBloom On Iceでの演技にも期待が高まります。
2022年全日本ノービス選手権については「ワールド・フィギュアスケート 96号」に、2022年全日本ジュニア選手権の記事は「ワールド・フィギュアスケート97号」に、全国中学校スケート大会の模様は「ワールド・フィギュアスケート 98号」に掲載しています。