韓国男子初の世界選手権メダリストのチャ・ジュンファン選手が主演を務めるアイスショー「俺だけレベルアップな件on ICE」が8月7日から、ソウル・木洞アイスアリーナで開催されています。共演は、北京オリンピック代表のキム・イェリムさん、イ・シヒョンさんら。世界的ヒット作品のアイスショーの模様をレポートします。公演は8月17日(月)まで開催中。
世界的ヒット作品×スケート×ミュージカル

「俺だけレベルアップな件」は、Chugong作による韓国のウェブ小説で、漫画やアニメなどメディアミックスされ、世界中に発信された大ヒット作品。日本でも今夏にアニメの劇場版制作が発表されるなど、広く人気を博している。
2025年12月にソウルで誕生した「俺だけレベルアップな件on ICE」は、ミュージカルとアイスショーを掛け合わせた新たなかたちのショーとして、初演時はミュージカル俳優が主演を務めた。そしてこの夏、チャ・ジュンファンを主演に迎えて再演されることになった。そのニュースを聞き、WFS編集部も急遽、ソウルへ飛んだ。
会場は、2025年の四大陸選手権など、フィギュアスケートの国際大会も行われる木洞アイスリンク。リンク内は極寒の冬とは違い、涼しいくらいで半袖のまま観劇できた。パーカーやカーディガンがあれば心強いくらいだ。
本公演を前にプレスコールと取材会が行われ、19時半、いよいよ初日の幕が開いた。
台詞と歌、滑りのすべてで成長物語を描いたチャ・ジュンファン
あらすじ
舞台は、日常と異次元を結ぶ“ゲート”が現れ、ゲート内のダンジョンに存在するモンスターと戦うべく、特殊能力を有する“ハンター”たちが活躍する世界。ハンターには、能力値によってS級からE級までのランクが与えられ、覚醒以降に能力が成長することも、ランクが変わることもない。
主人公ソン・ジヌは、最弱と言われながらも、家族のために戦い続けるE級ハンター。ところが、とあるダンジョンでの戦いをきっかけに「自分だけがレベルアップする能力」が覚醒する――

主人公のソン・ジヌを演じたチャ・ジュンファンは、ヘッドセットをつけて、セリフを言いながら芝居をし、短剣を片手にアクションを見せ、さらには歌唱で感情を吐き出すシーンまで演じてのけ、エンターテイナーとしてのポテンシャルを存分に発揮した。それでも、もっとも目を引いたのはやはりスケーティングだった。ときに優しく、ときに激しく氷上を流れる滑りは、主人公が成長していく姿を臨場感を持って描き、バトルシーンに迫力を与えて、リンクを劇場へと変貌させた。

キム・イェリムは、最高ランクS級ハンターのチャ・ヘイン役を初演時から続投。思わず「まさに!」と言いたくなるようなキャラクター性の再現が素晴らしかった。イェリム自身も「チャ・ヘインは責任感が強くて、市民のためならいつでも出ていって戦うヒーロー。自分と似ているので演じやすかった」と語り、台詞や歌唱のシーンはないが、気品高いスケートのスタイルがキャラクターとマッチしていた。

いっぽう、イ・シヒョンは主人公の前に立ちはだかる強敵モンスターの騎士イグリット役。こちらも初演から続けて務めている。驚いたのは、全身真っ赤な鎧と大剣という大がかりな衣装を身につけながら、氷上を疾走していたことだ。長身とスピード感が強者の風格を漂わせ、ジュンファンとのバトルシーンも迫力満点だった。シヒョンは、イグリット以外の役でも登場するので、そこにも注目だ。

スケーター個々の演技はもちろんだが、様々な仕掛けやスケート靴を履いた俳優陣の演技、さらには大胆な特効やセット、映像など、エンターテインメントの要素が総合的につめこまれ、大スケールの物語へと観客を誘う。また新しいかたちの氷上エンターテインメントが誕生した。

「俺だけレベルアップな件on ICE」は、8月17日まで開催中。木洞アイスリンクは、金浦空港から地下鉄5号線で1本、仁川空港からも空港鉄道で金浦空港まで行けば簡潔な乗り換えで到着できる。「ソウルでは、この木洞アイスリンクがいちばん涼しくていいと思います! ぼくもソウルに来るときは、このリンクにしか来ないんです」と、ソウルのおすすめスポットを紹介してくれたシヒョン。ぜひこの機会に、スケーターたちの活躍と、新たな冒険譚に出会いにソウルへ足を運んでみてほしい。まだ間に合う!
チャ・ジュンファン選手が主人公を熱演した「俺だけレベルアップな件on ICE」の詳報、キム・イェリムさん、イ・シヒョンさんのインタビューは、9月発売の「アイスショーの世界12」で紹介しています。「ファンタジー・オン・アイス」の来日時に聞いたジュンファン選手のインタビューも掲載。ぜひお楽しみに!


