大作曲家が語った「オペラ座の怪人」、サラ・ブライトマン、そしてフィギュアスケートについて

アンドリュー・ロイド=ウェバー、劇団四季「オペラ座の怪人」稽古見学&合同インタビュー

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今年10月9日にロンドン初演から40周年を迎えるメガヒットミュージカル『オペラ座の怪人』。フィギュアスケートにおいても、羽生結弦さんがソチ・オリンピックでチャンピオンになった翌シーズンに満を持して挑んだ楽曲であり、高橋大輔さんが世界選手権で初メダルを獲得し、アイスダンスの最後の年に再び披露、さらにパトリック・チャンさん、村上佳菜子さん、無良崇人さん、最近ではアイスショーで演じた田中刑事さんなど、素晴らしいプログラムの数々を生み出してきた作品として知られています。このミュージカルの作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーさんが9月25日、横浜市あざみ野の四季芸術センターを訪れ、劇団四季の『オペラ座の怪人』の稽古を見学し、合同インタビューに応じました。この記事では、ロイド=ウェバーさんの語った『オペラ座の怪人』の魅力や誕生の背景とともに、フィギュアスケートに関するコメントをご紹介します。

すべての要素がうまく組み合わさった、非常にまれなミュージカル

劇団四季では、1973年の『ジーザス・クライスト=スーパースター』以来、『エビータ』『キャッツ』『オペラ座の怪人』など、アンドリュー・ロイド=ウェバーが手がける作品を半世紀以上にわたって上演してきた。今回ロイド=ウェバーは、四季芸術センターの稽古場を訪れ、『オペラ座の怪人』の稽古を見学。「Little Lotte……」「The Mirror……Angel of Music」「The Music of the Night」、「All I Ask of You」、「Beyond the Lake」の3つのシーンを演じた俳優たち(オペラ座の怪人=飯田達郎、クリスティーヌ=奥平光音、ラウル・シャニュイ子爵=加瀬迪)に、登場人物の心の動きや楽曲について熱のこもった解釈を伝えた。アドバイスを踏まえて俳優たちが同じシーンを繰り返すと、ロイド=ウェバーから「とても素晴らしい。見事に実演してくれました」と賞賛の言葉が送られた。

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稽古のあと、合同インタビューが行われた。初めて訪れた四季芸術センターについて、ロイド=ウェバーは「素晴らしい建物で、素晴らしい空間だと思いました。俳優のみなさんは学びの機会を得られるし、スタッフは仕事をすることができる」と印象を語った。稽古については、「ラウルは貴族で権威を持っていることをしっかりと表現しなければいけない大変な役どころなのですが、素晴らしくやっておられた。この演目を楽しみに来られるお客さまは、おおむねファントムを楽しみにしていらっしゃるわけですが、ファントムのしっかりとした好敵手になりうる方だと芝居を見て思いました。もちろん、ファントムとクリスティーヌ役の方も素晴らしく、歌うだけではなくて、演技力も兼ね備えた この3 人と稽古の時間をもつことができて良かったです」とコメントした。

『オペラ座の歌人』が長年にわたって人々をひきつけている理由について問われると、「実際にどうして、これだけ人気なのか、あるいは何が魅了しているのかというようなことを知っているふりをしてしまったら、嘘をついていることになってしまう。ただお伝えできるとするならば、ありとあらゆるプロダクションを構成する要素、たとえば、(演出家の)ハロルド・プリンスの存在であったり、物語と音楽、衣装、美術、振付、照明など、すべてがうまく組み合わさったのだと思うのです。ミュージカル作品において、こういったことが起こるのは、非常に稀だと思います」と答えた。「そもそも人気が出た要因がわかっていたなら、その知識に基づいて、同じものを何度も何度も書いたでしょう」と笑った。

『オペラ座の怪人』が誕生した背景については、「当時、ちょうどハイロマンスを書きたかった時期だったのです。演出のハロルド・プリンスも、ハイロマンスを演出をしたことがなかったので、我々2人の思いが溢れ、それが結実したのかなと思います」と明かした。

最近オリジナルのマスターテープを掘り出し、リミックスする作業をしたことにも言及した。
「(クリスティーヌ役の)サラ・ブライトマンの声を改めて聴いてみたら、本当に素晴らしかった。批評家から、陶器のような脆さがあって、陶器のように美しさがあると評価されていたことを思い出しました。当時結婚をしていたわけなんですけれど、この声だからこそできたのだと思います。たとえば何かを書いた時に、『この曲をどう思う?』と彼女の意見を聞くことができたし、作曲するときは、サラの声を頭の中で思い描いていた」としみじみ語った。そして「(ファントム役の)マイケル・クロフォードも素晴らしい演技でした。改めてハロルド・プリンスのキャスティングの素晴らしさを感じ、 1人1人の特徴、あるいは人柄をしっかりと生かせるように選んだんだなと思った。リミックス版の出来を誇りに思うのと同時に、先ほどの 3 人のレコーディングがあったら聞いてみたいと思います」と希望を述べた。

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作曲するうえで大切なのは、良い物語を発見すること

現在も精力的に作曲活動を行っているロイド=ウェバー。「作曲する際に苦労する点について、もしあるならば教えてほしい」という質問には、「ミュージカルを書く状況に直面した時にまず大切なのは、良い物語を発見するということ」と答えた。「物語を見つけることができてから、物語に合う楽曲を書いていきます。いま手がけている新作はコメディで、1911 年に起こった「モナ・リザ」が盗まれて 3 年間姿を消していたという実話 をベースにした作品。真面目なトーンもありますけれども、全体としてはコメディタッチですから、たとえば『オペラ座の怪人』とは違う曲調になってくる。どのような作品であっても、長年にわたって成功を収める作品というのは、まずはストーリーがしっかりとしていることが大事。自分もさまざな作品を手がけてきていますが、同じことが言えます。例外は『キャッツ』です。『キャッツ』に関しては、物語があるかどうかというようなところを話し始めてしまうと、丸1日かかってしまいますので、例外であるということだけ述べて、理由は割愛します。(笑)」

フィギュアスケーターが楽曲を表現することについて

ここで、「多くのフィギュアスケーターがロイド=ウェバーさんの楽曲をプログラムに使用しています。『オペラ座の怪人』ならば、たとえば、オリンピックチャンピオンの羽生結弦さんであったり、高橋大輔さんをはじめ数々いるんですけれども、そういったトップアスリートたちが楽曲を表現していることについて、どうお考えでしょうか」と質問。
ロイド=ウェバーは「私の楽曲を使っていただけていることを非常に光栄に思います。フィギュアスケーター向け、あるいはフィギュアスケートのプログラム向けに書いているわけではないんですけれども、私が書いた曲のなかで、何らかの形で光るものを発見して、フィギュアスケートとして解釈をしてくださっていることについて、心が躍りますし、うれしく思います」とコメントした。

最後の質問では、「以前のインタビューで『オペラ座の怪人』は初演時から完成度が高かったと話していて、それにはサラ・ブライトマンの声が大きかったと思うが、その後さまざまな役者で上演していくなかで、少し曲を変えてみたいという気持ちは起きなかったのか」という問いが投げかけられた。
ロイド=ウェバーは「NO」ときっぱり否定し、「変えたいと思ってしまうと、全部再構築しなければいけない」と説明した。そして、2週間前にアイルランドでサラ・ブライトマンとランチをしたことについて触れ、「サラにリミックスを聞いてもらったら、彼女もとても感動してくれました。そのサラの様子を見て、当時の2人の関係性自体がとても特別なものだったのだということに改めて気がついた。先ほども言いましたが、繊細な陶器のような声で、クリスティーヌを演じてくれる彼女と一緒に作品を創れたことも素晴らしいことでした」と目を細めた。そのうえで、「それ以降、さまざまな俳優さんがそれぞれの声で歌ってくださっているのを聞くと、また別のクオリティをもたらしてくれていると感じます。それはそれでとてもいい。いろいろな優れた才能を持っておられる方にどんどん演じていただけたこと自体も本当に素晴らしいこと。誰か1人が優れているというようなことすら言えないぐらい全員が素晴らしい、そういった体験ができている自分自身はラッキーだと思います」と語った。

取材会の最後に、「この 53 年間、日本の方々が温かく歓迎してくださっています。日本のみなさんに改めて感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました」と感謝を述べて、取材会は終了した。
長く愛されるロイド=ウェバーのミュージカルの数々。これからもフィギュアスケーターたちが、氷上で素晴らしい音楽を全身で奏でてくれるにちがいない。
ミュージカル『オペラ座の怪人』は、現在MTG名古屋四季劇場[熱田]でロングラン上演中。

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劇団四季 ミュージカル「オペラ座の怪人」
MTG名古屋四季劇場[熱田]でロングラン上演中。
公式サイト
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