リーダーとしてのユヅのすごいところ
―― 技術と芸術の融合という点では、競技とショーを両立するなかで、シーズン中の競技と競技のあいだにもショーに参加されていましたし、日本でも世界選手権の直前に「羽生結弦 notte stellata」公演に出演していましたね。
ジェイソン も~本当にスペシャルな経験でした。どんなショーも、パフォーマンスもユヅと一緒なら特別になるんだよ。彼は氷の上で存分に自分を見せてくれるから、一緒に競技やショーに出るのが大好きです。情熱的で強くて才能もある。努力の成果が氷上に表れるから、それを目の当たりにすることも、ショーに参加することでその一部になれることも光栄に思います。
―― 「notte stellata」は羽生さんの名前を冠したショーでもありますが、リーダーとしての彼はどんな存在ですか。
ジェイソン 言いたいことはたくさんあるけど、いちばんすごいと感じるのは、彼は自分自身をハイスタンダードに保ち、毎秒パフォーマンスを出し切って周囲の期待に応えていくところ。100%どころか300%を出すんです。情熱的で、闘志にあふれ、それでいて自分のパフォーマンスに寄り添うことができる。だからこそ、彼は自分自身の世界を構築して、そこへ見ている人たちを誘うことができるんです。そうやって、プログラムやショーが終わるころには、持てるすべてを出し切って疲れ果てた彼の姿が残る。競技であれショーであれ、スケーターとしてその一員になることで、自分も彼のようになりたいと思うんです。100%、いや500%を出せるようになりたい、自分も負けないくらい自分自身をプッシュしたい、と。そうだね、リーダーとしての彼はぼく自身に「もっとうまくなりたい」と思わせてくれる存在です。
―― ジェイソンさんと羽生さんは同い年の同じ12月生まれですよね?
ジェイソン 彼のほうが1週間早い(羽生さんが7日、ジェイソンさんが15日)から、先に30歳になるのはユヅだよ!(笑)
―― 30歳は、必ずしもターニングポイントではないと思いますが、人生のなかでは1つ大きなポイントと言える年ですね。
ジェイソン いや、ほんとビッグビッグポイントだよ! いやもう、信じられないよ。(笑)ナンバー30か。でも節目になる誕生日は、これまでの自分の道のりを振り返るいい機会です。ぼくは自分が愛することをここまで続けることができていること、この競技でキャリアが続いていることを心からありがたく思うよ。振り返ってみると、スケートの世界に身を置いて25年。すごいことですよね。その間には酸いも甘いも知ったし、いいときも悪いときも経験した。だからこそ、人としてもスケーターとしても日々強くなってこられたと思います。そのすべてが祝うべきことなんだろうね。
―― たしかキーガン・メッシングさんが北京オリンピックに出場したとき、30歳だったと思います。
ジェイソン おお、それはすごいな。見習うべき先輩だ。年齢は関係ないからね!
―― オリンピックを目指すにあたって、いまはクリケットクラブでトレイシー・ウィルソン、ブライアン・オーサーの両コーチとフルタイムで練習を?
ジェイソン そうだね。ここ2シーズンは行ったり来たりしながら旅をしていたから。世界選手権以降はカナダに戻ってフルタイムで練習しています。
―― クラブでももうリーダーですね。
ジェイソン 信じられないよね! 移ってきたときは異色の新人という感じだったから、7年もいるなんていまの状況がうそみたいです。すごくクールだよ。
―― 大会でもアイスショーでも、これからもパフォーマンスを楽しみにしています。
ジェイソン そう言ってもらえることは、ぼくにとって本当に大きな意味のあることです。ありがとう!
―― こちらこそ今回も素敵なパフォーマンスとお話をありがとうございました!
(2024年10月27日、男子フリー後に取材)
ワールド・フィギュアスケート 102号
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