グランプリファイナル出場を果たしたキム・イェリム
今シーズンの序盤から中盤にかけて、韓国女子の先頭を走りつづけてきたのがキム・イェリム。グランプリシリーズのフランスグランプリで2位につけると、NHK杯では世界女王の坂本花織を抑えて優勝し、シニアに上がってからは初となるファイナル出場を果たした。韓国女子のグランプリファイナル出場は、2009年のキム・ヨナ以来13年ぶりの快挙だった。
キム・イェリムは2003年1月23日生まれの20歳。キム・ヨナに憧れ、6歳のときにスケートを始めた。ジュニアの頃から活躍し、2019年にシニアデビュー。その後はなかなか思うように結果が残せない時期が続いたが、2021年の韓国選手権で優勝。韓国女子のなかで1歩リードした位置につけると、北京オリンピックにも出場して9位となった。新しい4年間が始まる今シーズンは、世界の先頭集団のなかに食い込み、ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季オリンピックに勢いよく向かっている。
イェリムの持ち味は、ダイナミックなジャンプ。3回転ルッツ+3回転トウループがいちばんの武器で、170cmの長身から繰り出されるパワー型のジャンプは迫力満点だ。長い手足は表現の面でも力を発揮し、丁寧かつしなやか動きで繊細な世界を氷の上に描き出す。過去にはジェフリー・バトルの振付にも挑戦し、今シーズンはSP「Mercy」フリー「おもいでの夏」をデイヴィッド・ウィルソンが手掛けている。コーチからは真面目な練習姿勢と、安定したメンタルを評価されている彼女が、埼玉の地で本番強さを発揮することを期待したい。