2024年4月17日
さいたま世界選手権を楽しむ!期待のチーム日本プレビュー

世界チャンピオン宇野昌磨のスケート哲学【後編】

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さいたまで開催される世界選手権もいよいよ開幕目前! せっかく地元にやってきたシーズン最大の祭典をよりいっそう楽しむべく、日本代表選手たちの活躍を振り返りながら大会の注目ポイントをご紹介します。今回は、日本男子初の連覇をかけて戦う現・世界チャンピオンの宇野昌磨選手の後編です!今シーズンここまで全勝の活躍はもちろん、ロジカルな思考や率直な言葉でも自身のアスリート道を体現する宇野選手。取材時の言葉をもとに思考を紐解きながら、世界選手権での活躍を展望していきます。

前編はこちら>> 世界チャンピオン宇野昌磨のスケート哲学【前編】

成長は失敗の先にある

今季、宇野昌磨はグランプリシリーズのスケートカナダとNHK杯で2勝をあげた。世界のトップスケーターたちが、シーズン序盤における自身の調子やトップシーンでの立ち位置を確認するシリーズのなかで、宇野はスケートカナダの前日、目標設定をこう語った。

「この試合を通して成長する。より具体的に言いますと、今日までやってきた練習をしっかり出す。いいもの、悪いものをしっかり試合という場で出し切って、失敗したものをまた次の試合に向けてがんばれればなと思います」

スケートカナダ前日の公式練習後共同インタビューより

宇野は「練習通り」「練習のためになる試合」という内容の発言を度々している。それぞれの技術において感覚と理論が自身のなかに落とし込まれており、なおかつそれらが「この通りに実施すれば成功する」というラインまで精度を上げられているからこそ出てくる言葉だろう。スケートカナダのショートプログラムで、それがわかるエピソードがあった。

ショートプログラム当日、午前中の公式練習に登場した宇野は、前日の練習でやや苦戦していたジャンプを次々に調子よく決めていった。報道陣が驚かされるほど、ほとんど失敗がなくはっきりと調子を上げてきた。実際、SP「Gravity」は、2本目に跳んだ4トウ+3トウこそ、4トウの着氷で手をついてしまい4トウ+1トウになったが、冒頭の4フリップ、3アクセルは出来栄えで加点を稼ぐジャンプだった。演技後、宇野は1日で調子を整えられた理由は靴紐の締め具合にあったと説明した。

「昨日の最後のほうにやった4回転ループで足首が曲がった降り方をして、普通に練習していてああいう降り方をすることがまずない。というか、日々練習していて、調子いいとか悪いとかないんです。疲れていたら跳べない、体が動かなかったら跳べないとかはありますが。なので、いつもと違う何かが起きたということは、何か他に原因があるんだろうなと。氷との相性だったら違う失敗をしただろうと考えた結果、靴紐だと思って、今日やってみたらその通りだった。本当におもしろいなと思いながら日々練習しています」

スケートカナダSP後の共同インタビューより
プロフィール
うの・しょうま 1997年12月17日、名古屋生まれ。2022年世界選手権優勝、北京オリンピック個人・団体ともに銅メダル。2019年四大陸選手権優勝。2018年平昌オリンピック銀メダル。2020年よりステファン・ランビエルコーチに師事。
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