フィギュアスケートの衣装を手掛けるデザイナーの方々にお話をうかがう新連載が「ワールド・フィギュアスケート 97号」からスタートしました。第1回は国内外の数多くのスケーターの競技用衣装から、アイスショーの衣装まで幅広く製作する伊藤聡美さん。これまでの10年間で生まれたさまざまなエピソードや、将来実現したいこと、フィギュアスケートの現状に向ける熱い思いなどを聞きました。本誌97号では浅田真央さんのアイスショー「BEYOND」や羽生結弦さんの「プロローグ」の衣装秘話、伊藤さんがこれから挑戦したいことなども紹介しています。
前編はこちら>> コスチューム・ワールド~第1回・伊藤聡美~【前編】
ーー実際の製作過程についておうかがいできますか。衣装の生地はどのようなものを使っていらっしゃいますか。
伊藤 基本的にスケートの衣装の生地は伸びる素材です。正直、4種類か5種類ぐらいしか使っていないと思います。レザーやベルベットの生地も全部伸びるものです。使いやすいものはなくて、どの生地でもすごく難しいんですよね。お子さまの衣装を作っていらっしゃるお母さまたちは本当にすごいと思います。私は服飾の学校に通っていたので、ミシンの使い方などの基礎的な部分はわかるのですが、1から学んで作るのは大変だと思います。
ーー装飾品はどのように調達されていますか。
伊藤 基本的に海外からネットを使って輸入しています。国内で買うものは、生地屋さんで普通に買えるものです。そういったところから買って、全部ばらしてほかのものとつなぎ合わせて使っています。
ーー装飾をつけるうえで気を使っていらっしゃることは?
伊藤 男の子の場合、腕に石をつけてしまうと、ジャンプで腕を締める瞬間に重いと感じてしまうみたいです。女の子だと、スカートに石がたくさんついていると回転がうまく回れないので、あまりつけないようにしています。逆にボディの部分はそんなに気にならないみたいですね。