氷上で挑戦し続け、観客に希望を届けるアスリートと、彼らを支える人々を紹介する新企画「Hope&Challenge」。第1回は、オリエンタルバイオスケート部の鍵山優真選手、三浦佳生選手、住吉りをん選手、アイスダンスの田中梓沙＆西山真瑚組をサポートする、オリエンタルバイオの渡邉和孝社長に伺いました。
己の世界を確立している鍵山優真選手
―― オリエンタルバイオさんは多くのスポーツの支援を行っていますが、フィギュアスケートの選手を支援しようと思われたきっかけは？
「ご縁なんです。私どもは、今年34年目になる健康食品会社で、事業の根幹として、ご縁を大切にしてきました。お客様もさることながら、取引先の方々とのご縁も大事にしてきたのですが、そのなかで、取引先の方からフィギュアスケートという素晴らしい世界を教えていただいたのがきっかけです。私も、会長を務める兄も、アメリカに留学していたこともあって、早くから企業の社会貢献を考えていました。とくに、スポーツや芸術の分野のサポートは意識していたのですけれども、自分たちから能動的に何かをするというのは難しかったところで、ご縁があって支援させていただくことになりました」
―― 所属の鍵山優真選手が、オリンピックや世界選手権でメダルを獲得するなど、めざましい活躍をされていますが、どのように見ていらっしゃいますか。
「素晴らしいと思っています。北京オリンピックの２年ほど前に知り合った当初は、鍵山選手のチームも北京よりもその次の2026年のオリンピックを意識なさっていたのではと思うんです。我々も長期的なサポートを考えていたのですが、鍵山選手は瞬く間に世界のトップレベルに躍り出ました。コーチであるお父さまの正和さんと二人三脚でやってこられて、正和さんの体調のこともあり、大変な時期や思いもあったのでしょうけれども、鍵山選手は自ら能動的に上を目指して日々努力をなさったのだと思います。プレッシャーや思いを結果に結びつけられる素晴らしい選手だと思います」
―― オフアイスの鍵山選手は、どんな印象ですか。
「年1回3年間お目にかかってきましたけれども、鍵山選手は、己の世界をきちんと持っていて、自分がしなければいけないことがわかっています。どこか学生らしく若さも見えるのですが、でも極めているがゆえにものすごく堂々としています。両極端な側面もとても興味深いです」
―― 結果が良い時も悪い時もあるアスリートのキャリアを支援するうえで、大切にしていらっしゃることはありますか。
「継続的な中・長期的な支援が大切だと思うんです。先ほどお話ししたように、鍵山選手に、すぐ北京で結果を、というのではなく、もっと先のミラノ・コルティナ・オリンピックを見据えてサポートを行うことを決めていました。それは選手のみなさんに安心感を与え、安定につながる。私たちはお客様とのご縁を大切にしてきましたし、ご縁があって、取引をさせていただいたら、できるだけ長く継続する。それが、自分たちの元々のポリシーでもありました。スポーツのアスリートの方々への応援や支援にも自分たちの考えとして合っていたのだと思います。それから、アスリートの方に、自分たちのイベントに来てほしいとか、お食事会に顔を出してほしいとか、我々はそういったことは一切やめようと決めました。とにかくその方が没頭したいことに力を注いでいただけるような支援をする。だから、邪魔をしない、干渉しない。プレッシャーにもならないようにしたい。できるだけ静かに、中・長期的に応援したいと考えています」