4年ぶりに世界選手権がさいたまへやってきました! いまからでも大会をより楽しめる注目ポイントとして、今季WFS編集部員が取材してきたスケーターたちの活躍をご紹介します。今回はアメリカの新星イリア・マリニン選手です。
史上初の4回転アクセルジャンパー
今シーズンの開幕と同時に、フィギュアスケート界に大ニュースが走った。4回転アクセルの成功。9月14日、レークプラシッドで行われていたUSインターナショナル・クラシックでの出来事だった。名ジャンパーたちが挑み続けた山の頂に、ついに旗を立てたのは当時17歳のアメリカ代表、イリア・マリニンだった。
両親が元ウズベキスタン代表のオリンピアンというスケート一家に生まれ、物心がついたころにはスケート靴を履いていた。2019-2020シーズンに初めてジュニアの国際舞台に立ち、2020年3月の世界ジュニア選手権は16位。当時はトリプルアクセルに苦戦しており、4回転はこれからだと語っていた。だが、その半年後の10月、コロナ禍によりアメリカ国内で練習する選手が集まって開催されたスケートアメリカに出場したマリニンは、4回転トウループと4回転サルコウをSP、フリーで計4本降りた。
「ロックダウン中に毎日3時間はオフアイスの練習をしました。おかげで氷上練習でもすぐ本調子に戻れた。1、2週間で4回転が降りられるようになりました」
2020年スケートアメリカフリー後の共同インタビューより
2022年1月、北京オリンピックを目指して臨んだ全米選手権では、ネイサン・チェンに次ぐ2位につけたが、出場が決まったのはオリンピックではなく世界選手権と世界ジュニア選手権。しかし結果的には、この2大会で一気に世界のトップシーンにその名を知らしめることとなった。初出場の世界選手権では史上10人目のSP100点超えでデビューを飾り、世界ジュニア選手権ではジュニア男子の世界最高得点を塗り替えて優勝した。