今季限りで引退を表明しているミラノ・コルティナ・オリンピック銀メダリストの坂本花織選手(シスメックス)が5月2日、阪神甲子園球場で行われた「J:COM光 デー」での阪神タイガース対読売ジャイアンツ戦に登場。始球式で見事な投球を披露して試合を盛り上げました。
「今日の投球は100点です!」
年がら年中にぎわう甲子園球場がさらに熱くなるゴールデンウィークの伝統の一戦、ピンストライプのユニホームに身を包んだ坂本花織がラッキー(阪神タイガースマスコット:甲子園球場出身のトラのおねえさん)に導かれて現れた。単独で甲子園の始球式を務めるのは今回が初。「“聖地”阪神甲子園球場のマウンドに立たせていただけることに感謝をして、『Thank you!』の気持ちを込めた私なりの剛速球をお届けします」と意気込んだ坂本を、4万人を超える観客の大歓声が熱く迎えた。
「今年で引退なので、いろんな人にありがとうと伝えたいということで“サンキュー”にしました」と思いを込めた「39」の背番号を背負って、幼いころから何度も通った聖地のマウンドに上がった坂本。左足を軽く振り上げ、巨人の先頭バッターのキャベッジに投じた一球は、なだらかな弧を描いて、軽く腕を伸ばした伏見寅威のキャッチャーミットに見事にそのまま収まった。打者のバットが回り、球審を務めたトラッキー(阪神タイガースマスコット:甲子園球場出身のトラのおにいさん。ラッキーの友だち)がポーズをとってストライク判定を認め、坂本も自らの投球に小さく拍手を贈った。
坂本花織と甲子園
じつは、今回の“私なりの剛速球”のために特訓してきたという坂本。「最近ありがたいことにバタバタしていたんですけど、その合間にもいろんな人とキャッチボールして、昨日の夜も一生懸命練習したので、ノーバンで届いてうれしかったです。肩の使い方を、野球に詳しい人や、高校でソフトボール部だった子に教えてもらったり、いろいろ練習してきました。だいぶ緊張はしたんですけど、ちゃんと届いてほっとしました。(今日の投球は)100点です! 勝負強さというところは、(スケートの経験が)生きたかな」と、成果にも満足気だった。
神戸生まれで、とくに幼いころは姉妹で阪神を熱心に応援していた坂本にとって、甲子園球場は慣れ親しんだ場所だ。この日身につけていた阪神ロゴのピアスも、球場で働く知人からの贈り物だといい、縁も深い。「(甲子園球場には)何回かというより、かなり観に来ていて、金本(知憲)さんとか赤星(憲広)さん、今岡(真訪/当時の登録名は誠)さんがいた時代に、お姉ちゃんと一緒に来てすごく応援していたので、ここで始球式できるなんてうれしいです。アナウンスで(ミラノ・コルティナ・オリンピック銀メダリストと)紹介してくれたときに“おお~!”って言ってくださったので、それだけオリンピックの影響力があったんだなというのと、全然違う競技なんですけど温かく迎えてもらえてすごくうれしかったです。(グラウンドは)意外と湿っているんだなと思いました。(笑)世界選手権やオリンピックと同じぐらい緊張しました」。そう話すあいだ終始笑顔が絶えない様子からも、その喜びようが伝わった。
「阪神に勝ってほしいです」と願った坂本の応援も届き、試合は7対5で「熱覇」をスローガンに掲げる阪神が勝利した。


