山本草太が城田優とコラボしたのは、ミュージカル『モーツァルト!』より「ぼくこそ音楽」。青年の悩める心情を吐露する城田の甘い歌声と、美しさとエネルギーを併せ持つ山本のスケートが、ぴたりと寄り添い合う。
ジュニア時代以来、8年ぶりの出演となった青木祐奈は、誰もが知るディズニーの名曲「Whole New World」で、城田優とコラボ。空飛ぶ絨毯と化した可動ステージからロマンティックにプログラムは始まり、自由の世界に心躍らせるジャスミンを伸びやかに演じた。
ハビエル・フェルナンデスと城田優のコラボ「Isabel」は、母親がスペイン出身である城田のエネルギッシュなスペイン語のヴォーカルの上でハビエルが弾けるようなプログラム。まるで城田の歌声の推進力でハビエルのスケートが伸びていくようだ。
お馴染みのアセベド&カンパによるフライング・オン・アイスのパフォーマンスは、メキシコの「死者の日」がテーマ。南米の祝祭の雰囲気とアクロバティックな技の数々は抜群の相性で、客席は大いに沸いた
北京オリンピックのアイスダンス金メダリスト、ガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン。コラボナンバー「If I A‘int Got You」では、安田レイのソウルフルな歌声の上に2人の卓越した技術が重なり、曲の世界観を軽やかに描き出してゆく。
ステファン・ランビエルが、第2部で披露したのは新作「The Whale」。演技の途中でランビエル自身の唸り声が会場に響いたり、曲調に合わせてスピンの速度がコントロールされたりと、妥協なく心理描写が作り込まれた名作。第1部では2009年のナンバー「行かないで」を披露した。
ショーの大トリを飾ったのは、羽生結弦とT.M. Revolution/西川貴教のコラボナンバー「Meteor-ミーティア-」。西川の歌声を、羽生が丁寧に氷上で昇華させたような、FaOIでしか生まれることのない珠玉のプログラムだ。スーパースター2人の共演による相乗効果で、このうえなく壮大なスケールとなった。
西川貴教の歌う「HIGH PRESSURE」に乗せたフィナーレは、日本から生まれるエンタテインメントの真骨頂と言っていいくらいの華やかさ。会場のボルテージは最高潮に達して、ショーは大団円を迎えた。
幕張公演は、5月26日まで。その後、5月31日~6月2日に愛知公演が開催。さらに石井竜也、一青窈、家入レオらアーティストを迎え、ステファン・ランビエル、パパダキス&シゼロン、田中刑事、宮原知子、坂本花織、友野一希、織田信成、チャ・ジュンファンらが出演する後半ツアーは6月15、16日に神戸・ワールド記念ホール、6月22、23日静岡・エコパアリーナを回る。ランビエルとシゼロンのコラボレーションなど、新しい趣向を凝らした企画が盛り込まれており、さらに進化したファンタジー・オン・アイスが見られそうだ。