2024年12月4日

村元哉中&高橋大輔組 現役引退発表会見速報

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本日、村元哉中&高橋大輔組の現役引退発表会見が都内で行われました。2人は5月1日にチームのSNSを通じて現役引退を発表。本日の会見での2人のコメント、また高橋選手をシングル時代から指導し、先月の世界国別対抗戦にも帯同するなど、チームをそばで見守ってきた長光歌子コーチのメッセージをお伝えしていきます。

高橋 本日はお忙しいなか、お集まりいただきありがとうございます。村元哉中、高橋大輔は今シーズンをもって競技会から引退することを決断いたしました。本日はよろしくお願いいたします。
村元 本日はお忙しいなか、お集まりいただきありがとうございます。3シーズン目を終えて、本当にいろいろなことを経験して、アイスダンスの現役生活、競技会から引退することを決断いたしました。本日はよろしくお願いします。

ーー 引退報告から一夜明けて、現在の気持ちをお聞かせください。

村元 本当にやっと世界に言えたので、少しすっきりしているではないですけど、秘密にはしなくていいので。一夜明けてまだ実感はないんですけど、やっとこう……ついに競技生活が終えたんだなというのはいま感じています。
高橋 本当にあの、今後どうしていくのかというふうに聞いてくださる方がけっこういらっしゃったので、ちょっと言えなかったところの手前、報告できて自分的にもすごくすっきりしてますし。発表から1日経って、ぼく自身としては新たなスタートがここから始まるんだなというふうに思っています。

―― 決断に至った理由と、いつからお2人で話をされていたのか。

高橋 引退するということを伝えたのはぼくからのほうで。それを伝えた時期なんですけど、ちょっとみなさまには大変申し訳ないことをしたんですけど、じつは四大陸選手権の後に哉中ちゃんのほうにはお伝えして、もうこの今シーズンの世界選手権のときにはもう引退するということはぼくらのなかで実は決まっていて。ただ、そこまでそういった引退をするとかっていうところを、そういう気持ちでみなさんにも……なんかこう世界選手権に挑みたくなく、いつも通りのかたちで挑みたいなといったところから、発表することは世界選手権が終わってからにしようというところではあったんですけど。その後の国別対抗戦の前には発表しようかなと思ったんですけど、なんかいろいろやっていくうちにタイミングを逃してしまい、結果国別対抗戦でもお伝えすることができず、昨日発表するということになってしまったんですけど。記者のみなさんには本当に申し訳ないことになったなと思うんですけど。すみませんでした。なので、その引退する1つの大きな要因はぼく自身の右膝がやっぱり限界を感じたというところで。まあパフォーマンスするうえではまだ限界は感じていないんですけれども、競技レベルでパフォーマンスをするっていったところで、練習を積んでいくなか……とくに今シーズンなんですけれども、レベルをとるうえでの技術的な部分で、ぼく自身の努力ではどうしようもできないところに来てしまって。それ以上を求めてやっていきたいんですけれども、そこに身体がついていかないというところがまずいちばんだなというところで。で、そこを今シーズン感じてしまって、そこからもうちょっと頑張れるというか、そのことを払拭することができず、これで続けていてもぼくの成長といった部分ではやっていけないなというふうに思ってしまったので、それを村元哉中ちゃんのほうに四大陸選手権のあとにお伝えしました。

村元 四大陸後に大ちゃんのほうから、理由と今シーズンをもって終わっていくという話を聞いたときに、もう私のほうも、結成当初、まずは2年スタートっていうところから始めていたので、いつ大ちゃんから引退すると聞いても、それは覚悟していて。で、実際にお話を聞いたときまったくびっくりしなくて、「あ、そっか」みたいな感じの、「やっぱり、そうだよね」という、けっこう自分のなかでは驚きはなく……。私のほうも大ちゃんのほうから聞いたときに、限界をまだ感じてはいないんですけど、これ以上の最高のパートナーはいないなというのを感じていますし、まだまだ大ちゃんといろんな作品を作りたいと思えたので、新しいパートナーを探すという選択肢はまったく出てこず、私のほうもこれが今シーズンの世界選手権が最後だなというのを決めて。で、結果国別対抗戦というのもあったんですけど、本当両試合を終えて、本当に最高の演技が、滑りができたので、すごくいまはうれしく思ってます。そして、自分のなかではやりきったのかなというか、ずっと目標にしていた「記憶に残る演技」というのがたぶんできたと思うので。すごく次のステージが楽しみです。

―― 膝の怪我について。

高橋 けっこうアイスダンスって、下にしゃがんで膝をついたりすることが、シングルのときよりも多くて。で、正直こっちの右の膝は下にしゃがむときに力が抜けちゃったり、立ち上がるときに力が抜けちゃったりするので、ほとんどこっちでしゃがむことができなくて、左足でしゃがむことが多かったんですけど。右膝をついて滑ったりするのは本当はよくないんですけど、それをするしかなくて。で、結果やっていくうちに、全然練習できなかたり、痛みが出てできてなかったり、1日練習できなくて、朝起きたときに足が動かせないとか、つけないとか、そういうのもありながら1日……リフトを練習したいんだけど、リフトの練習は今日はちょっと無理だな、とか。けっこうプラン通りの練習はなかなかぼくの膝ができないときがあったので、そこは本当に我慢してもらうこともたくさんあったので。でも実際無理してしまうと余計よくないことになるので。本当は追い込みたいところを追い込みきれないっていうところはたくさんあって。どういうふうに試合にもっていけばいいかとか手探りでやってって。後半今シーズンはそうなんですけど、今シーズンはやりすぎないように、どう練習していくかっていうのも、マリーナコーチともそうですし、ぼくともそうですし、なんとなくすごくいい状態で試合に挑めるという状態に持っていきましたけれども、そういった感じでいろいろ無理しないように向き合いながらやってきました。

村元 本当にずっとそばにいて隣で見てたんですけど、時には歩けなかったり、本当に今日は無理だったり、1歩一応氷には乗るんですけど、「ごめん、今日は滑れない」とか、本人がいちばんいろんな……「やりたいけどできない」という葛藤とか、本当に大変な状態で、たまに膝を貸してあげたいぐらいの気持ちだったんですけど。そういったときでも自分にできることはたくさんありましたし、少しでも負担を……違うかたちでできたらっていうのもあったので。アスリートには怪我っていうのは付き物だと思うので、本当にいろいろとメンタルと体と、いろんなフィジカルの面とバランスが大変だったと思うんですけど。それでもここまで来れたっていうのは、本当に努力、努力というか練習。2人で頑張ってきたというのもありますし、すごく大ちゃんに感謝しています。

―― 最後に、今後のお2人の活動についてうかがってもよろしいでしょうか。

高橋 哉中ちゃんが、現役というか競技会を続けるという選択をせずに引退してという選択をしてくれたので、ぼく自身はかなだいカップルとしてまだまだパフォーマンスをやっていきたいなとも思ってますし。1人として、個人としての高橋大輔としてもパフォーマンスをやっていきたいと思っているので。まあぼく自身は競技復帰のときからスケートを軸にエンターテインメントというところに携わっていきたいっていう、もちろんそこは変わらないので。まあ引退……これからですね、いろんなやりたいこともあったりするんですけど、そこで絶対やりたいというわけじゃなくて、いろんなことをしながら、派生してったものをどんどん広げていきたかったり。いろんなかたちでエンターテインメントの世界で関わっていきたいなというふうに思ってます。

村元 そうですね、私のも大ちゃんのほうから「ぼくは引退する」という話を聞いたあとに、「哉中ちゃんももし引退ってなったら、まだかなだいとしてパフォーマンスをしていきたい」というお話を聞いたときに、自分のなかでも「そうしていきたい」という思いは強くありましたし。新しいパートナーは探さないと決めていたので、引退しても大ちゃんとまだいろんな作品を作っていけるという楽しみと……。あとは、25年間スケートしかしなかった人生なので、ほかに何が自分が興味あるのかとか、いろんなことに挑戦したいなという思いと、あと大ちゃんのほうから「哉中は1人でも見せれるスケーターだよ」というふうに言ってくれて。で、なんかその言葉もすごくうれしかったですし、個人として、村元哉中として一スケーターで表現者としてパフォーマンスしていけたらいいなという思いはあります。


冒頭のやりとりの後も、約1時間に及んだ会見のあいだ、これまでとこれからについてのさまざまな質問に最後まで真摯に答えてくれた村元&高橋組。その最後の質問で、応援してきたファンの方々への思いを聞いてみました。

村元 大ちゃんをアイスダンスに誘ってからの三年間って、たぶんみんなもいろんな不安があったと思うんですけど、最終、「大ちゃんをアイスダンスに誘ってくれてありがとう」ということばがすごいたくさん来てて、それは本当に私も声をかけてよかったなと思います。これで終わりじゃない、これからやっとスタートするんだよという目で見てほしいなというか。あたたかくかなだいを見守っていただいて、本当に感謝しています。

高橋 ぼくは一度引退しているので、長いこと見てくださったファンの方は一度目の引退のときは本当にどうしていくんだろうという不安のなか、結構あったと思います。ぼく自身もやりたいことがわからなかったので。ただこの二度目の引退のときはぼく自身もほんとうにすっきりしていますし、いろんなことがあったなかでも応援し続けてくださって、すごくありがたいなと。ぼく自身、自分でも何やっているんだろうと思うような突拍子もないことをちょっとやったりするときも、温かく見守ってくれたり、逆に楽しんでもらったり、心の大きいファンの方がたくさんいらっしゃるので、これから新しい世界に行きますけど、またびっくりさせられるようなことができればいいなと思っているので、何が起こるかわからないんですけど、「ジェットコースター」とよく言われるんですけど、ジェットコースターにまだまだ乗っていただけたら嬉しいなと思っております。あとは、長い間、競技生活を応援してくださって、ありがとうございました。

   

発売中の「ワールド・フィギュアスケート」98号で行った単独インタビュー「行くべくして行った大会で最高の演技ができた」が、現役選手としての2人への弊誌の最後のインタビューとなりました。じつは引退がすでに決まっていた世界選手権直後の時期にお話を伺ったからか、競技についてだけでなく、5月に福岡で開催されるアイスショー「アイス・エクスプロージョン」のコンセプトやショーの作り方、パフォーマンスへの思いについてもじっくり語ってくれています。かなだいの新しい第一歩が見通せるようなインタビュー、こちらもあわせて是非ご覧ください。


長光歌子先生のコメント


哉中ちゃん、大輔君、
現役引退発表との事、この3年間、本当にお疲れ様でした。


アイスダンスに挑戦すると決めてから、私が知るだけでも幾多の困難に直面し、ご当人達にはさぞ波瀾万丈な3年間であったろうと察します。

けれども大輔に会うたび、その緊張感のある澄んだ目を見て、「ああ、充実した時間を過ごしているのだな」と嬉しく思っていました。

昨年末の全日本が終わった頃から「来シーズンはどうするのかな?」と気になり始め、埼玉のワールドで「もしかしたら一区切りつける気ではないか」との思いが私の中で大きくなっていきました。

もしそうなら最後の大舞台での彼らをこの目に焼き付けたいと、ワールドのフリーを見に行きました。
コロナ禍で制限されていた声出し応援が解禁された3年振りの会場で、足元が揺れるほどの大声援の中、彼らの素晴らしい演技が終了した瞬間、「見に来て良かった!!」と涙が溢れました。


国別対抗戦でリンクサイドに立って欲しいと大輔から依頼があった時、「やっぱり引退を考えているんだな」との確信に至り、いつもなら固辞するところですが、後先考えず「嬉しい!行く行く」と答えていました。

17年振りの懐かしい東京体育館で、しかもフリーはオペラ座の怪人!! そんな奇跡のような試合でリンクサイドに立たせてもらい、会場が一体となった完全な演技の披露や、演技後の会場が揺れるような大声援と共に、ピンクや黄色のK7D1バナータオルがお花畑のように溢れ日の丸が踊る会場を、彼らと同じ目線で見られた事、とても幸せに思います。マリーナ先生、哉中ちゃん、大輔に感謝で一杯です。


そして、ここまで彼らを引っ張ってくださったコーチや日本スケート連盟、トレーナーやファンの皆さまにも心より御礼申し上げます。


この3年間、どんどん上手くなって行く彼らの試合を見てきましたが、最近になって競技ルールに縛られない、自由な空間で感じるままに滑る彼らのスケートも見たい…との思いが頭の片隅で少しずつ大きくなっている自分も感じていました。


これからは、様々な場面で百花繚乱の如く鮮やかな姿を見せてくれるであろう二人に、今からワクワクしています。


今後のお二人の益々のご活躍、お祈り申し上げます。


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