2025年5月25日
エキシビションとスペシャルレッスンでスケートの魅力を届ける

友野一希ら、浪速フィギュアスケートフェスティバルで躍動

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「浪速フィギュアスケートフェスティバル2025」が5月17日、大阪・セントラルスポーツプラザ浪速アイススケート場で開催されました。昨年に続き2度目の開催で、このリンクを練習拠点とする友野一希選手が中心となり、昨年から引き続き出演の大島光翔選手、木科雄登選手に今年から三宅星南選手も参加。第1部エキシビション、第2部エキシビション、選手たちが直接指導するスペシャルレッスンが行われ、充実したイベントとなりました。写真たっぷりでお届けします!

はやくも来シーズンのプログラムをお披露目

「浪速フィギュアスケートフェスティバル2025」が開催されたのは大阪ミナミの中心・なんば駅から徒歩でもほど近い浪速アイススケート場。プールや体育館、ジムなどもある浪速スポーツセンターの地下1階にある常設リンクだ。日頃は一般滑走やスケート教室も行われており、友野一希が練習の本拠としている。ここで、事前に申し込んだおよそ500人の観客を迎えて行われた。(氷上コメントは第1回エキシビションより)

エキシビションの前には、それぞれ観客の前でスケーターたちが練習を披露。ハレの姿だけでなく普段の姿も見てもらうというコンセプトが感じられる。友野は最後まで練習に残り、来季フリー「Halston」の曲をかけて一部を滑ってみせていた。

エキシビションが始まると、まずは大島光翔が新フリー「フットルース」を披露。ミュージカルのアップビートな曲調に、彼自身のショーマンシップががっちりと噛みあい、楽しませるプログラムに仕上がっている。観客を煽る仕草や舞台さながらのキャッチーなムーヴメントもお手のもので、会場も初っ端から盛り上がる。大島はアンコールでも小気味のいいポーズを次々決めてみせ、「今日は新しい『フットルース』をお披露目することができ、来シーズンにつながるいい出だしだったんじゃないかと思います」と満足気だ。滑り終えると、氷上には客席から投げ込まれるたくさんの花が。リンクサイドではまとめ役の友野が慌ててフラワーガール(その実コーチやスタッフ)を氷上に送り出すなか、花を掲げて感極まった表情を作ってみせる大島。

続いては木科雄登。来季も継続のSP「Give Me Love」で、振付のそこここでリンクサイド立ち見の観客1人1人の目をしっかりと見つめ、内側から思いがこみ上げてくるようなスケーティングを見せた。アンコールではフリーの「序奏とロンド・カプリチオーソ」から一部を滑り、「今年でぼくのスケート人生はラストの1年で、今年の全日本で引退しようと思っているので、残り少ないぼくの試合をぜひ現地で見に来ていただいて、応援していただけるとうれしく思います」と、ファンの前では初めて自分の口から来季限りの引退を発表した。

フェスティバルには今年初登場の三宅星南。来シーズンのSP「In the Garden of Souls」を初披露した。無国籍風のメロディアスな調べと難しいリズムが織り成す名曲を、ひと蹴りごとに丁寧なスケーティングで描き出していく。ミーシャ・ジーの振付で、指先まで行き届いた動きはすでにアーティスティック。シーズンに向けての進化が楽しみなプログラムだ。「初めて参加させていただきます。たくさんのみなさんの前で滑ることができて、幸せです」と笑顔。

新SP「In the Garden of Souls」を舞った三宅星南 ©World Figure Skating/Shinshokan

トリは直前まで進行に気配りにと忙しかった友野一希。表情をぴしっと引き締めて氷上に滑り出ると、来シーズンに向けて早い時期から振付を行い、練り上げている新SP「That’s It(I’m Crazy)」を滑った。上体と足元がまったくぶれずに連動し合い、さまざまな音を同時多発的に拾っていくダンスの妙は友野ならでは。側転ものびやかに決め、ラストに向け盛り上げていく熱いプログラムに、観客からの声援も熱を帯びる。アンコールで昨季SPを滑ると、「こんなにたくさんのお客さんに見にきていただいて、本当にうれしいです。ありがとうございます。今年はなんと2回あるので、あと教室も実際にスケートを体験して、もっともっとフィギュアスケートを好きになっていただけたらと思います」と挨拶。

最後はグループナンバー「Thunderstruck」。友野が振付を担当、全員でアイディアを出し合ったという長尺の見ごたえあるナンバーだ。ギターサウンドに乗ってスピード感あふれる滑りを見せる、男っぽくかっこいい振付。後半に配されたそれぞれのソロパートでも、各人が自分らしさの発揮に余念がない。なかでも三宅は全身を激しく使ったエアギターで視線を釘づけに。第2回エキシビションでは大島のソロの途中で音楽が止まるハプニングがあり、観客にアピールして手拍手で乗り切ろうとするもあえなく断念。どうするのかと思えば、全員で音楽の頭からやり直すというサービス精神あふれる解決でおおいに盛り上がった。

スペシャルレッスンで選手たちが先生役に

第2回のあとは、参加者がスケート靴に履き替え、氷上で4人から直接指導を受けるスペシャルレッスンへ。上級・中級・初級の3グループに分かれた参加者を、トレーニングウェアに着替えた4人が、友野、大島、木科・三宅で分担して指導する。友野は「足元から踏み出すとき、次の足を優しく優しく置いてくださいね」と自身のスケーティングの秘訣を伝授。大島は「チェックマーク大事です! ジャンプが微妙でもチェックマークが綺麗なら!」と笑わせる。木科・三宅ペアは、意外にも熱血コーチタイプの木科がキビキビと進行し、三宅がこまやかに目を配ってサポートするという絶妙な役割分担。時間を決めて全選手が全グループを巡回しながら、1人1人を見て丁寧に指導したあと、デモンストレーションでジャンプやスピンをやってみせると歓声が沸いた。最初はフェンスの伝い歩きからスタートした初級グループも、最後には氷上で滑りを楽しむ進歩ぶりで、4人ともにかなりの指導力と見える。

会場にはイベントをサポートした元選手の姿も。須本光希さん(2017年全日本ジュニア優勝・ジュニアグランプリファイナル3位、2022-2023シーズンで現役引退)は、今回助っ人としてエキシビションで会場の照明を担当。曲に合わせた照明でエキシビションの雰囲気を盛り上げた。またスケート教室でも、スケート靴で指導をサポート。「現役の子たちは本当に上手だな! と改めて思いました。今年の全日本がまたすごく楽しみです。一希はみんながついてくる先輩なので、一希にしかできない世界観だなとグループ演技を見ても思いましたし、3人も楽しそうにやっていましたね」と感想を聞かせてくれた。現在は指導者になる勉強中だといい、コーチとしてまたリンクで姿が見られる日が楽しみだ。

ロビーで観客に声をかけられ写真撮影に応じていたのは、2023-2024シーズンで惜しまれつつ現役を退いた佐々木晴也さん。「純粋に観客の1人として来ました」といい、「グループナンバーめちゃくちゃよかったです。すごいクオリティでしたね! このリンクには、ときどき滑りに来ることもあるんです。近いのに見逃すわけにはいかないと思って」。現在京都大学在学中でプロスケーター・学生起業家でもあり、「いろいろリサーチしたり、さまざまな方々とお話しさせていただいています」と起業家としての現状も話してくれた。

>>次ページ:イベント後の囲み取材より選手コメント全文

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