2025年4月26日
氷上のミュージカルの集大成への期待を高めて

PIW前夜祭・町田樹トークショー 樋口新葉&三浦佳生、大いに語る

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プリンスアイスワールド2025横浜公演の開幕を翌日に控えた4月25日、「プリンスアイスワールド2025-2026『PIW THE MUSICAL~The Best of BROADWAY~』前夜祭・町田樹トークショー」が開催されました。PIW公式アンバサダーの町田さんと語り合う今年のゲストは、PIWでは常連ゲストの樋口新葉選手と三浦佳生選手。自身の現役時代の競技経験もまじえ、スケーターの本音を引き出す町田さんの巧みなMCに両選手が応えて、初めて明かされる興味深い話題が満載のトークとなりました。その一部をレポートします。

プリンスアイスワールド2025-2026横浜公演への期待を高めて

今年で5回目を迎えた「PIW前夜祭」。新横浜プリンスホテルで特製ディナーを味わったのち、トークショーに臨むのが定番となっている。恒例の町田樹&Aterier t.e.r.mデザインのスイーツは、町田さんの好物である白玉だんごをあしらったフルーツカクテル。また、広島に縁のある町田さんのアイディアで、大好きだという広島名物のあなご飯をアレンジしたメニューが供されるなど、このイベントならではのメニューに。

名MCぶりを発揮した公式アンバサダーの町田樹さん ©World Figure Skating/Shinshokan

いよいよトークショーが始まると、まず町田さんから、「今年のプリンスアイスワールドは、菅野こうめいさんが演出する、ミュージカルがコンセプトのアイスショーの集大成を迎えます。菅野さんは、ミュージカルの言葉を滑りで表現することに挑戦しようというテーマを掲げて、ここまで奮闘してこられました。さきほど集大成の演目(の前日ゲネプロ)を拝見したんですけれども、お世辞一切抜きで、すべてがレベルアップしていました。スケーターの技術もさることながら、作品も集大成として、振付もリニューアルして見違えるような作品になっていました。モニターとスケーターの連動も、いままで以上に見ごたえのあるものに仕上がっています。さすが菅野さん、3年で、フィギュアスケートでミュージカルを表現する最高レベルまで到達されたんだなとうれしく拝見した次第です」と、3年目のプロダクションへの期待を高めるコメント。

(左から)三浦佳生選手、樋口新葉選手、町田樹さん。競技経験を通じてトークがはずむ ©World Figure Skating/Shinshokan

樋口新葉選手と三浦佳生選手が登場すると、終了したばかりの2024-2025シーズンの振り返りからトークがスタート。シーズンを通しての成長を町田さんならではの語彙力で称えられ、2人が照れる表情に温かい笑いが起こる。町田さんが「ではここで、逆境というテーマで語ってみたいと思います。人生山あり谷ありで、生きていればやっぱり逆境はある。でも逆境のときこそ、人となりやスケーターとしての考え方が顕著に現れる気がします。三浦さんは昨シーズン、怪我という困難はどういう意味を持っていましたか」と問いかけると、三浦選手は「この怪我がオリンピックシーズンでなくてよかった。ぼく、基本的に逆境タイプなんです。下からグッと上げていくタイプで、試合でも逆境という言葉が好きです。怪我をして、練習をできない焦りも最初はあったんですが、この時間をどう有意義に過ごすかを考え、何をするにしても、本当に意味をもってやっていると実感しながらやっていました。いい時間が過ごせたなと思っていて、それが来シーズン生きていくと思う」と頼もしく語った。これに町田さんが「起こってしまったことは変えられないけれど、それをいかにポジティブに捉えるか。アスリートとして、人として大事なことがしっかりできていてすごい。その考え方ができるようになったのは、私は大学卒業間近くらいでしたよ。素晴らしいと思います。逆境好きの三浦佳生が、どこまで来シーズン逆境を跳ね上げてピークをポーンと突き上げられるか、楽しみです」と反応する。

「佐藤紀子先生にスケーティングを習い始めてから、(ジャンプが)安定するようになった」と振り返った三浦佳生選手 ©World Figure Skating/Shinshokan

樋口新葉選手には、「2年前の樋口さんは“楽しむ”をテーマに掲げていたけれど、私は選手時代、正直試合を楽しんだことは1回もない。試合は緊張するし、失敗できないという気持ちでした。スケーターって、本当に試合を楽しむことができるんだろうか? と思ったけれど、今年の樋口さんは楽しんでいましたね」と問いかけると、樋口選手は「安心して見ていただけるようになったのがすごくうれしい。いままでの自分じゃなくて、新しい自分みたいな場所に移動したようなイメージで、いい意味で吹っ切れたことを練習から感じることができていました。1つ1つのことに対して深く考えて、向き合いながらやっていくことで、自信を持てるような練習に取り組めて、結果的に試合での安定した演技につながった。表現の部分でも、“その先”に行けたような気がします。ひと言めで“楽しんでいます”というのはやはり難しかったけれど、振り返ったときに、ああ楽しかったなと思えたのがいちばんいいのかな」と昨季の活躍を振り返った。

自分らしい表現を追究するための秘訣を明かした樋口新葉選手 ©World Figure Skating/Shinshokan

三浦佳生、小学5年生で4回転に挑戦

ここから、両選手のストロングポイントについての話題に発展。三浦選手が小学5年生で4回転を練習し始め、小学6年生で初めて着氷したという驚きのエピソードから、スピードをめぐる談義やスケーティングの重要性について、また町田さんと三浦選手が交流した折の“言い間違い”事件など、楽しいエピソードがテンポよく紹介された。樋口選手の踊り心をめぐって、表現をする際に心がけている秘訣も明かされ、日ごろはあまり語られてこなかった、表現するうえでの興味深い取り組みに会場からも感嘆の声が上がっていた。これに町田さんが「演出とか、作り手のマインドも入っていますよね。明らかに振付師や演出にも興味があるんじゃ?」とツッコむと、樋口選手が「すごく興味ありますね」と打てば響くように答え、今後に向けても非常に期待が高まるやりとりに。オリンピックシーズンへ向けた新プログラムについても明かされ、三浦選手は「曲を選ぶときは毎回、全日本選手権の最後のジャンプを降りてノーミスしたときを想像して音楽を決めるんです」と独特な選曲メソッドを披露した。

最後に、「プリンスアイスワールドのお気に入りのナンバー」について、出演10回を数える樋口選手は「ひなこちゃんとつねくん(PIWチームの三澤日向子、唐川常人)が2人で滑っていた場面が大好きで、毎公演見に行っていたくらいです。もうひとつはフープでフライングをする場面!」、三浦選手は「ずっと前に、男性グループナンバーで『Natural』を滑ったのがいいなあと思って、のちにぼくも選曲しました」と、お気に入りナンバーをピックアップ。それを聞いた町田さんは「だったら、もしかしたら、今年のPIWはより鳥肌モノかもしれないです。まだすべては言えないけれど、明日、乞うご期待!」と、前夜祭らしくトークを締めくくった。

「全日本選手権を思い出す!」と三浦佳生選手 ©World Figure Skating/Shinshokan

最後は抽選コーナー。サイン入りグッズに加え、樋口選手、三浦選手がそれぞれ抽選箱から番号を引いて、ケッヘルの食事券を当選者に直接贈呈。三浦選手は「このボックス、全日本選手権の滑走順抽選みたい!」と笑わせた。興味深い話題が満載のトークと交流は、明日からのプリンスアイスワールド本公演への期待をふくらませて終了した。

フォトセッションで3人揃って撮影に応じた ©World Figure Skating/Shinshokan

樋口選手、三浦選手もとっておきのプログラムを披露する本公演は、4月26日、27日、29日、30日、KOSE新横浜スケートセンターで1日2公演が行われる。ミュージカルの世界を熱く表現するPIWチームに加え、ゲスト出演は荒川静香、村元哉中&高橋大輔、織田信成、田中刑事、樋口新葉、鍵山優真(以上全日程)、友野一希、中田璃士(以上26、27日)、佐藤駿、三浦佳生(以上29、30日)。さらに日替わりの歌唱ゲストとしてミュージカルアクターの笹本玲奈、小南満佑子、田代万里生、ウェンツ瑛士がショーを盛り上げる。

= INFORMATION =
プリンスアイスワールド2025-2026横浜公演
4月26日(土)、27日(日)、29日(火・祝)、30日(水)各日11:30、16:00/KOSE新横浜スケートセンター
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