「プリンスアイスワールド2024-2025」の東京公演が2月21日、東京・西東京市のダイドードリンコアイスアリーナで開幕しました。「A NEW PROGRESS BROADWAY ROCKS!」というテーマで横浜、鹿児島、長崎を回ってきたショーの最終公演地となる東京。宇野昌磨さん、高橋大輔さんとチームメンバーとのコラボなど、新しい試みとともに盛り上がった初回公演のようすや、終演後に行われた織田信成さんの囲み取材をお伝えします。
色とりどりの「ロック」をご覧あれ!
イエス・キリストの、1人の青年としての葛藤を描いた「ジーザスクライストスーパースター」の名曲とともに幕を開ける「A NEW PROGRESS BROADWAY ROCKS!」。「ヘアスプレー」「エリザベート」「ノートルダムの鐘」など誰もが知るミュージカルの大作のナンバーから、「SIX」や「春のめざめ」などの玄人好みの作品の名曲まで、ロックなプログラムの数々をプリンスアイスワールドのチームメンバーがかわるがわるさまざまな役になりきって魅せるショーだ。
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1部終盤の「You’re in The Band」(「School of Rock」より)のナンバーは、体育教師たちが子どもたちにスケートを教える楽しいシーンだが、東京公演ではそこにゲストスケーターも加わった。まずは宇野昌磨が白いセーターの制服姿で現れ、「スピンが上手くなりたい!」と訴える生徒役として登場。先生役のお手本の後すぐに華麗なスピンを見せ、小林宏一演じる体育教師が「お前にはもう教えることはない! 将来オリンピックに出れるかもしれないな!」と言うと、会場からは笑いが。「名前は何て言うんだ?」という問いかけには「しょうまです!」と答えるなど、芝居にも挑戦して会場を湧かせる。
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続いて、ステップを子どもたちに教えるシーンでは、「伝説の鬼コーチ」として高橋大輔が登場。「ステップは、“速く、細かく、元気よく”だ!」と熱弁をふるいながら超絶技巧ともいえるステップを披露し、キッズスケーターたちとともに、誰もが楽しめるコミカルで夢のある見せ場を作り上げる。
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ゲストスケーターによる珠玉の演技の数々
ゲストスケーターで最初に登場したのは、昨年引退を発表したのち数々のショーで様々な色のプログラムを滑ってきた本田真凜だ。彼女が今回選んだのは、「The Giving」。2017-2018、2020-2021のSPを、より滑りの美しさを見せるショーナンバーとして披露した。
次に登場したのは田中刑事。途中、音響トラブルで中断する一幕もあったが、再開後は冒頭から滑り直す気概を見せ、巨匠アンドルー・ロイド=ウェバーの代表作「オペラ座の怪人」の名曲に乗って、妖しくも熱情のたぎるファントムを演じ切った。観客のサイリウムはすべて赤く染まり、まるで地下の湖に浮かぶろうそくの火に会場が包まれたかのようだった。
1部最後に登場したゲストスケーターは、織田信成。1月に国民スポーツ大会(国スポ)で2度目の現役引退を迎え、このプリンスアイスワールドの東京公演でプロとしての再スタートをきる。再出発のプログラムに選んだのは「Send in The Crown」(「リトル・ナイト・ミュージック」より)。顔の半分に道化師のようなメイクを施して登場し、ときどきおどけた振付も織り交ぜながら、道化師の悲哀を氷上に描き、客席からはあたたかな拍手が降り注いだ。
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第2部では、まず村元哉中&高橋大輔が登場。「Symmetry」の地鳴りのような重厚な音色にピタリと添うようなスケーティング、頬を合わせてのターンなど、モダンさとほのかなロマンティックさの薫るパフォーマンスを披露した。
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荒川静香が今回滑ったのは、「Amethyst」。紫色の宝石の名を冠した曲の、力強さと優しさを兼ね備えた歌声のうえで、端正なジャンプも組み込みながら女性の強さと凛々しさを表現した、荒川静香にしか演じられないプログラムだ。
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最後に演技したゲストスケーターは宇野昌磨。この公演のために彼が選んだのは、現役最後の年のショートプログラム「I Love You Kung Fu」だ。恩師・ステファン・ランビエル振付の特別なプログラム。ヴァイオリンの音色とともに愛の激しさをシームレスな滑りで奏でた。
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最後は踊り出したくなるような「Footloose」に乗せた、華やかなフィナーレでショーは大団円へ。3都市を回って磨き上げてきた「BROADWAY ROCKS!」の充実ぶりが満ち満ちた雰囲気で初回公演は幕を下ろした。プリンスアイスワールド東京公演は、2月24日(月・祝)まで開催中だ。
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