それぞれが「感謝」を込めて滑るアイスショー
開演前には、会場の外で受付をする菊地竜生(明治大学2年)の姿もあるなど、全日本選手権などで活躍する選手たちが1人の学生として運営する姿が印象的だった「明治×法政 on ice 2025」。ショーは、江川マリア(明治大学3年)、吉野汐香(法政大学3年)、生方日凜(法政大学3年)の司会で始まり、笑顔溢れる3年生チームの司会ぶりに、冒頭から会場は和気藹々としたあたたかな雰囲気に包まれた。
まずは三浦佳生、住吉りをん、吉岡希の在校生スケーターによる演技披露。6分間練習に三浦と吉岡が遅刻してしまうというハプニングもあったが、住吉が可憐な滑りで会場を盛り上げる。
6分間練習が終わると、トップバッターの三浦佳生が演技を披露した。事前の取材では滑る曲を「直前に決める」と言っていた三浦だが、ストリートファッションのようないでたちで登場。昨シーズンのエキシビションナンバー「Natural」を、ジャンプの不在を感じさせない三浦らしい力強さ全開の滑りで展開した。
次に登場したのは住吉りをん。ハーフアップに結った清楚なヘアスタイルで登場し、長い髪をなびかせながら、春の風が優しく頬を撫でるような、ハピネスを振りまく演技で会場を盛り上げた。
在校生最後の演技を任されたのは吉岡希。滑り納めとなる「Lullaby for Sadness」を、ハイキックやイーグルも織り交ぜたキレのあるパフォーマンスで滑りきった。
在校生の演技が終わると、総勢30名の明治・法政両大学のスケート部部員によるグループナンバーへ。BIGBANGの「FANTASTIC BABY」のアップテンポな曲調に乗せて、部員が2人1組でスピンやイーグル、ジャンプなどの技を披露していった。練習の機会が少なかったというが、学生が全力で会場を盛り上げるエネルギッシュなグループナンバーに、観客は力強い手拍子を送った。
グループナンバーが終わると、製氷のため30分間の休憩に。モニターには卒業生へのインタビュー動画が流れ、会場東のパンフレット売り場には呼び込みをする三浦佳生や、購入した観客にお釣りを渡す住吉りをんの姿もあった。
休憩が終わると、いよいよ卒業生の演技へ。まずは川上晴菜(法政大学・人間環境学部人間環境学科4年)、橋本詩織(法政大学・キャリアデザイン学部キャリアデザイン学科4年)、須藤怜紗(法政大学・デザイン工学部建築学科4年)が、氷の上で滑る喜びを噛みしめるように演技した。
続いて登場したのは、3月に「滑走屋」への出演も予定している門脇慧丞(法政大学・経済学部商業学科4年)。今シーズン滑り込んできたショートプログラム「All By Myself」でしっとりと魅せた。
続いて滑った鈴木楽人(法政大学・経済学部経済学科4年)は、曲がなかなかスムーズにかからないトラブルにより2度滑り直しをすることとなったが、疲れを感じさせない若さ溢れる「She」を滑りきり、会場からは労いの拍手が送られた。
明治大学副将の堀見華那(明治大学・商学部商学科4年)は、今季のSP「エデンの東」を披露。神聖な雰囲気の曲ながら、最後の滑りを思い切り楽しむような笑顔いっぱいの演技を見せ、アンコールではフリー「ラ・ラ・ランド」に乗せて軽やかに氷上を駆け抜け、会場を自分の色に染め上げた。
堀見に続いて登場したのは、明治大学主将の大島光翔。父でコーチの大島淳から受け継いだ「Desperado」に乗せ、一蹴り一蹴りのスケートに感謝の思いを込めて滑り、アンコールの「Real?」では彼らしいイケイケの表現を見せて、自身の持てるすべての力を存分に発揮した。
最後に登場したのは渡辺倫果。競技では力強い音色のプログラムの印象が強い彼女だが、今回は「ムーンリバー」のドラマティックな調べを女性らしい仕草や表情で表現し、自らの演技力の幅広さをアピール。アンコールでは今季のフリー「ブエノスアイレスのマリア」を披露し、「ムーンリバー」とは一味違う鋭い目つきや歯切れのいいエッジワークを見せて会場を沸かせた。
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