2024年5月21日
衣装デザイナーの伊藤聡美さんに、様々な衣装の製作秘話をお聞きしました

コスチューム・ワールド~第1回・伊藤聡美~【前編】

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人気作品の衣装製作

—— 『オペラ座の怪人』や『SAYURI』などの人気の作品だと、複数の選手からオーダーされると思いますが、どう変化をつけていますか。

羽生結弦「オペラ座の怪人」2014年全日本選手権 ©Japan Sports

伊藤 それは本当に難しいです。どうしても自分のテイストがあるので、飾りのつけ方や素材の使い方は似てきちゃうんです。なので、その選手のスタイル全体を見たり、似合う色でうまくバランスはつけているつもりです。あとはあまり同じようなモチーフは使わない。いろいろな衣装を見ていると、同業者なのでこれ別の人の衣装で使っていたなとか、あそこで買ったんだなとかわかっちゃうんです。そういったことが解らないように工夫しています。

竹野比奈「SAYURI」 (2022年西日本選手権)©Takao FUJITA

—— 『SAYURI』の衣装は、エフゲニア・メドヴェージェワ選手や竹野比奈選手など、本当にたくさん作っていらっしゃいますよね。

エフゲニア・メドヴェージェワ「SAYURI」2019年スケートカナダ ©Japan Sports

伊藤 『SAYURI』はとにかくみんな着物をイメージするので、そこからは外れられないとちょっと諦めています。(笑)メドちゃんの場合は「力強くてかっこいいイメージの『SAYURI』の衣装にしたい」とご本人の希望があったので、黒にブルーのグラデーションを入れてパキッとするようなイメージ。比奈さんの場合は、見た目がたおやかな方です。『SAYURI』の映画の最後のシーンでさゆりがグリーンがかった着物を着ていて、桜が舞うシーンがあるんですけど、比奈さんとも「ああいうイメージの衣装にしたいね」という話になって。それでいままでの人とはちょっと違う美しさの衣装になりました。

後編はこちら>> コスチューム・ワールド~第1回・伊藤聡美~【後編】

後編では本誌に載せきれなかったエピソードをお届けしています!

プロフィール
伊藤聡美(いとう さとみ) 高校から服飾を学び始め、エスモードジャポンを卒業したのちにイギリスの芸術大学へ留学。帰国後はパフォーミングアーツの衣装などを手掛けるメーカーに勤務し、2015年に独立。以後、数々のトップスケーターの衣装を手掛ける。今季は「BEYOND」「プロローグ」といったアイスショーの衣装製作にも携わっている。
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