2024年10月15日
怪我から復帰して世界に挑む韓国のエース

INTERVIEW チャ・ジュンファン「大好きなこの競技に絶対に戻ってきたかった」

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現在、モントリオールで開催中の世界選手権に前回大会の銀メダリストとして臨んでいるチャ・ジュンファン選手。今シーズン序盤は怪我に苦しみ、スケートカナダでSP2位から総合9位に沈んだ後、グランプリシリーズ2戦目を欠場、12月の韓国選手権で競技に復帰し、2月の四大陸選手権で国際大会に戻ってきました。復帰戦で3位に入り、自身2つ目の四大陸選手権メダルを獲得したあと、WFSのインタビューに応じてくれました。韓国のエースとして、世界のトップスケーターの1人として歩みを進める彼が、今季向き合ってきた怪我との闘い、プログラムを通して見せたいもの、そして日本のアイスショーで活躍した夏のことも聞いてきました。

右足はスケート靴を履くだけで痛んだ

―― 見事なカムバックでした。四大陸選手権で2度目の表彰台おめでとうございます。
ジュンファン ありがとうございます! 昨日はフリーを滑り終えることができて、競技に戻ってこられたのでハッピーです。怪我は自分でコントロールできることではないので、昨日も万全というわけではなく、完璧な滑りとはいかなかったけど、昨日の自分のベストを尽くすことはできたと思う。今回悔しかったことは今後へのバネにしていけると思います。スケートカナダのあとは国際大会には出られていなかったし、今回は準備が整っている状況ではなかったので、緊張もかなりしました。そのなかで、どの瞬間も自分自身に集中して、うまくやることができたと思うので、自信が得られる大会になりました。

―― スケートカナダから今大会までの怪我の状況や、どう対処してきたのかお話しいただけますか。
ジュンファン 足を痛めたのはスケートカナダの直前でした。練習もままならなかったけど、諦めたくない一心でスケートカナダには出ると決めました。でも、正直きつかった。ただ、そのおかげで自分のすべきことが見えてきて、回復に時間を充てることを選択しました。氷から離れて足を休ませる時間が必要だったから。だけど、韓国選手権がすぐ迫っていて、まるっと休むというわけにいかず、ほんの少し滑って、ほんの少しトレーニングをしてという感じで、足首にリスクを負わせないように休み休み練習していました。きちんと練習を再開したのは2回目の韓国選手権(韓国選手権は年2度行われる)が終わってからで、2週間か3週間ほどの準備期間で今大会にやってきて、いまここにいるという感じです。

©Manabu Takahashi

―― 痛みがあったのはどちらの足首ですか。
ジュンファン 右の足首です。スケート靴を履くだけで痛むくらいでした。

―― 氷上のトレーニングを減らしているあいだはどう過ごしていましたか。
ジュンファン オフアイスのトレーニングに集中していました。それが唯一できることだったから。氷上練習は減らして、ちょっとずつ陸上トレーニングを増やしていきました。試合に出るためにはもっと氷上練習をしないとダメだってもどかしさもあったけど、そのときはそれがいまの自分にできる最大限のことだと思った。だから、スケートの練習を最小限にして、オフアイスのトレーニングを最大限にするというのは正しい選択だったと思います。

―― 試合に出られないあいだは、気持ちの面はどうコントロールを?
ジュンファン それはもう大変だった。そうだな、なんていうか……

―― 誰かに助けてもらった?
ジュンファン そうだね。両親をはじめ、家族やコーチ、周りの人たちみんなに助けてもらいました。それでもやっぱり大変だった。どうにかポジティブに考えるようにはしていましたけどね。大好きなこの競技に絶対に戻りたいと思って、「時間をかけろ、焦るな」って。

―― その期間、グランプリやほかの試合はどうご覧になっていましたか。
ジュンファン 見られないときもありました。ちょっと離れたいなと思うときもあって。でも、そのときに見ないというだけで、試合はあとから見ていましたよ。グランプリを欠場してしまったけど、ぼくも練習は続けていたし、世界中の仲間たちの滑りを楽しんで、みんなのがんばりをうれしくも思っていました。でも、見ていると、自分も一緒に滑りたいって思っちゃうんですよね。

―― スケートのことを考えないようにするために何かほかのことをしたりは?
ジュンファン 昼寝。(笑)よく寝るようにしていたけど、そこまで特別なことはしてないかな。オフアイスのトレーニングを増やすくらいで、いつも通り過ごしていました。

プロフィール
Junhwan Cha ちゃ・じゅんふぁん 2001年10月21日、韓国・ソウル生まれ。2016年ジュニアグランプリファイナルで3位に入り、韓国男子として初めて表彰台に上がると、翌年には16歳で母国開催の平昌オリンピック代表に選出。その後も、2018年グランプリファイナル3位、2022年四大陸選手権優勝、2023年世界選手権2位など、韓国男子初のメダルやタイトルを次々叶える。2022年北京オリンピック5位。今季はスケートカナダ9位のあと、怪我のためグランプリシリーズを欠場し、4ヵ月ぶりの国際大会となった四大陸選手権で3位に入った。
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