2024年12月8日
同郷の憧れ・高橋大輔プロデュース「滑走屋」に出演!

INTERVIEW 三宅星南「高橋大輔さんのショーにプライドと自覚をもって挑戦」

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この連休、高橋大輔さんがプロデュースする新しいアイスショー「滑走屋」に出演している三宅星南選手。氷上のたたずまいに気品を感じさせ、ミュージカルやバレエの音楽ではドラマティックに主人公を演じ、アップテンポな音楽でも会場を沸かせる……どんなときも、華を感じさせるスケーターです。フィギュアスケートへの想い、同郷の憧れである高橋大輔さんのこと、「滑走屋」に向けての抱負を聞きました。

課題に向き合う日々

―― ここ数シーズン、とても成長した姿を見せてくださる三宅選手ですが、今シーズンについてはどんなふうに受け止めていますか。

三宅 今シーズンだけではなく昨シーズンも含め、この2年くらい、いろいろな課題に1つ1つ取り組んでいくシーズンが続いていると思っています。靴のこと、体調面のこと、いままで取り組めていなかった部分に取り組み、答えを見つけるために動くようなシーズンになっているのかなと思っています。

―― 取り組んできたなかで一番の課題とは、何ですか。

三宅 この2シーズン悩んでいるのは、スケート靴の調整の問題です。試合に合わせられなかったり、思うように練習できなかったりというのが続いていたのですが、その問題を解決できれば、パフォーマンスがよくなるという感覚があって、国体前からだいぶ答えが見え出しました。靴に頼りすぎないようなパワーとか身体が出来上がってきたのも含めて、少しずつ強くなっていけているのかなと思います。日々成長という感じです。

―― 2024年が始まりましたが、今年はどんなふうに過ごしていきたいと考えていますか。

三宅 12月の全日本選手権のフリーのとき、どんな状態で試合に臨んだとしても、絶対やってやるという強い気持ちで滑り切ることができました。いままでだと、そういう気持ちがあると、空回りしてしまうこともあったんです。ぼくのあとに滑った最終グループの選手を見ていると、やっぱりこのままだとだめだなという部分と、自分もそうなりたいって強く思う気持ちになりました。年末年始にかけていろいろ考えて新しく始めたこともありますし、今年はどんどん行動していって、自分が理想とするものに妥協なく取り組んでいけたらいいなと思っています。

―― 三宅選手の渾身のフリー演技は強く印象に残っています。全日本の男子シングルの試合は、選手のみなさん自身も「神試合」と言うほど、素晴らしい試合になりました。

三宅 自分の演技が終わるまでは、自分に集中していたので、周りの選手の演技は見れていなかったんですけれども、自分の演技が終わって最終グループの演技を見ると、やっぱりすごいなという気持ちになりましたし、自分がここにまだ立つことができない悔しさも感じました。でも同時に、絶望感というよりは、ここに立ちたいという自分のなかでワクワク感があり、まだまだ自分が成長できることがいっぱいあるなと思えました。トレーナーさんと一緒に試合を見ながら、自分に足りないものの話をしていました。本当にすごい試合でしたし、自分がそこに入って戦いたいという気持ちになりました。

―― いまの自分に必要なものは、何だと思いますか。

三宅 やっぱり4回転に対する気持ちはすごく大きいと感じます。4回転を跳ぶときに躊躇してしまっている気持ちがあります。4回転を普通に跳ぶために、トレーニングを見直して、強い身体を作って、練習をしっかり積んでいかなくてはなりません。そのためには、体調を崩したり、怪我があるといけないので、食事や生活の面から見直そうと思いました。年末年始によく考えて、それが行動に移せている部分と、まだできていない部分があります。いっぺんに全部は体力的にも難しいと思いますが、少しずつ取り組んでいって、次のシーズンを迎えるころには、ここ2年くらい悩んできた靴の問題や以前の自分を超えていけるのかなと思います。それを目指して、いまは1つ1つ理想に近づいていけるようにがんばりたいです。

新作EXはちょっとダークな自分を

―― 昨年の「ICE EXPLOSION」は「人生が変わる経験だった」と話されていましたが、今回また高橋大輔さんが立ち上げる新しいアイスショーのメンバーに選ばれたのは、どんなお気持ちですか。

三宅 アイスショーに呼んでいただけるだけでうれしいんですけれども、とくにやっぱり憧れていた高橋大輔選手がプロデュースされるアイスショーに呼んでいただけるのは、本当にうれしいです。ぼく自身もまだどういうショーになるかわからないんですけれども、新しい挑戦の部分がたくさんあると思うので、このアイスショーでも成長して、何かをつかんで終われるように、他の選手たちと力を合わせながらがんばりたいなっていう気持ちです。

―― 全日本選手権でも競い合った年代の近い選手たちがこれだけ出演するショーも珍しいと思いますが、メンバーについてはいかがですか。

三宅 日頃はライバルとして切磋琢磨しているみんなと一緒になって何かを作り上げるという経験はなかなかできないことですし、それをできるっていうのがすごくうれしいです。とくに、小さいころから岡山で一緒にやっていた(木科)雄登と(島田)高志郎くんと3人一緒にアイスショーに出るのは初めての経験なのですごくうれしいですし、やりきったといういい思い出に残るショーにしたいです。

―― 同世代のメンバーがたくさん集まるなかでは、三宅選手はどんなポジションになりそうですか。

三宅 (友野)一希くんとか近い年の頼れる先輩たちもいますし、同期も少し下の後輩たちもいるので、どういう立ち位置になるかは難しいところですけど(笑)、上下関係なく、困っている人がいたら助けられる立場になれたらいいなっていうふうに思いますね。そういう力を合わせていけるような雰囲気作りもできるような存在になれればいいなって思っています。

―― すごく頼もしい言葉ですね。

三宅 いつもは先輩方に引っ張ってもらっているところがあるので、今回は少しでも力になれる部分があればいいなというか、そういうふうになれるようにがんばります!

―― 「滑走屋」でとくに見てほしいところは?

三宅 いろんな選手と滑る場面であっても、ソロの場面であっても、どんな演目であっても、力を入れてやっていきたい気持ちです。ソロのナンバーは今回新しくエキシビションナンバーを作らせていただきました。いつもと違って、ちょっとダークな部分を見せていけたらと思っています。吉野晃平先生に作っていただいたんですけど、先生はジュニアの頃からぼくをよく知っているので、ぼくが苦手にしている動きをあえて入れてくださったりしているんです。

―― 今回の公演は1日3回、75分間のショーで、かなり攻めている内容だと思いますが、その点についてはいかがですか。

三宅 本当に未知な部分がありますよね。ぼくは命を削って……ではないですけれども、結構集中してアイスショーに臨む感じなので、果たして最後までもつのか?と不安な部分もありつつ、やっぱり新しいことを挑戦されるときに呼んでもらえたことは光栄ですので、プライドと自覚をもってやりきりたいという気持ちです。

高橋大輔さんに憧れる一番の理由

―― 2014年10月、高橋大輔さんがシングルを最初に引退発表された岡山での会見に、三宅選手が倉敷の後輩選手として、花束と手紙を渡していた姿を覚えています。

三宅 あの日、控室で最初にお会いしたときは、すごく緊張しました。長光(歌子)先生もいらっしゃいました。ちょうど全日本ノービスの前くらいだったと思うんですけれども、憧れの方とお会いできて、すごいパワーをもらって、試合をがんばろうって思ったのを覚えています。いまこういうふうに高橋選手のアイスショーに出させてもらえるとも、長光先生に教えてもらえるとも、その時は全然考えていなかったので、当時の自分が今の状況を聞いたら、すごくびっくりするだろうなって思います。

―― 高橋大輔さんのどんなところに憧れているのでしょうか。

三宅 本当にたくさんあるんですけど、ぼくがいちばん憧れている部分は、人に伝えられる演技です。他の方の演技を見て感動したりもするんですけれども、とくに伝える演技ができるのは高橋選手なのかなって思っています。小さいころからずっと憧れていましたし、目指している部分でもあるんですけれども、やっぱり見ているだけで自分が奮い立つような感覚がすごい。バンクーバー・オリンピックのときの「道」の演技がぼくはとくに好きで、よく見返したりするんですけど、何回見ても色あせないというか、すごく伝わってくるものがありますし、勇気をもらえます。そういうものを伝えることができるのが、ぼくが高橋選手にいちばん憧れているところです。

―― 小さい頃の三宅選手にとっては、世代が違うので、まさか全日本選手権など同じ大会に出場することはまったく想像していなかったでしょうね。

三宅 現役復帰された時も本当にびっくりしました。嘘か本当かわからなくて、本当だと知ったときは、すごくうれしかったです。アイスダンスに転向されるときもびっくりしました。びっくりしたんですけど、やっぱり、高橋選手は新しい道を切り拓いている方だと思いました。そういうことが出来てしまう方なのかなって。先ほども話しましたが、一緒の試合に出られるなんて本当に思ってもいなかったので、当時の自分に伝えたら、「絶対嘘だろ?」と言われていたなと思います。

―― いま高橋さんを長年指導した長光歌子先生についていらっしゃいますが、先生はどんな方ですか。

三宅 人間としても尊敬できる先生です。いろいろなことを助けていただいて、ありがたいですし、本当にすごい存在だなって思います。ぼくがそういう立場になったら、そういうふうに動けるかというと、なかなかできないことまで、ぼくにしてくださいます。いつか必ず恩返しをしたいという気持ちです。

―― では最後に、三宅選手はフィギュアスケートの何に一番魅力を感じているのでしょうか。モータースポーツやサッカー、アニメなど趣味も幅広いですが、フィギュアスケートの何が特別なのでしょうか。

三宅 自分でも「なんでフィギュアスケートなんだろう?」「フィギュアスケートで何をしたいんだろう?」って、考えることもたくさんあったんですけど、最近すごく思うのは、フィギュアスケートって、自由に表現できることがすごく強みなスポーツだということ。小さい頃から携わってきて、フィギュアスケートなら何か表現できると思っています。表現するのはすごく難しいんですけれども、他のことよりは、フィギュアスケートが自分のなかではいちばん表現できるものだと思います。今年だったらフリーのプログラム「A Question of Honour」は、サッカー日本代表の試合の導入などで使われたりする有名な曲なんですけど、サッカーのワールドカップを見てすごく感動したり、普段サッカーを見る中で感動したりする部分を自分で表現したいと滑っていました。そういった趣味も含めて、自分の表現したいものを、自分が好きなものを自由に表現できる。そこがフィギュアスケートの魅力だと思っています。

ーー ありがとうございました。今後のご活躍を楽しみにしております。

(2024年2月上旬に取材)

※滑走屋のフォトギャラリーはこちら>>高橋大輔が全面プロデュース!アイスショー「滑走屋」が福岡で開幕

プロフィール
三宅星南 Sena MIYAKE 2002年3月26日、岡山県生まれ。関空スケート所属。2017年より憧れの高橋大輔を指導していた長光歌子コーチに師事。2022年四大陸選手権4位。名前の「せな」は、父親が好きなブラジルが生んだ伝説のF1レーサー「アイルトン・セナ」から、漢字は「南十字星のように輝いてほしい」という願いが込められている。2月10~12日、高橋大輔がプロデュースするアイスショー「滑走屋」(福岡市・オーヴィジョンアイスアリーナ福岡)に出演する。
▶イベント開催情報
滑走屋
2月10~12日 11:00/14:30/18:00開演 ※1日3回公演
公式サイト
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