2025年11月24日
田内誠悟選手のコーチとして全日本ジュニア選手権に初参加したカナダのレジェンド

INTERVIEW ブライアン・オーサー「誠悟にとって結弦は最高の憧れ」

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ジュニアの日本一を決める全日本ジュニア選手権の第1日目が11月23日、東京辰巳アイスアリーナで行われました。羽生結弦さん、ハビエル・フェルナンデスさんらを育てた名将ブライアン・オーサーさんが、田内誠悟選手(星槎国際名古屋)のコーチとして来日し、リンクサイドでショートプログラムの演技を見守りました。今年5月からトロントの名門クリケットクラブで指導する田内選手について話を伺いました。

セイゴはじつにユニークな資質を持っている

ーー まず、田内誠悟選手のショートプログラムの演技はいかがでしたか?
オーサー 普段の練習でできているほどには良くなかったですね。ここ最近、彼はトリプルアクセルに苦戦していて、どうにも緊張してしまうんです。

ーー どこからくる緊張だと思われますか?
オーサー 分からないけど、良い演技をしたいという気持ちが強いんでしょうね。本当に一生懸命に練習していますから。

ーー SPの演技前にはどんなアドバイスをしましたか?
オーサー できるだけ“普通でいる”ように、と伝えました。若い選手たちにとっては、自分の普段の感覚や滑り、そして練習を信じるというのが難しいんです。だから、彼らは緊張する。私も若いころは緊張していたので分かります。難しいですよね。

ーー トロントに来てから、田内選手には、どの部分を指導してきましたか?
オーサー 全部です。スケーティングスキル、振付、ジャンプ。4回転トウループも練習していましたし、トリプルアクセルもすごく良かったんですが、ここ数週間が少しおかしくなっていて。でも、スケートってそういうものなんですよ。

ーー オーサーコーチから見て、田内選手はどんなスケーターですか?
オーサー じつにユニークな資質を持っています。スタイルがとても良くて、ちょっと楽しくて、少し個性的な雰囲気もある。ただ、技術的に直すべき部分がいくつかあって、それには時間が必要です。彼がうちに来てまだ半年くらいかな。6月に来たと思うので5ヵ月くらいです。そんなに長くはないですが、本当に熱心に練習しています。

ーー 全日本ジュニア選手権にいらっしゃったのは、今回が初めてですよね。日本のジュニアについての印象は?
オーサー ジュニアナショナルは初めてです。すごくいいですね。ジュニアグランプリでも見ていますし、こちらで練習したがる男の子もいます。たまにリオ(中田璃士)と一緒に練習するジュニアの男の子がいて、彼らは友だちなんです。なので、2つのクラブの間で良い関係ができつつあります。本当にジュニアの層は厚いです。女子も強いし、4回転を跳ぶ子もいて、素敵なプログラムを滑っている子もいますよね。

ーー そのなかで田内選手も戦っているわけですが、いまは何が必要だと思いますか?
オーサー まずメンタルの準備です。とても緊張しやすいので。それが彼にとっていちばん取り組むべきところだと感じています。

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ユヅルと同じリンクで練習することが大きな刺激

ーー シニアの話になりますが、今季はオリンピックシーズンです。男子シングルの戦いをどうご覧になっていますか?
オーサー かなり予測が難しいですね。イリア・マリニンはよいシーズンを送っていますが、それ以外は本当に混戦です。オリンピックシーズンにはよくあることで、選手が集中しすぎたり、逆にオリンピックのことを意識しすぎて気が散ったり、とにかくプレッシャーが大きいんです。特に男子はそういう傾向を感じます。女子はとても強いですね。モネ(千葉百音)も素晴らしいし、アンバー・グレンも素晴らしい。本当にいい演技が多いです。

ーー 田内選手は羽生結弦さんを尊敬しているといつも話しています。オーサーさんから見て、どんな点が似ていると思いますか?
オーサー 彼はユヅルのスケートを尊敬していると思いますが、2人のスケートスタイルはまったく違います。本当に別のタイプです。でも、憧れる相手としてはいい。最高ですよね。最高の選手を目指すのはいいことです。そして、誠悟が(ユヅルが練習した)同じリンクで、あの誰もが知っているリンクで滑っているということが、彼にとって大きな刺激になっていると思います。

ーー どうもありがとうございました。

(2025年11月23日、全日本ジュニア選手権男子SP後の共同取材より)

田内選手はショートプログラム12位から、24日のフリーに挑みます。

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