2024年6月14日
学生最後のシーズン、掴んだ全日本への切符

STORIES④本田真凜 強い自分をお見せできるように

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日本のフィギュアスケーターの大半が最大の目標としているのは、フィギュアスケートの日本一を決める全日本選手権。
全日本の出場権を掴むためには、ブロック大会と、東日本選手権または西日本選手権を勝ち抜かなければならない。
そこへ挑む大学4年生には、節目の年ということで特別な思いがある。それは、華やかな魅力で人気を誇る本田真凜にとっても同じだ。

シーズンインを迎える前の夏、本田は新作のアイスショー「ワンピース・オン・アイス~エピソード・オブ・アラバスタ~」にヒロイン・ビビ役として出演。その可憐な魅力が役柄にピタリとはまって観客を惹きつけ、大きな話題を呼んだ。だがその傍ら、本田は節目のシーズンに向け、2つの新しいプログラムの準備にも懸命に励んでいた。

今回(のショート)は自分のスケート人生だったりとか、そういうものを……光と影をこの曲で表したいっていうのを自分からお伝えして作っていただきました。滑っていても本当に気持ちが入り込んで、滑りやすいプログラムですし、自分のいままでの小さいときからの思いを曲に込めて滑っています。

東京選手権、ショートプログラム後のインタビューにて

(フリーは)「リトルマーメイド」の曲なんですけど、もともとは去年のプログラムを引き続き練習していたのですが、この曲で滑ってみたいなと思って。振付の(宮本)賢二先生と相談して、「めっちゃいいやん」ってなって、お願いさせていただきました。振付をしているときから、自分で滑っていて本当に楽しく、練習からキャラクターになりきってできています

東京選手権、フリー後のインタビューにて

逆転劇の東京選手権

ありったけの想いを込めて振付師と作った2つのプログラム。これらがお披露目されたのは、9月22~24日に開催された東京選手権(東京都西東京市・ダイドードリンコアイスアリーナ)だった。全日本への第1歩となる大会だ。

女子ショートが行われたのは大会2日目の9月23日。初めて観客の前で新しいショートプログラムを滑る機会だったが、1本目のトリプルサルコウで本田は転倒。その後のダブルアクセルやスピンでも綻びが生じ、17位に沈む。演技後のインタビューでは言葉少なだった。

自分の体の部分で不安があったのと……でも最後まで丁寧に滑ることができたかなって思います。明日はもっと縮こまらずに思い切りがんばれたらいいなと思います。

東京選手権、女子ショートプログラム後のインタビューにて

翌日のフリー。明るい紫色の衣装に身を包んだ本田は一際美しかった。演技の終盤でいくつかミスはあったものの、アリエルの優しい歌声は本田の滑りと一体になっていた。演技後の本田の顔には、花が咲くような笑みが浮かぶ。

まず昨日に比べると、本当に最初から最後まで自分のプログラムの役に入り込んで、楽しく滑れたかなっていうのは、いいところだったかなと思います。まだまだ構成とか、そういった部分ではベストな状態には程遠いので、そこを東(日本選手権)までにもう少し……安心してみなさんが見てくださるようなジャンプができるように。それプラス、自分の100%の表現ができる姿を目指してがんばりたいなと思います。

東京選手権、女子フリー後のインタビューにて

晴れやかかつ向上心をたたえた言葉で、第2予選の東日本選手権を見据えた。

青木祐奈と号泣した東日本選手権

東日本選手権と西日本選手権は、全日本への切符をかけた大一番。毎年「この大会がいちばん緊張する」という言葉が選手たちから口々に聞かれる。

シニア女子で全日本へ進出できるのは、東日本選手権の出場者27人のうちわずか5人。大会が行われたのは、青森県八戸市のテクノルアイスパーク八戸だ。東京から新幹線で約3時間の“氷都”での開催である。客席には、本田の名前が書かれたカラフルな手製のバナーがいくつも揺れていた。


ショートプログラムが行われた11月3日、歓声に後押しされるようにリンクに進み出た本田は、東京選手権から格段に成長した姿を見せた。難度を上げたコンビネーションジャンプを成功させ、最後のジャンプで手をつくミスがあったものの、スピンはレベル4をそろえて、4位という好位置につけた。

本当にミスをしないぐらいまでジャンプの成功率が今回は上がっていて。なので、最後は成功できたジャンプを手をついてしまったので、それがすごく悔しいですし、もったいないなっていうふうに終わってすぐは感じたんですけど。ちょっと時間が経ってみると、最近の試合のなかではすごく伸び伸びと1つ1つ落ち着いて演技ができたんじゃないかなと思うので、よかったかなと思います。

東日本選手権、女子ショートプログラム後のインタビューにて

翌11月4日、すべてが決まる運命の日。最終グループに登場した本田にファンから精一杯の声援が降り注ぐなか、彼女は胸に手を当てながらスタート位置についた。しかし、ジャンプでミスが相次ぎ、キスアンドクライでの本田に笑顔はなかった。あと3人を残した時点で3位。後続の選手の結果次第で全日本の出場の是非が決まるという瀬戸際だった。

しかしフィギュアスケートの女神は本田に微笑んだ。全選手が滑り終えた時点で5位となり、全日本への切符の最後の1枚を本田はギリギリ掴み取った。ロッカールームにいた本田にこの吉報を知らせたのは、小さい頃から切磋琢磨してきた親友、同い年の青木祐奈だった。

青木祐奈ちゃんが「いけたよー!」っていう感じで飛び込んできてくれて、号泣してました。(笑)

いつも毎年私が決まったら泣いてくれるのが祐奈ちゃんなんですけど、今年はお互いに大学4年生の年っていうこともあって、本当に試合の前から支えてくれました。ノービスの頃から海外試合とかも一緒に行ってた親友なので、どんなときでも支え合ってこれたんじゃないかなっていうふうに思います。また今年一緒に全日本に出場することができてすごくうれしいです。

東日本選手権、女子フリー後のインタビューにて

すべてが決まり安堵したあと、本田は今大会へ向かう日々を振り返った。

正直、東京ブロックのショートのあとは、本当に気持ちがいまにも折れてしまいそうなぐらいだったんですけど、今日のこの「うれしいです」っていうインタビューを受ける日を想像しながら……とりあえず自分ができるところまで精一杯がんばろうっていう気持ちでやってきました。もうベテランと言っていいほどスケート生活は長いので、試合の持っていき方とかは、ここぞっていうときに自分はできるんだっていう強い気持ちを持ち続けて、今日は挑めたと思います。

東日本選手権、女子フリー後のインタビューにて

大学4年生で掴んだ全日本への切符。この結果を受けて、本田は9大会連続で全日本への出場権を獲得したこととなる。大きなターニングポイントとなるであろう今シーズンの全日本選手権。本田はそこへ向かう感情を、シンプルかつきっぱりとした言葉で表現した。

今日みたいに点数を何点以上と考えての緊張はないと思うので、しっかりがんばって、また強い自分っていうものをみなさんにお見せできるようにしていきたいなと思います。

東日本選手権、女子フリー後のインタビューにて

すべてから自由になった本田真凜を、阻むものはなにもない。

熾烈な戦いを制した選手たちが顔を合わせる大舞台は、12月21~24日、長野県長野市のビッグハットで開催される。

全日本フィギュアスケート選手権は、男女シングルを地上波で放送予定。
https://fod.fujitv.co.jp/


12月1日発売の「ワールド・フィギュアスケート 99号」では、「ワンピース・オン・アイス」特集内にて、本田真凜選手と本田望結選手の対談を掲載しています。

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