ISU選手権の代表選手発表に続き、日本スケート連盟・竹内洋輔フィギュア強化部長が選考理由について説明を行った。その要旨を以下に掲載する。
各選手権大会代表 選考理由
◎世界選手権2025
男子:1枠目は全日本選手権優勝者の鍵山優真が内定。2枠目の選考については、全日本2位の中田璃士は年齢で対象外であり、国内・国外の競技力を比較し、おもに国際的な競技力を見て佐藤駿を選出した。3枠目は2枠目で選ばれなかった選手のなかから、まず候補として壷井達也、三浦佳生、山本草太がテーブルに上がる。今回の世界選手権はオリンピックの枠がかかる重要な大会であり、世界選手権はワールドスタンディングのポイントによって、上位12名が後半グループで滑ることができる。鍵山優真、佐藤駿、三浦佳生については後半グループで滑ることができることも加味したうえで、最終的に今回の全日本およびこれまでの派遣競技会から検討を行い、3枠目として壷井達也を選考した。
女子:1枠目は全日本選手権優勝者の坂本花織が内定。2枠目については、全日本2位の島田麻央は年齢で対象外であり、国内と国際の競技力を比較し、千葉百音を選出した。3枠目は候補のあいだで実績と内容を競技力として比較し、樋口新葉を選考した。
ペア:競技力を総合的に判断し、三浦璃来&木原龍一、長岡柚奈&森口澄士、清水咲衣&本田ルーカス剛史を選考した。なお、清水&本田は、すでに代表に選出されているアジア大会においてCTES(コンバインド・トータル・エレメンツ・スコア/SPとフリーのテクニカルスコアの合計スコア)が獲得できた場合に出場できる。
アイスダンス:1枠のみのため、全日本優勝者である吉田唄菜&森田真沙也を決定した。
◎四大陸選手権2025
男子:鍵山優真は出場を希望しなかった。枠取りの必要性から、壷井達也はポイントを上げていくことと、国際舞台でプロモートしていく必要から、1人目として選出した。三浦佳生は世界選手権への選出を行わなかったため、今後来年に向けて選手権大会のポイントを取っていく必要があることから選出。3人目の友野一希は四大陸の選考基準のなかから比較して選出した。
女子:坂本花織は出場を希望しなかった。選考基準に載っている選手のなかから、後半2グループに入るため、ポイント獲得とプロモートの必要性から、千葉百音、樋口新葉を出場させる必要があると判断した。3枠目として、競技力をみて松生理乃を選考した。
ペア:清水咲衣&本田ルーカス剛史に関しては日程が世界ジュニアと近接しているため、選出しない。そのため、三浦璃来&木原龍一、長岡柚奈&森口澄士を決定した。
アイスダンス:枠が複数あるため、吉田唄菜&森田真沙也、田中梓沙&西山真瑚を選出した。
◎世界ジュニア選手権2025
男子:1枠目は全日本ジュニア優勝者の中田璃士が内定。2枠目以降は中田璃士以外から、まず高橋星名を選考。中村俊介は国際大会はジュニア、国内大会はシニアに出場しており、3枠目として中村俊介、西野太翔、垣内珀琉のなかから検討を行い、国際大会の結果や全日本の内容を踏まえて中村俊介を選出した。
女子:1枠目は全日本ジュニア優勝者の島田麻央が内定。2枠目以降は島田麻央以外から、和田薫子、櫛田育良、中井亜美、岡田芽依が選考候補に挙がるなかで、2枠目としてJGPファイナルの成績などを鑑みて和田薫子、3枠目は国内・国外の競技力を加味して中井亜美を選考。
◎オリンピックプレ大会 Road to 26 trophy
男子に山本草太、女子に坂本花織を選出した。日程がタイトであるため、本人の出場意志を確認の上で選考を行った。
※坂本花織が世界選手権へ向けた調整を優先させるため辞退し、これを受けて日本スケート連盟は12月25日に吉田陽菜の代替出場を承認した。
ミラノ・コルティナ・オリンピックに向けて枠取りの意味で重要な世界選手権に向けて、また翌年のオリンピックに向けて、徐々に候補者を絞り込んでいく選考になっている。選手が目的を達成するよう、連盟としても最大限のサポートを行う。
質疑応答
Q 世界選手権の代表について、壷井達也、三浦佳生の選考は、比較をしたうえで枠取りに貢献できる選手を選出したのか、全日本の結果を重視したのか。
A 今回の全日本選手権、それとは別になるがNHK杯も含めて、演技が安定的にできる点において壷井達也を評価した。
Q Road to 26 trophyについて、選出は選手の希望ベースなのか、派遣なのか。
A アジア大会選考の時点で、スケジュールが近接していることから、選手に連戦でも出場する意志があるかという確認を行ったうえで、選出した。
Q 例年、議論が紛糾する種目、スムースに選出される種目があるが、今季の選考の様子は。
A 男子に関しては難しかった。今回の全日本の試合は、全日本のチャンピオン、メダリストを狙っていける選手、ミラノに名乗り出てオリンピックを勝ち取るという意味で、男子に大きなプレッシャーがかかっていた。しかしこの経験がなければ、より困難なオリンピックで結果を出していくのは難しい。全日本の内容としては選手たち本人は残念だったと思うが、選考側としては必要な経験だったと考えている。各選手がもつ力を発揮しきれなかった選手のほうが多かったなかで、選考も難しく、多くの意見が出されたうえで、選考基準に含まれる項目を議論し、今回の選出に至った。