2024年10月15日
日本大学芸術学部映画学科で、学生からの熱い質問に答える!

映画「ぼくのお日さま」池松壮亮と奥山大史監督が日芸の学生と交流

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Q. 最初は監督のなかで生まれたアイディアをスタッフやキャストに伝えて、いっしょに世界観を構築していくという作業について、こだわりがあったらお聞きしたいです。

奥山 じつは基本的に世界観って監督よりも結局はスタッフの方々やお芝居をするキャストさんが作り上げていくものなのです。まず大枠の何かを示すことが大事ですが、そういうときにいちばん手っ取り早いのは「ああいう映画にしたいです」って(既存の映画を指して)言っちゃうことなんですが、そうするとそれの劣化版にしかならないことが大いにしてあります。そうしないためには、たとえばこの映画で言うと、架空の地域を作って、そこの町の設定を書き込んでいって、町のイメージ写真とかを貼り付けていって。あと衣装のムック本みたいなものを作る。2001年頃の雑誌を集めて、好きだった子供服のイメージとかをスクラップして衣装の人に見せていくとか。リファレンスブックを作ったりもします。その作品の聖書みたいなものを作るんですけど、スタッフの人たちが何かに迷ったらこれを参考にしてくださいねというものがまとめられると、世界観はまとまっていくのかなと思います。もっと具体を言っちゃうと、自分が本当に好きだと思うスタッフさんに入ってもらうことがやっぱりいちばんの近道かなとも思います。

池松 役者は脚本っていう設計図があるので、そこを読み込むこと。個人的には読み込むことがまず作業としてはある。映画というのは作品があって、監督があって、スタッフがいて、演者がいて、その監督の下で誰もがその世界観に加担する、演出に加担する権利があると思っているんですね。だから、とにかく自分がこの映画でどういうものができたら面白いのか、どういう力やエネルギーを持ち込みたいか、やっぱりその作品ごとにたくさん考えますし、1人の宇宙じゃなくてみんなで宇宙になっていくことが作品を豊かにしていくと思ってます。

Q. 映画のサイズのアスペクト比をスタンダードにした理由はありますか。

奥山 スケートを撮るってなったときに、やっぱりエッジまで映ってほしいじゃないですか。そうすると左右にしっかり幅があるよりも、上下に幅があったほうが画として圧倒的に収まりがいいんですよね。スケートを撮るってことと、自分の趣味嗜好で、スタンダードになったという感じです。




池松「もうルールは必要ない」

トークショーの最後、集まった学生に向け改めてコメントを求められると、池松さんのコース選択の話題に。

長い撮影期間をともにした2人ならではの、終始和やかなトークショーに ©World Figure Skating/Shishokan

奥山 池松さんは、監督コースだったんですか。
池松 そうなんです。
奥山 なんで演技コースじゃなくて監督コースに?
池松 本当にこれは「ぼくは」ですが、演じるということは人に教えてもらうものではないと勝手に若い頃から思ってたんです。(映画については)自分がいちばん知っていて、技術的ではないところに、映画の自分のお芝居の理想があったので、(演技コースではなく)監督コースにしました。
奥山 監督は演技とは違って教えてもらえるものでしたか。
池松 ぼくは俳優は誰にでもできると思っていますが、監督はやっぱりいろんなことを知っていないといけないですからね。

そして改めて、「これだけすばらしい施設と、池松さんを始め活躍している卒業生たちがいらっしゃるところで、その背中を追いかけながら学べるって最高。羨ましいなと思う。羨ましいなと思われる場所にいることに誇りを持ってください。ぼくは映画監督のなかでは(みなさんと)年が離れているほうではないので、何かでご一緒できたらうれしいなと心から思います」(奥山)「(奥山監督は)広告会社にいながら映画を撮っていて、米津(玄師)さんの“地球儀”のPVを撮っていたりとか、大活躍です。あとは監督もカメラマンもやる。いろんなこれまでのルールをどんどんどんどん破って出てきた方です。もうルールは必要ないと思うので、みなさんもこれまでのルールに縛られずに、新しい時代を作っていっていただきたいなと思います。ぜひぼくも奥山さんもみなさんと仕事ができる日を楽しみにしています。ありがとうございました」(池松)と学生たちにエールを送った。

▶イベント開催情報
映画「ぼくのお日さま」
9月13日全国公開/テアトル新宿、TOHOシネマズシャンテなど全国の映画館
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