2024年7月1日
21年の競技生活に幕を下ろし、新たなステージへ!

宇野昌磨、引退会見「今後も楽しんで応援してほしい」

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今シーズンの始まりにあたって、「自分の原点に立ち戻りたい」と話していたが。

「そうですね。本当に1年間を通して、試合に出て、やはり競技者としてやると決めたからには、結果を望みたいという思い、熱い思いを感じさせてくれた後輩たちに本当に感謝しています。でもすごく、なんか楽しかったなって。これだけ全力を注げる場所が存在することに、ぼくはとてもよかったなと思っています。また最後の1年間を通しても、どの試合も全力で取り組んだ末の演技だったと思うので、もちろん成功、失敗もたくさんあったかもしれませんけれども、両方等しく、ぼくにとっては失敗も成功も、自分にとって宝物のような時間になったんじゃないかなと思います」

シーズン当初は、競技者というよりも、表現者としての部分が強く出ていたのでは。シーズン中に変化があったのか。

「そうですね。ぼくも毎日毎日いろんな出来事を経験して。考え方とかいろいろアップデートされていって。昔の自分を否定するつもりはないんですけれど、本当にそのときに全力を出しているが故の考え方だと思うので。このときの自分もすごく尊重したいと思ってますし、いまの考え方も自分にとって最善だと思っているので、本当にぼくは幸せだったなと思っています」

笑顔で終えられる選手になれた

今シーズンを振り返って。最初2位が続いていたが、どういうことを考えていたのか。

「先ほど言ったことと同じです。全力を出したゆえの結果でありましたし、またこれはシーズン前に言ったことと同じかもしれませんけれども、もちろん結果も求めたいと思ういっぽうで、フィギュアスケートとして全力を、自分の全力を見てみたい気持ちもあったので、ぼくとしては、いまは本当に満足している気持ちしか残っていない。いま(スクリーンに)映し出されている映像も、世界選手権が終わった(フリー演技)直後の写真なんですけれども、すごく満足そうな、やりきったという顔をしているので、もちろんスポーツ選手なので結果がいちばん大事だと思う部分もあるかもしれませんけれども、こうやって結果が振るわなかったときも、これだけの笑顔。この写真だけ見たらすごく幸せそうなんですよ。それ(結果)だけじゃないんだよというのもまた1つ見えたところなのかなとは思います」

最後の世界選手権で4位という結果になってもこの表情が出たというところに、どんなことが詰まっているのか。

「この表情に繋がったのは、世界選手権に向けて練習してきたすべてがこの笑顔に繋がっているのかなとは思っていて。昔は練習した分だけ試合でできなかったときに、悔しいと落ち込んだりしていたんですけど。長年、21年間フィギュアスケートをやってきて、毎日の積み重ねがあって、しっかり笑顔で終えられる選手になれたんだというのは、小さいころ、ぼくがこうなりたいと思っていたスケーターに1歩近づけたんじゃないかなと。この表情がいろんなことを物語っていると思います」

世界の頂点を目指す戦いを振り返って。

「当初はいろんな考えをしながら、モチベーションがぐっと上がったときと、難しいときもあったかもしれませんけれども、本当にどんな出来事も、これだけ注目される場で、緊張感のある場で、自分のフィギュアスケートをやるということ。なかなかできないことなので、それをサポートしてくださったみなさまに感謝しています。本当によくこの日までフィギュアスケートと全力で毎日取り組んできた自分を、褒めたいかなと思っています」

SNSでは、競技の演技が見られなくなるのは寂しい、悲しいという声も多数あるが。

「すごくありがたい言葉ですね。ぼくが全力で向き合ってきた競技のフィギュアスケートというものを、待ち望んでいる方がいてくれたことをすごくうれしく思います。ただ、これからもスケートに全力で取り組むことには変わりないと思います。全然形は変わるかもしれませんけれども、ぼくの最善だと思うフィギュアスケートの形を追い求めていきたいと思っているので、応援してくれたらうれしいなと思っています」

プロスケーターとして表現していきたいこととは。

「競技と近くなるかもしれませんけれども、毎日の練習が楽しくなるような、自分が心から踊るようなスケートをしていきたいなと思っていて。競技から離れるので、自由にフィギュアスケートをやれるかなと。やるもやらないも自由だし、ジャンプを跳ぶ、スピンをやる、何をやるにしても自分で選べるので、自分の生き方にもすごくマッチしていると思うので、すごく楽しみだなと」

競技の枠を飛び越えて、宇野昌磨全開でいく、と。

「現役引退を決めてから、最後の試合が終わってからの練習も、前よりも『これをやらなきゃ』じゃなくて、『これやってみようかな』みたいなワクワクした気持ちで、自由度の高いスケートの練習の日々を送れていると思います」

 11日の(「コラントッテ」の)イベントで、今後の抱負に「探」と書いていたが、アスリートのセカンドキャリアについて。

「ぼくもようやくその年になったんだなというのは思います。『セカンドキャリア』という言葉の響きは、大人のワードだと思ってたんですけど、ようやくぼくもその場に立たされたんだなと思うなか、ぼくはフィギュアスケートだけを全力でやって、もちろんゲームも全力でやってきたんですけど(笑)、新しい道をあんまり考えていなかったので、いろいろなところに視野を広げて、いろんな経験をしていきたいなと思っています。先ほども出ましたけれども、スケートが競技から離れた分、ゲームに費やす時間が増えるかなと思っています」

セカンドキャリアを探す旅を、トヨタイムズがサポートさせてほしい。

「探すという言葉を選ばせていただいてますけれども、ぼくたちアスリートは1つのものに全力を注いできた人間たちなので、その場所から変わるのは難しいとは思うんですけれども、ただみなさんに共通して言えることは、1つのものに全力を注ぐ熱量が人一倍あるからこそ、トップアスリートになれていると思う。ぼくも含め、次にその熱量を持っていく場所を探すんじゃないかなと思うので、ぼくもこれからちょっと探していきたいなと思っていますし。トヨタさんには本当にたくさんお世話になっています。これからも何か協力できることがあれば、ぜひよろしくお願いしますという気持ちです」

宇野さんの引退の話を豊田章男会長に伝えたときに、「アスリートへのサポートは旬な時だけそれじゃダメ。トヨタにはプロもアマもいろんなジャンルのアスリートがいるので、いろんな形があっていい」と。過去に会長とはどんなお話をされたか。

「3、4回お会いさせていただいて、失礼なことも何回かしてしまったことがあるんですけども、あのすごく気のいい……(MCより、ご本人は「普通の車好きのおじさん」と言っています)言いにくいんですけれども、本当にそれぐらいしゃべりやすいんですよ。ぼくが成績が良くないときも、たくさん心配していただいたりとかもしましたし、成績がいいときもすごく喜んでいただいているという言葉をいただきました。初めて豊田社長のご自宅にお邪魔する機会がありまして、その場で豊田社長の名前を書くときに、カタカナで書いてしまって。(笑)それでも許してくださるんですよ。笑って、『こういう名前だから覚えて帰ってね』って。そういう人なので、もうマジで優しいです」

セカンドキャリアでいままでとまったく違った道に進むアスリートも多いが。

「いままでは毎日が同じ生活習慣でずっと過ごしてきたので、今後のことも含め、いろんな経験をしたいな、しなきゃなと思っております」

「したい」というよりも「しなきゃ」と。

「めちゃくちゃインドアなので。この場なので『いろいろやりたいです』って言ったほうがいいのかなと思います。(笑)」

トヨタイムズが強引に連れ出すのはありか。

「お時間が合えば――(笑)」

トヨタは次世代育成にも力を入れている。子どもたちにフィギュアスケートの魅力を伝えるのはどうか。

「ぼくも(浅田)真央ちゃんに憧れてスケートを始めたので、やっぱり小さいときは、スケートの魅力ろか何かの魅力よりも、こういう憧れの選手になりたい、だから同じスポーツをしたいというのもすごく多いと思う。ぼくがその立場になれるのは、すごく感慨深いことですね」

子どもたちに伝えたいことは、まだあまり定まっていないですか。

「そうですね。逆に聞きたいです。ぼくに憧れている選手とか、みなさんに、『ぼくのいったいどの部分に憧れてくださったのか』、ぼくも知りたいです」

宇野さんはトヨタの社員としては契約満了となるが、今後もトヨタはサポートを続けていく。2017年からトヨタアスリートとして過ごしてきた7年を振り返って。

「すごく短く感じますけれども、この7年間は本当にぼくのスケート人生にいろんな変化をもたらした7年間だったと思いますし、トヨタさんにはどんなときも同じように手厚くサポートしてくださって、アスリートファーストの気持ちでずっとサポートしてくださったので、社長も含め、すごく感謝していますし、また今後ともいいお付き合いができたらいいなって思っています」

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