3月は、日本中が卒業や別れを迎える季節です。街を歩いていても、胸にコサージュをつけた制服姿の中高生や、髪を華やかに結い、色鮮やかな袴をまとった大学生を数多く目にします。それはフィギュアスケーターたちにとっても同じで、3月8日に東京・東伏見のダイドードリンコアイスアリーナで行われた「WASEDA ON ICE」では、早稲田大学スケート部フィギュア部門の6名が、部からの引退の時を迎えました。笑顔と涙に彩られた、あたたかい手作りのアイスショーの模様をレポートします。
青春の風が吹き抜ける第1部
3月8日のダイドードリンコアイスアリーナは、照明が落とされ、アイスショーへの高揚感を膨らませるような雰囲気に包まれていた。しかし、他のアイスショーと1つだけ違うのは、チケット売り場に立ったり、観客を席に案内したり、報道陣を対応するスタッフがみな大学生という点だ。これまで荒川静香をはじめ多くのトップスケーターを輩出してきた早稲田大学スケート部は、4度目の開催であり、スケート部100周年記念公演となる「WASEDA ON ICE」の日を迎えていた。
オープニングで「Believer」の力強い旋律が流れると、部員が2人ずつリンクに進み出て、ジャンプやスパイラルなどを鮮やかに見せていく。大学のスケート部らしい、エネルギー溢れるオープニングだ。スタイリッシュなプログラムに客席も盛り上がるなか、今度は5人の部員が氷上に現れた。1人ずつアナウンスで紹介を受けると、円陣を組み、6分間練習が始まる。観客を楽しませようと工夫を凝らした演出に、思わず頬が緩んだ。
中村華(人間科学部3年)、坂﨑愛介(基幹理工学部1年)、栁田梨穂子(創造理工学部1年)、廣田聖幸(スポーツ科学部3年)、木南沙良(人間科学部3年)がそれぞれ思い思いの演技を披露すると、グループナンバーに移ってゆく。男子部員と吉本玲(国際教養学部1年)が披露する「ハリー・ポッター」と、女子部員による「リトルマーメイド」だ。