2024年7月18日
羽生結弦から東日本大震災の被災地へ

「羽生結弦 notte stellata」が宮城で開催

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特別な場所から希望を伝える

3月10~12日、宮城県利府町のセキスイハイムスーパーアリーナで「羽生結弦 notte stellata」が開催された。2011年3月11日、地元仙台のリンクで東日本大震災を経験し、「3月11日という日に、あれから毎年、祈りの気持ちをこめながら、感謝の気持ちもこめながら、悲しい気持ちもこめながら、人知れず滑ってきてはいました」という羽生結弦。震災から12年、プロへ転向後初めて迎えるその日に、アイスショーを通して特別な場所から希望を届けることを選んだ。

「みなさんの前でこの感情とともに3月11日に演技をするということが初めてなので、正直すごく緊張はします。ですが、この『notte stellata』というショーだからこそ伝えられる気持ちだったり、見えるプログラムの新しい一面だったり、気持ち、テーマ、そういったものもまた感じていただければと思います」と、羽生はショーへ臨む心境を語った。

羽生結弦が「Dynamite」を踊る

「notte stellata」は、イタリア語で満天の星を意味する。場内の大きなスクリーンに震災当時の仙台の星空が映し出されるなか、タイトルナンバーである羽生の「notte stellata」でショーは幕を開けた。「星空とともに、その星空から得てきた希望とともにいままで滑ってきたんだ――みたいなことを感じながら滑らせていただいていました」と語るように、感謝とも、祈りとも、そして希望とも感じられる、滑らかで優しい滑りを披露した。

ショーには、仙台にゆかりのある鈴木明子、本郷理華をはじめ、同じ時代を戦ってきた無良崇人、田中刑事、宮原知子、海外からジェイソン・ブラウンも駆けつけ、フラフープを操るビオレッタ・アファナシバ、盟友であるシェイリーン・ボーン・トゥロックも参加。それぞれのスケーターが「希望」や「情熱」、「愛」をテーマに選んだプログラムや、新たな魅力を見せるコラボレーションで観客を楽しませた。なかでも、BTSの代表曲「Dynamite」は、シェイリーン、鈴木、無良、本郷と映像のなかの羽生によるスケートとダンスでの共演に、会場は大いに沸いた。

羽生結弦と内村航平、レジェンドの共演

今回、大きな見せ場となったのが、ソチ大会、平昌大会で冬季オリンピック2連覇を成し遂げた羽生結弦と、ロンドン大会、リオデジャネイロ大会で夏季オリンピック2連覇を遂げた体操の内村航平の共演だ。曲は「conquest of paradise」。氷上の羽生に招かれるかたちで、リンクに設けられたフロアのステージに内村が姿を現し、2人のレジェンドの共演が実現した。

羽生は「お互いがお互いのことに集中してぶつかり合って、でも共演もしていて。お互いの本気のエネルギーが混ざり合うところを、このプログラムでは出したいなという意識があった」といい、氷上で羽生が跳べば、床で内村が翻る。スピンとあん馬の旋回がシンクロするシーンは、まさに2人のエネルギーが熱を持って混ざり合い、会場を圧倒した。

初共演を終え、羽生は「競技とか、技術とか、そういう枠を超えて人を惹きつけるもの、カリスマ性というもの。内村航平という人間に仮に成績がなかったとしても、きっとそういうものを感じるんだろうなと、今回コラボしながら感じていました。かっこいい」、内村も「羽生くんがいるからこそあんなに大盛り上がりしている。結弦すごい! という感じです。本当に。それをつくづく感じた1日でしたね」と、互いへのリスペクトを惜しまなかった。

最後のナンバーは、羽生の「春よ、来い」。滑りの美しさや動きのキレはいっそう冴えわたり、苦しそうに顔をゆがめたかと思えば、優しい微笑みをたたえ、やがて笑みは満面に広がる。ショーを通して軸となっていた希望の物語を全身で伝えた羽生。「今回描いているのは、けっこう直接的に震災のことを考えたり、震災に遭われた方々の希望とはなんだろうとか、そういったものをイメージしながら、ぼく自身がそれになれるのだろうかということもまた考えながら、滑らせていただきました」。

共演した仲間、同志たちと手をとりあい、6,000人の観客と想いをともにしながら、羽生は12回目の「3.11」を過ごした。

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