名古屋のIGアリーナで開催中のISUグランプリ(GP)ファイナルは、12月5日の20:59から女子シングルが行われます。前回大会で、日本の5選手と競って勝利を収めたのが、アメリカのアンバー・グレン選手です。トリプルアクセルジャンパーとしても知られるグレン選手が、大会前日に語ったコメントをお伝えします。
「自分自身が誇りに思える滑りがしたい」
―― 前回優勝者として臨む大会に向けては、どんな思いですか。
グレン グランプリファイナルで優勝していますが、『タイトルを守らなくては』とは思っていません。ここでは自分ができるベストの演技をしたいだけです。素晴らしいスケーターがたくさんいますし、結果は結果として出るものです。(2026年1月の)全米選手権の前に達成したい自分自身の目標があって、それを達成したいと思っています」
―― その目標についてお聞かせいただけますか。
グレン 自信を持ってリラックスして、2つのプログラムをまとめたいんです。ショートプログラム(SP)はもう最高の状態にすごく近いので、なんとしてもそこに到達したいです。フリーでは細かい部分をもう少し整えて、よりよい演技をしたいと思っています。
―― 前回はアメリカから1人で参加しました。今回はアリサ・リュウが初めてのシニアのファイナルに参加しています。
グレン アメリカの女子選手たちが同じ大会にそろうのは本当にうれしいこと。みんなお互いを支え合って、一緒にいることを楽しんでいます。今回SPでは連続して滑る予定なのもとてもうれしいです。仲の良い友だちが近くにいるのは本当に心強いです。日本の女子選手とももちろん友だちですが、やはり言語の壁があります。私は日本語がまったく話せないので、話しかけるたびに「本当にごめんなさい、日本語を話すべきなのに」と申し訳なく思います。日本にいると余計にそう思うんです。でも、ここに来られて本当に嬉しいです。
―― 昨年と比べて、身体的精神的にいかがですか。
グレン 面白いんですが、昨年はSPに向かうとき、『あなたはここにいていいんだよ。ここにいる資格があるんだよ』と自分に言い聞かせていました。まだ自分を納得させようとしていたんです。でも今年は『ここにいる資格がある』『そのために努力してきた』と自信を持って言えます。自分自身を誇りに思える滑りがしたい。去年より少し自信がついたと思います。前のグランプリから続けてこのファイナルに来ているので、できる限りのベストを尽くしたいです。
「亜美には明るい未来があります」
―― 日本の中井亜美選手は、アンバーさんに憧れています。彼女は、どんなスケーターだと思いますか。
グレン 氷に上がる前に亜美に自己紹介しました。「こんにちは、あなたは17歳よね? 私はあなたより10歳近く上なのよ!」って。本当に赤ちゃんみたいに若いんです。でもすごく才能があります。どこまで成長するのか楽しみで仕方ありません。健康で幸せでいてくれればと願っています。彼女には本当に明るい未来があります。
―― 成熟したスケーターの利点について。
グレン そうですね、経験です。もちろん26歳という身体的なハンデもありますが、これまで本当に多くのことを経験してきました。だからこそ、残された試合の数が分からないいまは、1つひとつを心から楽しみたいんです。『次でいいや』とは、もう言えません。いまやらなきゃ、いま楽しんで、それを一生の思い出にしたい。そういう経験や知恵は大きな助けになります。
―― グランプリファイナルの重要性について。
グレン 正直に言うと、フィンランド大会では「以前優勝したから、ファイナルに行かなきゃ」とずっと思っていました。「行けなかったらどうしよう」と。でも実際にファイナル入りが決まったら、「よし、ここに来た。6人しかいないんだし」と気持ちが軽くなりました。フィンランドではかなり安全運転でしたが、今回は全力で行きたいです。リスクを取って、思いきり演技したい。「最悪6位になっても、ここはグランプリファイナル。ここにいるだけで光栄なこと」だから。他の大会は“次のために予選をする”けれど、ファイナルは“ここがゴールの1つ”。だからこそ全力を出したいです。
―― 日本について。
グレン 日本は第2の故郷のように感じます。世界国別対抗戦も楽しかったし、今年のスターズ・オン・アイスの日本ツアーも最高でした。日本で滑るのが大好きなんです。今年ずっと、この大会を楽しみにしていました。

