もう1度、ローラになってみたい
終演後、メディアの取材に応じたのは織田信成。「Send in The Crown」の衣装とメイクのまま、司会者とのボケとツッコミのようなやりとりも見せながら、織田らしいユーモアに満ちたトークを繰り広げた。
―― 引退後初のアイスショーとなりましたが、どんなお気持ちでしょうか。
織田 このプリンスアイスワールドは、昨年も出させていただいたアイスショーですが、今回は解放されたような気持ちで滑ることができました。改めてファンの方に感謝の気持ちを込めて滑れたんじゃないかなと思います。
―― リンクに上がったときのお客さまの視線をどう感じましたか。
織田 いつも本当にあたたかいんですけど、いつも以上に「現役お疲れさま」という気持ちがあったと思います。いつも以上にあたたかさを感じましたし、本当にいつも楽しい優しい空間で滑らせていただけることにすごく感謝しています。
―― 今回は「新曲」の披露となりました。
織田 フィギュアスケートって、「新プログラム」という言い方なんですよ。「新曲」って言われると、ファンの方からDMで「歌うたうんですか？」って言われて、「いやあ、アイスショーなんで歌は歌えません」というふうに返信させていただくことになるので。なので、「新プロ」って言ってもらっていいですか？（笑）
―― 新プログラムの初披露でしたね！（笑）
織田 そうなんです！ ありがとうございます！ いつかピエロのプログラムを滑ってみたいなとは思っていて。すごく優しい、でもユーモアのあるプログラムになっているので、そういう優しい雰囲気で、改めてファンの方への感謝の気持ちが伝えられたらいいかなと思います。
―― メイクのデザインも印象的ですね。
織田 これはぼくのヘアメイク担当の妻が考えてくれたもので、（顔の）全部をメイクすると、「ジョーカー」みたいになって誰かわからへんから、「半分だけ信成残しとこか」言うて、半分にしました。
―― 今回のプログラムはどう準備されましたか。
織田 1月末の国スポで現役最後の演技をしたんですけど、次の日から新しいプログラムに着手すべく、すぐリンクに行って練習してました。5分近いプログラムになるので、やっぱり振付もしっかり考えないといけないですし。それにゆったりした曲なので、イーグルだったり、ジャンプ以外の部分で魅せれるようなプログラムにしたいなという思いで作りました。
―― このショーのなかに出てくる曲のなかでいつか使ってみたいものはありますか。
織田 ぼくは「BROADWAY ROCKS！」のなかでも、「キンキーブーツ」の「Land of Lola」で滑ってみたくて。というのも、ぼく自身は2年前に「キンキーブーツ」の曲で滑らせていただいてて、それはまた別の曲だったんですけど、「Land of Lola」も1度滑ってみたかったなと思うので、もう1回ローラになってみたいなという気持ちはあります。
―― このショーのイチオシポイントは？
織田 ローラ役を演じている小沼（祐太）くんの演技とかもすごく好きですし、「ヘアスプレー」でママ役をやっている小平（渓介）くんも女性の表現というのがすっごく上手で。世界観も表現できていると思うので、そういったところがおすすめですね。
―― 今回はしっとりした曲を選ばれていましたが、織田さんが表現したいものの変化について教えてください。
織田 今回はちょっとしっとりにしてみようかなと思ったんですけど、基本的に明るい曲とか盛り上げる曲が大好きなので、今後またそういう曲を滑っていきたいなという思いがあります。この曲で大人の雰囲気を……とかは全然考えていなくて。はい、すいません。（笑）
―― 国スポで引退されてから1か月弱ですが、いまの心境は？
織田 じつは、いまいちばん膝も腰も痛くなくて、すごい絶好調です。国スポは正直満足できる演技ではなかったので、なんか悔しくて。もう1回試合出ようかなって思うこともじつはあったんですけど、でも来シーズンはオリンピックも始まりますし、絶対にオリンピックは行けないので、1つの区切りとして自分はここで終わるというのは決めていました。正直言うとさみしさはある。試合の緊張感だったり、6分間（練習）とか、同じようなレベルの選手たちのなかでせめぎ合うというのは、人生でもなかなかできない経験なので、そこへのさみしさというのはすごくあります。でもこの2年間、本当に楽しくスケートを滑らせてもらえたので、その楽しかった思い、それで勉強になった部分、自分がこの現役2年で糧になった部分を、今度はアイスショーで返していけたらいいなと思っています。
―― ありがとうございました。
プリンスアイスワールド東京公演は、2月24日（月・祝）まで、ダイドードリンコアイスアリーナで開催。11:30と16:00開演の各日2回公演を予定している。