2024年12月7日
フランス・グランプリで200点超えを果たし表彰台。自信を得て全日本へ

INTERVIEW 住吉りをん「自分を変えていく」

- AD -spot_img

日々の生活のなかで変えていく

―― もうひとつ、メンタルトレーニングが実を結んできたというお話もありました。住吉選手のメンタルトレーニングはどんな方法なんですか。

「考えすぎてしまうのが自分の悪いところで、普段から焦燥感を感じやすいタイプなんです。どんなことに対しても、わりと焦る、急ぐ、考えすぎる、悩むというところがありました。それをなるべくなくしていく。えっ、そんなところを? と思われるようなことだと思うのですが、普段から予定を詰めすぎず、時間に余裕をもって行動することや、お昼にコンビニで何か買うときにも悩みすぎずにこれと思ったものにぱっと決めようとか、2つの選択肢があるとき、“この点に関してはこっちがいいけど、でもあっちのほうが後々を考えるといいかもしれない……”みたいに考えちゃうところを、“いやもうこっちに惹かれるからこっち“とファーストインプレッションでぱっと決めるようにするとか。自分のなかでごちゃごちゃ考えてしまう複雑な脳の使い方をしない、余裕をもつという練習を、日々のなかでやっています」

―― それはひと言でメンタルトレーニングというよりも、性格を変えていくという方向性ですよね。

「考え方のクセを直すという感じです。“そういう性格が試合に出ているんだよ”と専門家の方に言われて、やっぱり普段の生活から直すべきなんじゃないかということに、かなり時間がかかって行き着きました。座禅は早くからやっていましたし、焦りすぎちゃだめだよということは言われていたのですが、自分はずっとそのスケジュールで動いていたから、予定の詰め込みすぎだという自覚がなくて。だけど、気がついたらいつも走っているな、気づいたら次のスケジュールが大丈夫かなとせかせかしていたなと、自分で気づくまでに時間がかかりました。やはり昨シーズンが終わるころに、そのことに気づけた気がします」

―― それによって、日々のなかで新しい発見はありますか?

「たくさんあります。ながら行動をしないようにしているので、ながらスマホはもちろん、食事中や移動中にも、ひとつのことに集中するように心がける。そうすると、たとえば以前は乗換案内アプリを見ながら早歩きしていたところを、スマホをもたずに歩くと心も落ち着いているし、新しい建物や咲いているお花なんかにも気がついて、丁寧な暮らしになる気がします。スケートと関係ないじゃんというようなことなんですけれど、試合の前の落ち着きが今季はなんとなく違うなということは感じています」

―― わずかなことで変わってしまうスポーツですものね。

「本当に、そこが自分の弱みだったんだという。まさか自分の生活が、スケートの試合でのメンタルに結びついているとはまったく思っていなかったので、そこが自分にとっても新しい発見でした」

プロフィール
住吉りをん(すみよし・りをん) 2003年8月15日、東京生まれ。オリエンタルバイオ/明治大学所属。2016年全日本ノービスA優勝で頭角を現し、ジュニアGP、世界ジュニアに出場。シニアデビュー初年度の2022-2023シーズンはグランプリシリーズ2戦で3位となり、2023-2024シーズンにはフランス・グランプリで日本女子として公式戦で初めて4回転トウループに成功、グランプリファイナルに初進出した。今シーズンはフランス・グランプリで3年連続の3位、カップオブチャイナでは4位に。12月の全日本選手権で上位に入り、シーズン後半の選手権大会出場を目指して練習を積んでいる。
- AD -spot_img

 関連バックナンバー

フィギュアスケート選手名鑑2024-2025シーズンガイド

総勢177人(組)の国内外のフィギュアスケーターを...

ワールド・フィギュアスケート No.99

開幕した2023-2024のグランプリシリーズを巻...

関連記事

- AD -
spot_img

最新記事

error: