映画「蔵のある街」の8月22日の公開を前に、今作が映画初出演となる高橋大輔さん(古城緑郎役)と、ダブル主演の山時聡真さん(難波蒼役)、中島瑠菜さん(白神紅子役)の3人に登場していただくスペシャルインタビュー。後篇の今回は、演技することの魅力や、撮影で深く知ることになった倉敷という土地について、じっくり語っていただきました。
前篇はこちら→映画「蔵のある街」高橋大輔×山時聡真×中島瑠菜スペシャルインタビュー①
好きなことをやっているから、大変さも楽しめる
―― 作中で、高橋さん演じる古城が、「才能とは何か」ということを伝える場面がありますが、まさにスケーター高橋大輔にも重なる部分のあるお話でしたね。
高橋 ぼく自身は知らないうちにこうなっていただけなんですけど、でも本当に好きなことって、たぶん大変なことでも乗り越えられる。自分の気持ちが入っていないものを続けるって、とても大変なことだと思っていて。ぼくもそうですし、お2人もそうですけど、好きなことをやっているからこそ、大変さも楽しめる。続けていくこと、情熱を持ち続けることがいちばん難しいと感じることはありますね。「面白くないからやめよう」というのではなくて、そこを乗り越えていこうというのが、情熱を持っているということ。そのパワーは、ほかのものに負けない。情熱を持つということは、苦難に負けないものなのかなと思います。
―― それぞれ、演じることの魅力をどのように感じていますか。
中島 私は、生活していて経験し得ないことを、現場や映画を通して経験できているなと思うので、そういうところに魅力を感じます。紅子なら、紅子の人生を知ることができるし、また別の役ならその人の人生も知ることができる。すごく楽しいなって思います。
山時 たしかに、いろんなものを見れるしね。演じていて、「救われました」とか、「ぼくも頑張ってみたいと思います」みたいなコメントを、SNSを通じて見たり、もらったりするんですが、誰かを救えているという時点で、やっている意義がありますよね。自分が生きていて、誰かにいい影響を与えられているなんて、本当にこれほど幸せなものはないと思うので、そこに意味を感じています。
高橋 ぼくは人との壁が結構遠いほうで、緊張しいだし、人見知りだし、でもそれを乗り越えてその場ではできるというか。本番になると、別人になるじゃないですか。そこにある深いつながりみたいなものは、普段では経験できないことだなと思って。
山時 もしスケーターの役が来たら、高橋さんに直々に……。
高橋 めちゃくちゃ厳しく指導しますよ。(笑)
山時 ここぞとばかりに?
高橋 ここぞとばかりに!(笑)
―― お2人はスケートをやったことは?
山時 あります! 人生で5回か6回くらい? 毎回感覚が鈍って戻ってしまうけど、30分くらい練習すれば滑れることは滑れます。筋肉痛が半端ないですけど。すごいですよね、どんな筋肉を使っているんだろうと思うくらい。
高橋 時間があったらアイスショーもぜひ見に来て。40歳手前で、頑張って動いています!
山時 でも役者として最初に知り合っているから、逆にその世界線の高橋さんを見ること自体、不思議になっちゃうだろうな~。
―― 演技の世界には正解も、金銀銅メダルもないですが、そのなかで上を目指すというか、普段のメンタリティとはどんなふうに違いますか。
高橋 上を目指すとかはないです! すごい人数いらっしゃいますから、そういうのはないですね。でも、新しいことを知れるのって、発見しかないので、それが楽しみで。ぼくは役者じゃないから、2人の前で喋るのは恥ずかしい。役柄の表現も、納得とかは全然で、後から見たら「もっとこうすれば」という思いもあるけど、必死に頑張りました。
―― 役柄の解釈にはどのように取り組みましたか。
中島 私は今回、自閉症のお兄ちゃんがいる役だったので、小学生のころからずっと読んでいた「光とともに」という漫画を読み返したり、それから絵描きの役柄なので、以前造形クラブに通ったことを思い出しながらやったりしました。
山時 ぼくは役作りって、台本を読んだ回数だと思うんです。その人の感情や環境を理解できなかったら、参考になりそうなほかの作品や本も読みますけど、とにかく台本を全部読んで、全体像をしっかり把握するのが自分の目標です。今回もすごく喋るシーン、声を出すシーンが多かったので、ここはこういう役割を担っているシーンだというところは意識していました。カットごとに撮影しているので、それを意識しないと、つながったときにすごく不自然になってしまう。つながったときのこともイメージしながら、いまはそういうことを意識しています。
高橋 ぼくは映画出演が初めてで、編集でどうなるかわからなかった。だから完成版を見て、「こうなるんだ!」と思いました。自分が出ていないシーンは見れていないし、台本を読んで話はわかっているんですが、「こういう画なんだ」というのは、自分の想像とは全然違っていたりもして、それは面白かったです。