ISUは12月20日、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアと、同盟国のベラルーシの選手について、厳格な条件のもとで、個人の中立選手(AIN)として、2026年ミラノ・コルティナ・オリンピックの予選会参加を容認すると発表した。
2024年パリ・オリンピックでも、国際オリンピック委員会(IOC)がロシアやベラルーシの選手のAINとしての参加を認めており、2026年の冬季オリンピックでも同様の流れとなるとの見通しのもと、AINが予選に参加できる道筋を整えた。
ロシアやベラルーシの連盟は、2025年2月28日までにISUにAINを推薦し、AINが9月17日から21日に北京で開催されるオリンピック予選会に参加することになる。予選会に参加できるのは、男女シングル各1名、ペアとアイスダンス各1組。
予選会を経て、オリンピックに出場できるAINの各連盟最大枠は、男女シングル各1名、ペアとアイスダンス各1組の6名。ただし、団体戦には参加できない。AINの出場にあたっては、ロシアやベラルーシの国旗・国歌の使用禁止などの条件も課せられる。
AINの資格を得るためには、厳格な条件が適用される。その例は、2022年3月1日時点でロシアまたはベラルーシのパスポートを有していること、ロシア、ベラルーシ以外の機関の監督のもと「集中的オリンピック・アンチ・ドーピング・プログラム」と称される厳密なアンチ・ドーピング規定に従うことや、軍および安全保障機関に属していないこと、また2022年2月24日以降にウクライナでの戦争に関してSNSやイベント出席などを通して賛意を示したことがないことなどが挙げられる。このうち、フィギュアスケートにおいては、過去には軍と関係するクラブに所属していた選手も存在しており、どの程度の範囲のアスリートがこうした規定に抵触するのか、影響の範囲は明らかではない。
なお、2025/2026シーズン、ロシアとベラルーシのAINの参加が認められるのは、オリンピック予選会のみで、その他の競技会(世界選手権など)へは出場できない。
2022年北京オリンピックの個人戦では、ROC(ロシア・オリンピック委員会)は女子で金銀、ペアで銀銅、アイスダンスで銀と、合計5個のメダルを獲得する強さを見せていた。ドーピング違反に関してはフィギュアスケート競技がその震源だったことからも、ミラノ・コルティナ・オリンピックに向けてフィギュアスケート競技が注目されることは避けられない。
ISUがロシアとベラルーシの選手について、AINとして、2026年オリンピックの予選会への参加を容認したことを受けて、大阪で全日本選手権に出場中の選手たちもコメントした。
●坂本花織選手
以前は(ロシアからの出場が)3人だったので、誰かのあいだには入りたいという気持ちがあった。その気持ちが復活するのかと思うとワクワクします。いまはロシアだけじゃなくて、アメリカやほかの国も強いので、強い選手がたくさんいるなかで戦えるというのは、自分はめちゃくちゃ燃えます。
●千葉百音選手
ロシア選手権が今回の全日本選手権とほぼ同日程で開催されていて、インスタなどでロシアのニュースを翻訳して読みながら、ロシアが来るのか来ないのか……、あ、ISUが許可した、みたいな感じでした。本当に4回転をポンポン飛ぶ選手がたくさん出てくると思うので、自分がいまは完全に勝てる自信がないんですけど、1年後にはやはり日本代表として胸を張って自分の目標とする試合に出場する自信がすでに備わっていないといけないので、怪我をしないように練習するのが大事だし、ほかのトリプルジャンプを安定させるのが本当に大事なんですけど、やっぱり(4回転などの)大技を入れていかないといけないなというのは強く感じました。