2024年11月22日
フィギュアスケート界の未来を作る天才ジャンパーをご紹介!

ダニエル・グラッスル~前人未到の場所へ~

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世界のトップスケーターたちが一堂に会する世界選手権。各国のエースから、魅力の尽きないベテラン勢、次代を担うライジングスターたちまで、その滑りをライブで観戦できる絶好のチャンスです。そこで、数多の魅力あふれるスケーターたちのなかから、今回は高難度ジャンプに意欲を見せるダニエル・グラッスルをご紹介します。

母国開催のオリンピックに向けて

北京オリンピックが幕を閉じ、羽生結弦やネイサン・チェンといった時代を牽引してきたスケーターたちが競技の場から離れた。新たな4年間が始まった今シーズン、グラッスルは初めてグランプリファイナルに出場。母国開催のミラノ・コルティナダンペッツォ冬季オリンピックに向かう先頭集団の1人に躍り出た。

羽生結弦に憧れてフィギュアスケートの世界へ

2022年ヨーロッパ選手権の表彰式にて ©Jolukating

 グラッスルは、2002年4月4日生まれの20歳。6歳のとき、当時13歳だった羽生結弦の演技を見たことがきっかけでフィギュアスケートを始めた。2019年には世界ジュニア選手権でも銅メダルを獲得。シニアデビューした2020-2021年のシーズンは新型コロナウイルスの影響もあって思うように結果を出せない日々が続いたが、2022年のヨーロッパ選手権で2位に。その後の北京オリンピック、世界選手権でも7位という好位置につき、着実に存在感を色濃くしてきた。今シーズンはグランプリシリーズイギリス大会において優勝。GPでの優勝という成績はイタリア男子初の快挙で、世界選手権のメダリスト候補の1人であると断言できる。

天才的なジャンプの才能

(4回転)アクセルは怖い気持ちがあって、5回転のほうがまだ気が楽です。

「ワールド・フィギュアスケート 95号」より

 グラッスルの突出している部分は、何と言っても高難度ジャンプだ。トウループやサルコウから4回転を習得していく選手が多いなか、最初に成功させたのはなんと4回転ルッツ。続いて4回転ループと4回転フリップも試合で成功させてきた。その3つの武器を今季はフリーに組み入れ、将来は4回転アクセルや5回転ジャンプも跳びたいと常に意欲的な姿勢を見せる。そして、独創的なスピンも彼の演技の見どころの1つ。優れた柔軟性を持つグラッスルだからこそ繰り出すことができる妙技だ。
 彼のこういった長所を生かした2つのプログラムにも注目したい。SPはアメリカ代表としてさいたま世界選手権にも出場するジェイソン・ブラウンが、FSは長年タッグを組むブノワ・リショーが振付けている。シーズンを通して磨いてきたこれらのプログラムが、さいたまの地でどんな輝きを放つのだろうか——。

すべてはよりよい環境を手にするために

 今季、グラッスルはよりよい練習環境を求めて世界中を駆け回ってきた。夏にはアメリカへと渡ったが、秋にはイタリアに戻り、冬にはモスクワに練習拠点を移した。

 昨季の世界選手権が終わった直後、「世界最高峰の一人になりたい」と意気込んだグラッスル。次のオリンピックへ向けてどんな苦労もいとわない彼が、世界選手権の舞台で一花咲かせられるか——期待せずにはいられない。


グラッスル選手のインタビューは、「ワールド・フィギュアスケート96号」(2022年スケートアメリカ)、「ワールド・フィギュアスケート97号」(2022年世界選手権)に掲載しています。

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