高橋大輔さんが2027年3月、故郷・岡山では初めてとなる自身のプロデュースによるアイスショー「両備グループ presents The ORIGIN -Chapter: ICE EXPLOSION-」を開催します。11月2日、岡山市内で記者会見が行われ、高橋さんと、長年にわたり彼を支援してきた両備グループCEO・岡山県スケート連盟会長の小嶋光信氏が登壇。故郷に寄せる思いと、ショーへの意気込みを語りました。概要発表のあとに行われた質疑応答を全文ご紹介します。
原点・岡山で、みんなが楽しめるショーを
「両備グループ presents The ORIGIN -Chapter: ICE EXPLOSION-」は、2027年3月5日から7日まで岡山国際スケートリンクで全8公演が開催される。出演は高橋のほか、村元哉中、村上佳菜子、無良崇人、田中刑事、小松原美里ら。特別ゲストとして坂本花織が3月5、6日の公演に出演する。ほかの出演者は今後発表される予定。
長年、故郷でのアイスショー開催を望んできた高橋は、会見で「岡山でアイスショーを開催したいという思いは昔からあったんですけれども、やっとこのタイミングで、小嶋会長のお力添えをいただき、開催することが決定しました。岡山で生まれ、この岡山でスケートができたからこそ、ぼくもこれだけ長く続けてこられたという、これまでの振り返りや、支えてくださった皆さんの温かい気持ちを氷の上で表現したい」と挨拶。これまで新横浜、福岡で開催してきたICE EXPLOSIONでは、ダークでスタイリッシュな世界観を打ち出してきたが、今回は「スケーターもお客さんも一緒に楽しめる、一体感のあるショーにしたい」と構想を明かした。
小嶋氏は、両備グループ創立115周年記念イベントで「2年以内に岡山でアイスショーを」と約束したことに触れ、「道を切り拓いてくれた大輔さん、それを育ててくれた地元、この温暖な岡山で2つのスケートリンクを運営してくださる方々、県民、市民の皆様方へのお礼を兼ねて、このアイスショーをしたいとお約束しました。約束を果たすことができ、大変うれしく思っています」と語った。また、小学生のころから見守ってきた高橋の魅力として「素晴らしい郷土愛」「飽くなき努力と夢の積み重ね」「少年のころから変わらない素直さと人間性」の3点を挙げ、「それらすべてが演技に生きている」と称賛。「地元、そして日本や世界の子どもたちに夢を与える、サプライズのあるショーを楽しんでいただきたい」と期待を込めた。
高橋大輔「スケートの迫力と楽しさを、生で体感してほしい」
挨拶と概要発表のあとには、地元メディアを中心に質疑応答が行われた。
―― 故郷・岡山で開催する意味と、「The ORIGIN」というタイトルに込めた思いを聞かせてください。
高橋 岡山でアイスショーをやりたいという気持ちは、ずっと前からありました。浅田真央ちゃんがサンクスツアーで倉敷でのショーをやったときに、先を越されたと思ったくらい。(笑)ぼく自身、いちばん最初に岡山でアイスショーをやりたかったくらいで。ただカテゴリーを変えたり、自分のなかで1回目の引退のときにはけじめがついていなかったですし、すごく遅くなってしまったなという気持ちはあるんですが、人生一度でいいから、本当の地元の岡山で、自分自身がプロデュースするアイスショーを開催したかった。時間はかかりましたが、実現できて本当にうれしく思います。これまでがあったからこそ、素敵なショーを作れるんじゃないかと思っていますし、ぼくもいろいろな仕事をさせていただき、いろいろな感じ方をしてきて、そのなかで作り上げていくものを喜んでいただけるのではないか、自分にとってもやりがいのあるアイスショーにできるんじゃないかと。岡山ではメディアが取り上げてくださり、いい選手も続いて出てきていますが、なかなか生でスケートを見る機会があまりないと思います。岡山国際スケートリンクはすごく近い距離で見られるので、スピードやエッジの音、迫力を体感して楽しんでいただき、「またスケートを見たい」と思っていただけたら、それが普及にもつながると思っています。
―― 一昨年は「氷艶」で桃太郎伝説の温羅を演じましたが、何か地元のネタを仕込んだりは。
高橋 考えてなかったんですけど、いいですね。入れてみようかなと思うんですけれども、何ですかね、地元のネタ。
小嶋 桃五郎? 桃太郎の5番目くらいの。
高橋 (笑)。そういう方向性では考えていなかったので、アイディアとして入れていきたいと思います。岡山のスケーターにアイスショーを体感してもらいたいという思いがあるので、若い子たちやこれから活躍するんじゃないかという子たちに、滑る機会やグループで滑る楽しさみたいなものを感じてもらえるように、取り組んでいきたいなと思っています。
―― 実現に至った経緯は。
小嶋 岡山から世界のフィギュアスケート選手が出てくるとは日本中の人が思っていなかった。それが第60回国体で優勝(成年男子・個人)し、オリンピックから帰ってきて、引退したときに、ぜひ岡山のみなさんに彼の晴れ姿を見ていただきたいと思ったのですが、岡山には大きなスタジアムがないんですね。スケートリンクを張ることにも難色があった。関係者の努力で、今回は岡山国際スケートリンクでやろうと。ただ1回1500人しか入りませんので、選手の皆さんも8回やるのは初めてでは?
高橋 最近はそういうやり方をしております。
小嶋 皆さんの努力、期待と応援でもって、今回岡山でできるようになった。岡山の若者、日本の若者に、努力すれば必ず夢はかなうというところを見ていただきたいなと思っています。
「スケートの温かみや喜び、幸せを自分の感性で作り上げたい」
―― 出演者には、どんな魅力を見せてほしいですか。
高橋 村元哉中さんは、非常にタレント性のある、見た人全員が魅力的に感じられるスケーターですし、ぼくにとっては、アイスダンスのパートナーとして一緒にものづくりをしてきた、安心感のある存在です。村上佳菜子さんは、テレビなどを通してスケートの普及活動もしていますし、見たいと思ってくださる方がたくさんいるんじゃないかと。彼女自身もスケートが大好きで、楽しそうに滑る姿を通してスケートの楽しさが伝わると思います。田中刑事さんは、がっつり後輩だから外せないですし(笑)、さまざまなショーや指導を経験してきた成長を地元の方々に見せてほしい。岡山で育成に携わる無良崇人さんの姿は、子どもたちの憧れにもなるはずだと思っています。小松原美里さんは幼いころから同じクラブで滑ってきた仲間で、アイスダンサーとしてだけでなく、ソロスケーターとしての魅力があふれているので、彼女のソロパフォーマンスを見ていただきたい。それから坂本花織さんは、忙しくて全日程は出られなかったのですが、それでも出てくださるということで。彼女のスピードと迫力は体感するとびっくりするので、ぜひ生で見てもらいたいです。
―― 小嶋会長は、高橋さんをずっと支援してこられて、いちばん驚かれたことはどんなことですか。
小嶋 びっくりがどんどん何乗にもなるんですね。いちばん最初はイタリア(トリノ・オリンピック)に行ったとき、いいところで転んだ。それで次のバンクーバーのときに、私ども和歌山電鐵のたまちゃん駅長のお守りをあげたんです。猫はどこからほおっても着地するからと言って。それが効果があったのかどうか、見事メダリストになった。日本人男子は絶対に世界のメダル、オリンピックのメダルは獲れないと思っていたところ、本当にびっくりしました。2番目のびっくりは、2014年に引退した後、現役復帰したときですね。「大ちゃん、大丈夫?」と思って、私はね、兵庫(復帰戦の会場)に行きましたよ。そこでまたこけたんですよ。うわーと思ったら、その後全部取り返す。これも本当にびっくりした。次はアイスダンスです。2014年の引退会見のあと、「これからどうするの」と聞いたら、「ぼくはダンスが好きだから、ダンスをやりたい」と。「アイスダンスがあるじゃないの」と聞いたら、「ぼくはリフトができないから」と言ったんですね。「男女平等の時代なんだから、男子がリフトをするなんて考えなくたっていいよ、リフトしてもらったらどうだ」といってゲラゲラ笑っていたんですけれども。結果、アイスダンスに出てくださって、リフトしたときにはこれはびっくりしました。リフトするだけでも大変なのに、それで滑っていた。最終的にはびっくりを全部総合すると、思いもつかないことをやってみせるびっくり精神、これが彼の真骨頂です。その驚きの連続というのは、私は大輔さんとこうやって30数年一緒にやってきて、大きな夢を彼からたくさんいただいたと思っております。ありがとうございます。
高橋 ふと言われて思い出しました。そんなこと言ってたなと……。(笑)ちょっと(自分が)重くなっちゃったから、哉中ちゃんと、まだ上げてないですけど、いつか上げる日が来るかもしれないです。(笑)
―― 田中さん、小松原さんは地元で、岡山にゆかりのある方々で作るショーだと思いますが、地元の若いスケーターには、どのような機会を作りたいですか。
高橋 岡山にはいいスケーターがたくさんいます。できれば出せるだけ出したいけど、選抜しなければいけないのは心苦しいところでもあるんですが、成長過程の、ひとつのものが咲いていく芽吹きや希望、また、苦しさや挫折、周囲の支えもあるだろうと思います。そういったものをひとつの話として組み込めればいいなと考えているところです。スケートのかっこよさというよりは、スケートの温かみや喜び、幸せといったものを、自分の感性として作り上げていければと思っています。
―― 子どもたちにとって、どんな場になることを期待していますか。
小嶋 常に新しいものに挑戦し、夢を持ち続ければ必ずやり遂げられる。それは大輔さんの姿を見て本当にそう思いました。今回のショーを見て、子どもたちに大きな夢を持っていただくようにしたい。これからは世界に日本の素晴らしさを問う時代ですから、彼が切り拓いてきた世界というものを、子どもたちが感じて、大きくなるまで自分の宝物にしてくださったらありがたいと思っています。
高橋 原点回帰……。ぼくは大きな目標をもってスケートを始めたのではなく、スケートが楽しくて始めました。小さいころから厳しく指導はされてこなくて、英才教育を受けてないかもしれないんですけど、英才教育を受けてこなかったからこそ、本質として楽しんできたのが、こうやって40歳になっても滑り続けられている理由だと思います。温かくずっと見守ってきてくださったことで、長く続けてこられたのかなと。競技では成績が出ず、自分を追い込んでしまうこともありますが、このショーに出演することで、「スケートって楽しい」と原点に戻れる場所になればうれしいです。スケートをしていない子どもたちにも、知らない世界に触れ、感動したり、自分も頑張ろうと思ったりするきっかけを届けたいです。
―― (ファンクラブサイトからの質問)関東から遠征で行こうと思っていますが、ショー以外の観光や食のおすすめは?
高橋 後楽園じゃないですか? ぼく、じつは行ったことないんですけど、本当に素敵と聞くので。あとご飯は、お魚が美味しいですからね。個人的にはままかりが大好きです。あと、えびめし。
小嶋 後楽園、烏城(岡山城)、旧閑谷学校、倉敷の大原美術館、美観地区。
高橋 そうですね。(笑)
小嶋 忘れてはならないのは瀬戸内海。蒜山(ひるぜん)を中心とする県北も素晴らしい。岡山の素晴らしいところを語り始めたら3日くらいかかるんですが。食べるものは、やはり昔からの「まつりずし」は1回は食べていただきたい。歴史と伝統のなかに岡山の美味しいものが凝縮されています。ぜひ岡山にいらっしゃるのを楽しんでいただきたいです。
高橋 あと、鷲羽山ハイランドのスカイサイクル! めちゃくちゃ怖いんですけど、景色がめちゃくちゃいいので。
―― 「ICE EXPLOSION」はダークで大人のアイスショーというイメージですが、晴れの国岡山での原点回帰、「The ORIGIN」を色に例えると?
高橋 (バックパネルのロゴ色を指して)もう出てます、オレンジです。オレンジ~黄色ですね。やはり晴れの国というところで、ぼくも晴れが好きですし、岡山は本当に雨が少ない。岡山の晴れの夕方がすごく好きなんです。ORIGINは原点という意味なので、生まれるときって温かいような色味がイメージにあったので、黄色がまじったようなオレンジに。今回はあったかいよという感じです。
小嶋 素晴らしい。太陽が輝いているときをイメージしてくれたんだと思うし、本当に岡山の夕日は素晴らしいんですよ。それからまた、オレンジが採れる。日生(ひなせ)のほうはみかんの産地なんです。大輔さんはやはり地元の色を作ってくれた。私は桃太郎だから桃色かと思ったんだけど、違いました。(笑)




