9月18日、地元新潟県の総合ものづくり企業「株式会社SANKA」とスポンサーシップ発表会見を行った中井亜美選手(TOKIOインカラミ)。会見終了後には、そのままホームリンクで公開練習を行い、フリー「巴里のアメリカ人」を中心に中庭健介コーチと振付やジャンプのディテールを確認しました。練習後にメディアの合同インタビューに登場、新たなサポートを得て、ミラノ・コルティナ・オリンピックの銅メダリストとして臨む新シーズンへの意気込みを語りました。
世界選手権はもっと強くなりたいと思えたきっかけ
―― 公開練習のときにリンクにNiziUの曲がかかっていましたが、練習時にはいつもかけているんですか。
中井 自分だけの貸切のときはいつもNiziUさんの曲を流して練習したり、アップのときはいつもNiziUさんを聴いています。
―― NiziUの曲を聴いているときは、どんな気持ちに?
中井 1人で練習しているときはさみしい気持ちにもなるんですけど、NiziUさんの曲を聴いていると、応援してくださっていると感じるし、がんばろうという気持ちになれるのでいつも流しています。
―― 今日は「SWEET NONFICTION」が流れていましたが、お気に入りの1曲ですか。
中井 いろんな曲全部が好きなんですけど、今日はそういう気分だったのであの曲を選びました。
―― 今日の練習の狙いは?
中井 午前中の練習だったので、あまりジャンプメインというより、ステップやスピンのブラッシュアップした部分を重点的に練習したり、軽くジャンプの練習もしました。
―― ややジャンプに苦戦しているようにも見えたのですが。
中井 跳び方とか、コースが去年よりも難しくなっていて、スパイラルからのループになっているので、そこはまだ安定し切っていない部分でもあって、先生と試行錯誤していいかたちになればいいなと思います。
―― 会見のなかで「4年後のフランス・アルプス・オリンピックに出場したい」というお話もありましたが、ミラノ・コルティナ・オリンピックのあとどのように目標設定をしてきましたか。
中井 しっかりとした細かい計画は1年ごとに作っていければいいなと思っていて、(4年は)まだまだ長いと思うんですが、すぐにオリンピックはくると思っているので、今シーズンはまず表現の幅を広げるかたちでタンゴ(SP「ポル・ウナ・カベサ」)に挑戦しています。来シーズンはもっといろんなことに挑戦していければいいなと思っているので、1年1年できることが増えていったらいいなと思います。
―― 競技へのモチベーションはどう感じていますか。
中井 最近はスケート以外の行事がだいぶ減ってきていて、いつも通りの練習のスケジュールに戻ってきているので、そういうスケジュールに戻ると、すごく練習に力も入りますし、やっていてすごく楽しいと思えている期間なので、練習も楽しいです。しっかりした練習も積めているので、いまはいいスケジュールで過ごせていると思います。
―― 今シーズンの挑戦とは?
中井 今シーズンは表現の幅を広げるということで、ショートプログラムでタンゴの曲調に取り組んでいるのがいまいちばんの挑戦かなと思います。
―― ご自身の武器はなんだと感じていますか。
中井 自分自身はやっぱりトリプルアクセルがいちばん大きな武器と言えるのかなと思います。もちろんそれが失敗してしまうと大きく順位も変わりますし、点数にも影響してくるので、しっかり安定して跳んでいきたいと思っています。
―― いまの時点でその完成度を数字で表すと?
中井 まだシーズン始まったばかりで、これからどんどん上げていければいいかなと思っているんですけど、いまはショート、フリーともにノーミスする回数が増えてきていて、プログラムにしっかりアクセルを入れることができているので、シーズン前半にしてはだいぶ高いと思うから……50~60%ぐらいのかたちにはなるのかなと思います。
―― 中井選手の憧れの浅田真央選手はトリプルアクセルについて、「百発百中」といつも話されていました。
中井 もちろん百発百中できるのがいちばんいいと思うんですけど、やっぱり日によって波があったりすると思うので、それもちゃんと受け入れて。成長するためにも必要なことだと思っているので、失敗もあっていい、経験だと思ってこれからも取り組んでいけたらいいと思います。
―― 今季からルールが変わったことによる違いは感じていますか。
中井 この前試合を経験して、ショートプログラムで80点を超えられたというのは、ルール改正してから大きく変わったことかなと思っていて。ジャンプだけじゃなくてステップとかスピンの基礎点も上がっているので、しっかりまとめていくことによって総合的に80点を超えることができたので、ジャンプ以外の大切さをすごく知るようになりました。
―― オリンピックが終わったあとに燃え尽きることはありませんでしたか。
中井 世界選手権の前はどうしても燃え尽きたというか、夢だったオリンピックで銅メダルを獲ることができて、正直、どういうモチベーションで世界選手権に向かったらいいのかわからないまま試合を終えてしまったので、もっといい演技ができたかなと悔しい思いをした。それがあったからこそ、来シーズンに向けてもっとうまくなりたい、強くなりたいと思えたきっかけだったので、そこからはしっかり練習もできましたし、いまも新しい目標に向かってがんばれているので、その経験もよかったことかなと思います。
―― 世界選手権が終わったあとに気持ちはパッと切り替わった?
中井 そうですね。そのあとは燃え尽きた気持ちはどこにもなくて、次に向けてがんばろうという気持ちで、練習をがんばっていました。
―― スケート人生で初めての経験でしたか。
中井 燃え尽きたのはあのオリンピックが初めてで、いままではずっといい演技をしても、また次がんばろうと思えていたんですけど、やっぱり本当に大きな目標をクリアすることができたので、そういう気持ちに少しなったのかなと思います。
―― オリンピックの銅メダルはいまどこに飾っていますか。
中井 いまはリビングの、いろんなもらったものやいままでのトロフィーが飾ってある場所のいちばん真ん中に飾ってあります。
―― 毎日目にする?
中井 そうですね。本当にいまでも現実なのか疑うぐらい。でも、動画を見てオリンピックマークを見ると、やっぱり自分はオリンピックに出たんだなとすごく感じて、周りの人に「銅メダルおめでとう」と言われると、やっとそこで「あ、そうだ。獲ったんだ」という気持ちになるので、少しまだ不思議な気持ちでもあるけど、毎日見るとがんばろうと思えるものの1つです。
―― 先ほど会見で「次の目標はオリンピックに出場すること」という発言がありましたが、あえてメダルについては口にしていなかったのかとも思いました。そのあたりは何か考えがあるのでしょうか。
中井 いえ、とくに何か、メダルを言うか言わないかという意味はそこまではないんですけど、4年後どうなっているかはわからないですし、日本のレベルもどんどん上がってくると思うので、本当に4年後に行けるか行けないか。ちゃんとしっかり練習を積んでいかないと、まず出るだけでもすごく大変なので、しっかり4年後も出場して、出場してから結果にこだわっていけたらいいなと思っています。
―― SANKAさんとスポンサー契約を結ばれましたが、中井選手はこんなものがあったらいいなと思うアイディアはありますか。
中井 いまはお部屋に空気清浄機を置かせていただいて毎日使っていたり……何がいいんだろう? 加湿器とか? 遠征でも持っていくとホテルに置く機会が多いので、そういうのもあったらうれしいなと思います。
今季は麻央ちゃんと過ごす時間が増えていくのかな
―― 10月からグランプリシリーズが始まりますが、そこへ向けては。
中井 あっという間にグランプリシリーズがきてしまうというのは、正直びっくりしているんですけど、けっこういい練習も積めていて、その前にブロックがあるので、しっかりブロックでグランプリの予行練習というか、想定していけたらいいなと先生と話しています。しっかり練習を積んで結果を残すというのをいちばんの目標にがんばっていきたいと思います。
―― 昨シーズンははグランプリに初出場初優勝という鮮烈なデビューでしたが、今季の初戦はどんな大会にしたいですか。
中井 結果にこだわりすぎず、でも(初戦のフランス大会は)去年すごくいい演技をして優勝できた場所でもあるので、少しは意識してしまうかなと思っているんですけど、まずはしっかりやってきたことをすべて出し切れるようなかたちで終われれば結果もついてくると思うので、そこはあまり考えすぎず、いつも通りの自分でできたらいいなと思います。
―― オリンピックシーズンを経て、中井選手からご覧になって中庭健介コーチが変わったと感じるところはありますか。
中井 先生が変わったというのはとくにないかなとは思うんですけど、やっぱり自分の気持ちをより理解してくださって、練習の内容だったり、自分がこうしたいと思うことをやってくれたりするので、そこはオリンピックを経て関係性もすごくよくなったと思いますし、自分自身も先生のことを頼ってできているので、すごくいい関係になっているなと思います。
―― 先日のCS木下グループ杯のときは、男子のフリーを島田麻央選手と観戦していましたが、2人でどんなお話を?
中井 男子の演技を見ながら、「ここでリカバリーするんだ」とか、新しいルールについてけっこう話していて、いろんな結果を見させていただいて、麻央ちゃんとこういうときはこうしたらいいのかなとか、ルールについて今回は話していました。
―― 中井さんから誘ったんですか。
中井 なんか、「観に行く?」みたいな感じになって、「じゃあ、観に行こうか」みたいな感じで、2人で観に行きました。(笑)
―― 2人でいるときは、プライベートな話もするんですか。
中井 朝ごはんをほぼ毎日一緒に行って、そのときはそこまでプライベートな話はしなくて、試合のこととか、「緊張するね」とか話していました。
―― 2人で過ごすのは久しぶり?
中井 そうですね。去年はずっとシニアのお姉さん方と一緒に過ごす時間が多かったので、今シーズンは麻央ちゃんと過ごす時間が増えていくのかなと。久しぶりに話せてうれしいです。
―― 中庭先生とは4年のスパンで計画を話しているんでしょうか。
中井 最終的な目標としてはもちろん4年後のオリンピックに出場すると考えていて。でも、その間の、今年を抜いての2年間、3年間はまだそこまで細かく考えてはいなくて、まずこの1年をどれだけよくするかというのに、いまは集中しているので、1年単位で考えています。
―― 今季のSP、フリーの点数は目標を設定していますか。
中井 木下杯のときは正直、ショートプログラム、フリープログラムの点数はあまり気にしていなくて、やっぱりルール改正があって、自分のいまのこの演技でどれぐらい出せるかを木下杯のときに知れて。ショートプログラムはノーミスの演技ができたので80点出せてすごくよかったんですけど、フリーはまだまとまり切れていなかったので、想定の点数が出せなかったのはすごく悔しい。この経験を経て、どのくらい点数が出るのかは楽しみなことの1つです。
―― SANKAさんのスポンサーのお話を聞いたときの率直な気持ちを教えてください。
中井 初めて聞いたときは、スポンサーになっていただけるというのは簡単なことではないですし、すごくありがたいなと思っていて。それプラス、地元の新潟の会社の方からたくさん応援していただけることがすごくうれしくて、新潟のみなさんにたくさん応援していただいているんだなというのを改めて実感できたので、すごくうれしかったです。
―― 新潟でフィギュアスケートをがんばっている子どもたちに伝えたいことは、どんなことですか。
中井 私も新潟で始めて、楽しかった思い出ばかりで。もちろん試合では悔しい思いを何回もしたけど、そういう経験があったからこそ、いまこうやってがんばれていると思います。毎日楽しく練習して、キツい練習もあると思うんですけど、それも乗り越えていけば、いい結果もついてくると思うので、楽しみながらがんばってほしいなと思います。
―― 今回、SANKAさんがスポンサーシップのきっかけについて「オリンピックの演技に感動して」というお話がありましたが、ご自身の演技が人に感動届けられているということについては、ご自身ではどんなふうに感じていますか。
中井 自分も浅田真央さんの演技に憧れて始めて、いま自分はオリンピックに出て、小さい子とかが(自分の演技を見て)スケートを始めたという声を聞くと、自分自身もそういう存在になれたんだとうれしい気持ちになります。こうやって自分自身のいい演技が会長さんたちの目に留まったり、そうやってたくさんの人に見ていただけたことがすごくうれしいなと、いまでも自分はびっくりしています。



