真夏の氷上祭典「THE ICE 2024」東京公演が7月27日、LaLa arena TOKYO-BAYで開幕しました。宇野昌磨を筆頭に、チャ・ジュンファン、イリア・マリニン、三浦佳生ら男子スケーターを中心にしたメンバーたちが、太鼓芸能集団・鼓童とのコラボレーションをまじえて、先週の愛知公演からさらにパワーアップしたパフォーマンスを繰り広げました。
第１部のクライマックス、宇野＆ジュンファンの「トゥーランドット」
これまで愛知、大阪を中心に、新潟、日光、八戸、盛岡など各地で行われてきたTHE ICE。このたび、開業したばかりの南船橋の新アリーナ・LaLa arena TOKYO-BAYで、初の東京公演開催となった。真新しいすりばち型の見やすいアリーナで、酷暑のなか、目いっぱいの楽しさと清涼感を運ぶ夏のショーが展開された。
世界トップクラスの男子スケーター＆カップルスケーター、そしてゲストに太鼓パフォーマンスの「鼓童」を迎えるというメンバーで開幕した今年のTHE ICE。オープニングに続いて、パワフルな演技が続々と披露された。まずラトビアのデニス・ヴァシリエフスのSP「Helix-Domenico Torti’s Headspin」。フレンチエレクトロに乗って、キレのいいダンスで新境地を開拓。三浦佳生は優しい表情もまじえたEX「マイラ」で魅せた。ジョージアのニカ・エガゼがSPストロマエ「L’enfer」でダイナミックに、カザフスタンのミハイル・シャイドロフがスケールの大きなSP「DUNE」で才能を全開にする。ここで登場したのが今回ナビゲーターを務める宮原知子＆ジャン=ルック・ベイカー。スケートの妙と場回しを心得た熟練の2人が、スケートに、進行にと全体を通して大活躍だ。
ケヴィン・エイモズ「Everybody」は相変わらず密度の濃い振付で満場をクギづけにする、まさにダンスの申し子。これが競技プログラム（SP）だというのだから驚きだ。続いて、マディソン・チョック＆エヴァン・ベイツが白い布をたくみに使ったメロディ・ガルドー「Once I was Loved」でロマンティックなアイスダンスを堪能させる。滑り終えたところに入ってくるガブリエラ・パパダキス＆ギヨーム・シゼロン、エミリー・チャン＆スペンサー・アキラ・ハウ、宮原＆ベイカー、そしてデニス。「Experience」のエモーショナルなピアノと弦に、異なる個性のスケーティングで色彩を重ねていく。デニスの伸びやかな滑りが爽やかな風のように吹き抜け、ラストには中央に立つチョック＆ベイツをみんなで祝福する。ハワイでウェディングを挙げたばかりの2人を、仲間たちが祝うグループナンバー。結束が固いTHE ICEファミリーならではの温かな演出だった。
第1部ラストにして今回の目玉のひとつ、宇野昌磨＆チャ・ジュンファンの「トゥーランドット」へ。宇野は2018年平昌オリンピックのフリーで、ジュンファンは2022年北京オリンピックのフリーで滑った共通のオリンピック・プログラムがコラボレーションに選ばれた。まず氷上に登場した宇野が、気品と重厚感を併せ持つスケーティングを紡ぐ。そこへ合流するジュンファンの、軽みとエレガンスを湛えた滑り。2人が一緒に滑り始めると、持ち味の違いが同じ曲を通して撚り合わされ、同じ振付でシンクロしていく。見ごたえ十分のプログラムを滑り終え、笑顔で観客へあいさつする2人からは、競技とTHE ICEで培われてきた友情と互いへのリスペクトがあふれ出るよう。宇野が引退を迎え、ジュンファンら後進に競技の未来を託していくタイミングでの、貴重なコラボレーションになった。
