「オリンピックコンサート 2023」が6月30日、東京芸術劇場コンサートホールで開催され、宇野昌磨選手、坂本花織選手ら昨シーズン活躍した日本のトップアスリートたちが参加しました。オリンピックコンサートは、オリンピックデーイベントの一環として行われているもので、オリンピック・ムーブメントの推進を目的に、オリンピズムに掲げられたスポーツと文化の融合をかたちにした、映像とフルオーケストラが競演するコンサートです。
宇野選手、坂本選手のほか、体操の橋本大輝選手、フェンシングの江村美咲選手、バトミントンの山口茜選手、ゴルフの馬場咲希選手、ノルディック複合の渡部暁斗選手、スノーボードの長谷川帝勝選手、三木つばき選手、射撃(パラスポーツ)の水田光夏選手、さらに2023ワールドベースボールクラシック(WBC)日本代表チーム監督の栗山英樹氏、2022年サッカーFIFA ワールドカップで審判員として活躍した山下良美氏が参加しました。
「オリンピックコンサート2023」は2部構成。第1部では、THE ORCHESTRA JAPANの生演奏とともに、夏季・冬季両オリンピックの歴史を振り返る映像や、2021年夏に開催された東京オリンピック、2022年冬の北京オリンピックでのアスリートの活躍を映した映像が流れ、オリンピックで巻き起こった感動の嵐を会場によみがえらせました。
第2部は、令和4年度JOCスポーツ賞表彰から始まり、山下泰裕JOC会長から受賞者を代表して最優秀賞の橋本大輝選手らに表彰状と記念品が手渡されました。その後、ナビゲーターの俳優・藤本隆宏(ソウル・オリンピック、バルセロナ・オリンピックに競泳選手として出場)の進行で、アスリートたちによるトークコーナーが行われました。
宇野昌磨、坂本花織のコメント
ーー シーズンを振り返って
宇野 結果としましては素晴らしいシーズンを送ることができました。自分がさらにもう1年前のシーズンで目指していた結果を残したその翌年、モチベーションが下がることなく、いい1年を送れたなと思います。自分のやりたいことが出し切れたからこそ、また新たな自分を見つけ出し、新たな成長に向けて、これからもがんばっていきたいと思います。
坂本 オリンピックでメダルを獲って、世界選手権で初めて金メダルを獲った次のシーズンだったので、どうしてもモチベーションが下がってしまって。思うようにいかなかった試合がたくさんあったんですけど、なんとかシーズンの真ん中あたりで気持ちを取り戻すことができたので、最後の世界選手権でまた金メダルを獲って連覇することができたので。最終的に結果はよかったんですけど、シーズンを通してってなると、やっぱり悔いの残るシーズンだったので、来シーズンはスタートダッシュからいいシーズンにしたいと思ってます。
ーー フィギュアスケートと音楽について
宇野 音楽は、割とフィギュアスケートは、アップテンポというよりかはスローテンポの音楽のほうが、フィギュアスケートの滑るという特性上、あまり体の動きを止めない、流れがあるという観点からして、滑りやすいのかなっていうところもあるんですけれども。でもどの音楽を使うのも自由なので、いい意味でスケートらしくない音楽っていうのも、また1つのやり方なのかなと思います。
坂本 最近のフィギュアスケートって、前はクラシックとか、バレエ音楽を使っていたんですが、いろんな音楽を使ったりとか、ジャンルもいろんなものが出て、見せ方もその人その人それぞれというか。見せ方とか、引き出しがたくさんあると思うので、それはやっぱり一昔前よりは見てても楽しいんじゃないかなって思ってます。
ーー これからの目標について
宇野 昨シーズン、本当に自分が思い描いていたスケートというものは、競技のなかでしっかり残すことができました。それと同時に、結果を目指したスケートではなく、自分が小さい頃から思い描いていた憧れのスケートっていうものをどのように表現していくかというのを、今後がんばっていきたいなと思っています。
坂本 ミラノ・オリンピックに向けていま進んでいるところなので、そこを目標として1年1年大事にしていかないといけないので、来シーズン自分の魅力をしっかり出せるように滑っていきたいなと思っています。
また、今年3月に行われたWBCで侍ジャパンを優勝に導いた栗山英樹監督は「本当に(オリンピック映像を)見ながら感動していましたし、おじさんとしては、これだけいろいろな若い人たちに縁があって、けっこう俺感動してます!」と場を和ませた後、「これだけ若い人たちが、人生をかけて、命をかけてスポーツをやってくれている。その姿をしっかり感じて、しっかり伝えて、そういうふうなスポーツの世界になって、日本が元気になるように。ぼくも全力でいきますけど、みなさんもぜひがんばってください!」と、ともにステージに上がった若いアスリートたちにエールを送りました。
トークの後、THE ORCHESTRA JAPANや二期会所属の声楽家たちによって「栄光の架橋」や「オリンピック賛歌」などが披露されて、コンサートは終了。
終演後にはフェンシングの江村美咲選手とバトミントンの山口茜選手がメディアの取材に応じ、江村選手は「高校生のときに1回登壇させてもらったことがあって、それ以来だったんですけど、そのとき以上に感動して何回も涙ぐみました」と話しました。アスリートトークの際、舞台裏で初対面の坂本選手と言葉を交わしたというエピソードを披露した山口選手は「前に立つのはすごく緊張したんですけど、小学生のときにオーケストラ(の演奏)を聴いたことがあってすごく感動して。それ以来の機会だったので、すごく感動しました」とコンサートを振り返りました。
なお7月15日には、「オリンピックコンサート2023 in 長野~長野1998冬季大会開催25周年記念~」が長野市芸術館メインホールで開催される予定です。