5月12~14日に福岡で開催される「ICE EXPLOSION 2023 in FUKUOKA」の前日リハーサルが11日、メディアに公開されました。現役引退を表明した村元哉中&高橋大輔組がプロとして最初の滑りを披露するほか、現役からは渡辺倫果、友野一希、佐藤駿、三宅星南、森口澄士ら、プロからは荒川静香、マッシモ・スカリ、ケイトリン・ウィーバー&アンドルー・ポジェ、村上佳菜子らが参加し、高橋大輔プロデュースのもと、4月1日に新装オープンしたオーヴィジョンアイスアリーナ福岡(旧パピオアイスアリーナ)で洗練のパフォーマンスを繰り広げます。
村元&高橋組は、2022-2023シーズンのEXナンバー「Love Goes」を披露。アイスショーや試合のエキシビションでのパフォーマンスを重ねてきたプログラムで、繊細な心の交歓を描いてさらに円熟の境地を見せた。
高橋はプロデュースでも個性を全開にしており、とくにグループナンバーから個々のスケーターのプログラムへ、そしてまたグループナンバーへとシームレスに接続する第2部は、物語のある演劇作品のような充実した構成となっている。その最後で、アニメ『ギルティクラウン』「krOnë」を滑った高橋。長い裾を優雅にはためかせたエモーショナルな滑りで、カリスマ的な魅力を存分に発揮した。
現役選手からは、近未来的な男性陣のグループナンバーとも響き合いつつ、友野一希がダフト・パンクに乗って十八番のロボットダンスで魅せる。女性グループナンバーから引き継いでアリアナ・グランデの曲で舞った渡辺倫果はガールズパワーを満開に。力強いスケートを見せた佐藤駿は、村元&マッシモ・スカリに導かれる演出もあいまって、新世代の希望を感じさせるシークエンスを作り上げた。
三宅星南の「ジプシー・キングス・メドレー」は、尊敬する先輩・高橋大輔の「eye」などシングル時代の演技をほうふつとさせるような振付も散りばめられており、高橋に憧れて競技を続けてきた三宅の現在を見せてあまりある演技。森口澄士の目の覚めるようなイエローのジャケットをまとったロックなナンバーも注目だ。
グループナンバーの振付にはケイトリン・ウィーバーらメンバーも参画していて、まさに全員で作り上げるショーになっている。プロスケーターでは、オープニングを率いるマッシモ・スカリや、要所で存在感を発揮し、女性3人のトリオプログラムでも美しい滑りを見せた荒川静香、さらに工夫満載の楽しませるナンバーを演じる村上佳菜子、コケティッシュな滑りの本郷理華らの滑りも見応え十分だ。
かなだい、プロ初登場に寄せて
公演初日を翌日に控えて、熱を込めて行われたゲネプロ終了後、共同取材に臨んだ村元&高橋。1月に横浜で行った公演を、5月に福岡で再演とあって、高橋は「またできるとは」と笑顔を見せた。「グループナンバーにも、演目の流れにもこだわった。みんなでひとつの作品を作るショー」とし、現役引退後初の滑りについて、「終わりではあるんですけど、始まりでもある。福岡が大好きなので、みなさんが楽しんでもらえるようなアイスショーが作れてうれしい」と力強く語った。
村元は「大ちゃんは本当にクリエイティブ。一人ひとりの魅力を最大限に引き出してくれる」。アイスダンスに転向して初めて出場した試合が同じリンク(当時のパピオアイスアリーナ)だったと懐かしんだ。
「ICE EXPLOSION 2023 in FUKUOKA」は5月12日から3日間開催される。閉鎖の危機に見舞われながら、多くの支援を受けて再開に至り、「オーヴィジョンアイスアリーナ福岡」として4月1日に新生オープンしたアリーナの杮落しともいえる公演だ。かなだいの新出発と、プロデューサーとしての高橋大輔の才能に触れるまたとない機会に期待したい。