山本草太演技後コメント全文「いまやり切る――後悔しない選択をしてきた」
―― 今日の演技を振り返って。
山本 いまやれることを出し切りたいなと思っていたんですが、ミスが出てしまって、そこは残念だなと思います。前回の試合(前)で怪我をしてしまって、そこから治療とか休養に充てて、けっこう滑っていない期間があったので仕方ない部分もある。怪我はいい方向に向かっていると思うので、まずはしっかりと治して万全の状態で、いい練習を、また次の試合に向けてやっていけたらと思うので、まずは明日のフリーでやれることをしっかり出し切れたらなと思います。
―― 練習で滑り始めたのはいつごろからでしたか。
山本 3日前とかで。木下グループ杯が終わってすぐ10日ほど休んでいました。自分的には滑りたかったんですが、いまは我慢のときかなと思い、いろんな治療に時間を充てて、たくさんの方のサポートのおかげでいい方向にいっているので、まずは悪化させないようにというのと、明日またフリーもあるので無理ない範囲でこなしていけたらなと思います。
―― その3日間は、SP、フリーでおもにどちらの練習を?
山本 両方あまり重点を置いて練習する時間はなくて、やれることの確認を3日間ほど。滑り始めて最初は(ジャンプは)シングルから、そしてダブル、トリプルと。今回も先生方は「シングルでもいいんじゃない?」とおっしゃっていたんですけど、意外とよくなってきていて、やれることも徐々に戻ってきたので、いまやれる無理ない範囲の構成で、やろうかなとは思ったので、こういった構成になりました。
―― オリンピックシーズンの難しさを感じることは。
山本 あまりそういったものは正直なくて。けっこう今シーズン入って、いま現在、怪我もあったりとか、こうやっていろんなことがあるなかで、おもしろいなというか。8年前も怪我でこのブロックは回転数を落として出場したりしたので、懐かしい気持ちになって。今回もシングルで出る案もあったんですが、意外とトリプルと4回転も跳べたので、そこはいい方向に向かっていると思いますし、いろんなことがあるシーズンだと思うんですけど、それもなんか……でも! 人間ってすごくて、けっこうわりともう痛みもほぼないくらいに戻ってきているので、また万全の状態でしっかりと練習を積んでいけたらいいなと思った。まずはこの試合で悪化させないようにして、チャレンジャーとグランプリに向けて全力で練習に取り組んでいけたらなと思います。
―― 今後強化したいところについて。
山本 今回は滑り込みが正直足りなかったので、勢いも足りない部分はあったんですけど、オフはしっかり(練習を)積んでこられたと思うので、全然滑ってなかったにしてはまずまずかなと思う部分もあり、課題もありというショートだった。フリーも滑り込めていないので、体力的にも大変にはなってくると思うんですけど、無理ない範囲でいまやれることを出し切れたらなと思います。
―― 木下グループ杯が終わったあとに、もう一度腰の診察を?
山本 そうですね。MRIもまた撮って、レントゲンも撮ったりして。前はけっこうバタバタで木下杯前日に病院入れてもらって撮ってと、行ける病院に入れてもらったという感じだったので、診断もしっかりできていなくて。ヘルニアではなかったので、木下杯終わってからも診断してもらって。そういった感じで治療に充てていい方向には向かっているので、自分も周りの方々も安心できたかなと思います。そこで滑れる範囲ではあったんですけど、いまは我慢のときかなと思い、しっかり休養に充てました。
―― ある意味では、スケートを離れて考えられる時間になったのでは。
山本 今シーズン3試合やってみて、けっこうジャンプにフォーカスした練習が多かったんですけど、まったく滑れなくなって、自分のプログラムの意味とか解釈をまた改めて調べ直したりだとか、ショートは3シーズン目になるんですが、フリーのほうで自分で表現し切れていない、滑り切れていない、自分のものにできていないというのはものすごく感じていたので、またいま一度、自分のフリーの「ハレルヤ」というものが何なのかを調べ直して表現を重点的に意識する考えで、本当にこの数日ですが、練習に充てたので、体力的に大変な部分はあると思うんですけど、何か自分が感じている思いを、フリーでとくに表現できたらなと思っています。
―― では、怪我があったなかでもいいステップを踏めている?
山本 今回も万全な状態ではなかったと思うんですけど、いまやれることを出し切りたいという思いではありました。そのなかでも、まとめ切る力は必要になってくると思うので、今日はまず反省して、明日も無理ない範囲でやり切れたらなと思いました。
―― 木下グループ杯の直後の腰の状態について。
山本 木下杯の直前と木下杯(大会中)がけっこう日常生活でかがむのも痛かったりとか、初日の練習も1回転で痛いという感じだったので、周りは「ここは無理するときじゃない」とおっしゃっていて。本当にいろんな先生方、ぼく含めて相談して、木下杯のショートの3時間ぐらい前まで、公式(練習)を含めて出るか相談をしていたんですけど、ぼく自身もいろんな怪我があって、いまどういう感じかとか、これからどういうふうによくなっていくかというのはなんとなく、20年(スケートを)やっているので。怪我もあり、なんとなくの感覚は感じたので、本当に無理するところではないんですけど、不思議なもので、なんか治る。時間は必要かもしれないけど、我慢したら、治療したら、治っていくというのは、いろんな怪我を通して感じてはいたので、「無理ない範囲でやりたいです」と先生に伝えて。そのときはちょっとつらかったんですが、休んでいい方向には向かっていると思うので、引き続き無理ない範囲でまずはしっかり治して万全の状態で練習を積んでいけたらなと思います。
―― では、木下グループ杯に出て悪化したということはなかったんですね。
山本 そうですね。木下杯も構成を落としてやれる範囲でやったので、そこから悪化はせず治療もスムーズにいった。まだ練習不足で滑り切れていない部分は出ているとは思うので、まずは明日のフリーを乗り切って、チャレンジャーとグランプリに向けて練習を積んでいけたらなと思います。
―― 成績や内容よりも、まずは滑り切るということが目標だと。
山本 そうですね。本当にみんなに無理せずと言われ、自分も強くそう感じているので、悪化だけさせないように。そして、いまやれる範囲のことを出し切りたいなと思うので、今日は自分で決めた構成だったんですけど、ミスして……自分で反省して、明日に向けて無理ない範囲でやっていけたらと思います。
―― 木下グループ杯で構成を落としてもある程度の点数は出せていて、今回も3日間の練習でここまでもってこられたのは、ベースの力がついているということでは。
山本 いまやれる範囲でやった構成だったので、ノーミスで滑り切りたいという思いはあったんですけど、そこは、なんだろうな……練習不足、まだ滑り込めていなかったので仕方ない部分はあったんですけど、まだまだ構成的にも滑りも目標点数にも及ばないので、まずは怪我を治して、もっと上げていけたらなと思います。
―― 木下グループ杯で周囲の反対を押し切って出場された際に、意外と頑固なところがあるんだと感じたのですが、ご自分では自身の性格をどうとらえていますか。
山本 そうですね、まあ頑固って言われちゃうんですけど……(笑)けっこう本当に、うーん、なんだろうな。先生方とも相談して、「最終的には草太が決めな」と(山田)満知子先生もおっしゃってくださって、最後は自分で決めたかたちにはなったんですが、自分のスケート人生なので、自分が後悔ないように、そして周りの声もしっかり取り入れながら、一緒に歩んでいけたらなと思う。周りの方々含めて、本当にたくさんの方々のおかげでいまがあると思うので、ちょっと周りをヒヤヒヤさせちゃうと思うんですけれども、無理ない範囲で、そしてまずは治して万全の状態で、いい演技を目指してがんばっていけたらなと思います。
―― 妥協しないのはもともとの性格?
山本 どうだろうな……本当に20年やってきて、怪我だったり、なかなかうまくいかないことも多くて、いろいろあるんですけど、毎シーズン。それでもなんか、「いまやり切る」「あとで後悔しない」選択をしてきたなと思う。これがまた悪化させたら元も子もないんですけど、自分で決めた限り、悪化させないようにしっかりといい方向に必ず持っていけたらなと思います。
―― 20年の経験から、いい方向に持っていけるという確信めいたものがある、と。
山本 いろんな大きな怪我だったり、(練習や試合は)やれる範囲の怪我だったり、本当に毎シーズンあって、練習量を抑える時期、休む時期というのも毎シーズンあるものなので、いまちょっと大丈夫かなという時期とたまたま試合と被っちゃっていますが、しっかり治療に(時間を)充てて、また練習を再開していければ。久々に滑ってみて、意外に感覚の部分は大丈夫だったので、あとは万全な状態に戻して、その状態で練習量をしっかり積んでいけたらなと思っているので、明日も無理ない範囲でやれることを出し切れたらなと思っています。
―― 怪我があったことで、シーズン全体のプランやロードマップの変更を考えていますか。
山本 怪我の原因もクワドフリップだったりとかで、ジャンプを習得する練習には、怪我のリスクもついてきちゃう部分があると思うんですけど、木下杯のときもサルコウまでは戻すことができているので、フリップは無理ない範囲で。まずは怪我を治して、練習できるときがあればやるかもしれないんですけど、まずはサルコウまでの構成でというプランに変更して、木下杯の前もそういった構成で練習していたので、これが終わったらフリップを抜いた構成で練習を積んでいくかなと思います。