全国中学校スケート大会(全中)が2月2~4日、長野県ビッグハットで行われ、普段はジュニアとノービスに分かれて試合を行う中学生たちが大集合。試合はジュニアのルールで行われ、3年生の高橋星名選手と和田薫子選手が初優勝しました。瑞々しい真剣勝負と、模範演技やオフアイスでの弾けっぷりが中学生同士ならではの、中学生の日本一決定戦。大会の模様を、メダリストたちの演技後のインタビューとともにお届けします!

大技成功で1年の成長を見せた男子メダリストたち
男子は、全日本ジュニア選手権2位の高橋星名が計3本のトリプルアクセルを含めてSP、フリーをミスなくまとめ、合計225.16点を獲得。最後のチャンスを掴んで初の全中チャンピオンに輝いた。
前回大会優勝の西野太翔が2位。とくにフリーは初めて4回転サルコウを成功させるなど、ガッツポーズが飛び出す会心の演技。1年次の3位、2年次の1位とあわせて、中学3年間で表彰台を守り続けた。
2年生の岡崎隼士は、全日本ジュニア選手権後に「トリプルアクセルを降りられるようにして全中で入れたい」と次の目標に設定し、フリーで有言実行の挑戦。わずかに回転が足りなかったものの着氷して、前回の2位に続いてメダル獲得となる3位に入った。
男子1位 高橋星名(星槎名古屋3年)

ーー 優勝おめでとうございます。
高橋 ありがとうございます。
ーー フリーを振り返っていかがですか。
高橋 いま、すごく調子がいいわけではなくて、いろいろ不安だったんですけど、最後まで全力を出すことができて、優勝もすることができたので、とてもうれしいです。
ーー 不安があるなかでも今日の演技ができたのは、どういったところがよかったと感じていますか。
高橋 以前よりも1つ1つの(エレメンツに)点もつくようになってきて、去年は怪我であまりジャンプができなかった時期もあったんですが、そんなときでもスケーティングやスピンをしっかり練習してきたので、その努力が今日の演技に繋がったかなと思います。
ーー とくに手応えを感じた部分は?
高橋 まずは今シーズン、だいぶ安定してトリプルアクセルを着氷することができて、ほかのジャンプも、完璧とは言い切れませんが、しっかり全部着氷することができたので、世界ジュニアもこの調子でがんばりたいです。
ーー 世界ジュニア選手権に向けて。
高橋 いま調子も悪くはないので、このまましっかり挑みたいのと、4回転を入れるかはわからないんですけど検討中なので、しっかり練習して臨みたいです。
ーー 世界ジュニア選手権での目標は?
高橋 世界ジュニアに派遣されてすごくうれしいので、自分のベストを尽くせるようにがんばりたいです。
ーー SPに続いてフリーでもトップになっての優勝でした。
高橋 正直、4回転を跳んだ西野(太翔)くんに(フリーで)勝てると思っていなかったです。今シーズン、フリーで少し調子がよくなくてもショートのおかげで1位や順位を守れることが多かったので、フリーも1位になれると思っていなくて、いい経験になりました。
ーー 最後の全中で初優勝となりました。
高橋 1年目はショート、フリーどちらも揃えることができて2位、2年目はショートで少し出遅れたりしたんですが、結果はフリーで巻き返して6位になれた。今年は全中最後なので不安でしかなかったけど、そのなかで優勝できてすごくうれしいです。
ーー プログラムの終盤でリンクのフェンスに接触していたのは、何があったのでしょう?
高橋 あれは、自分でもほとんどノーミスを確信できていたので……ちょっとぶっ飛ばしちゃいました。(笑)スピード出しちゃいました。
ーー スケーティングやスピンの練習をがんばるきっかけにもなったと話していた怪我は、昨年のいつごろでしたか。
高橋 ちょうど1年前ぐらい、ブルーム・オン・アイス(4月)の直前くらいに、膝のオスグッドでジャンプが跳べないくらいすごく痛くて。そのなかでもスケーティングはしっかり練習していたので、その成果が出たかなと思います。(痛めた)膝は左です。
ーー 今シーズンはメダルや優勝を狙える位置で戦うことが多かったと思いますが、今回、最後の全中で勝ち切れたことで、ご自身の精神的な成長をどう感じますか。
高橋 今シーズンはショートで1位になって最終滑走が多くて。初めてショートで1位になったときはもう、メンタルがそのときは弱かったので、フリーでいい演技ができないことが多かったんですが、やっぱり何回もやることでメンタルも強くなってきましたし、今回みたいに前の人がいい演技をしたあとでも自分のベストを尽くせたので、これも成長できたかなと思います。
ーー 中学校3年間でいちばんの思い出は?
高橋 今年から海外で活躍できるようになって、自分が思っていたよりもいろんな試合で成績を残せたので、高校生になってももっといろんな試合で羽ばたきたいです。
男子2位 西野太翔(神奈川中3年)

ーー 4回転サルコウを決めたあとに、トリプルアクセル2本の構成は体力的にいかがでしたか。
西野 すごくきつかったんですけど、試合はもうやるしかないので気持ちで乗り切りました。
ーー 最後の全中の舞台はいかがでしたか。
西野 これで最後なんだなと思って滑って、最終的には滑り切ることができたので、すごくよかったかなと思います。
ーー 冒頭の4回転サルコウが決まった瞬間の気持ちは?
西野 すごくうれしい気持ちと、ここからしっかりまとめ上げるというのを意識していました。
ーー 演技後はガッツポーズも出ましたね。
西野 やり切ったなというのが、いちばんの気持ちでした。
ーー これまででいちばんの演技?
西野 そうですね。今シーズンはフリーがあまりよくなかったので、こうやって最後の大会でしっかりノーミスすることができて、けっこううれしいと思っています。
ーー 練習でも4回転サルコウの確率は上がってきている?
西野 そうですね。最近は確率が上がってきて、けっこう跳べるようになってきた。前はたまに跳べなくなっちゃったりしていたんですけど、だいたい毎日コンスタントに跳べているのでいいかなと思います。
ーー 4回転サルコウを試合で決めるために、最後に必要だったのは何でしたか。
西野 自分のなかでは、正直6分間があまりよくなくて、でも練習してきたから絶対跳べるというのを信じて、それで跳びにいったらいい感じにハマったので、それがよかったのかなと思います。
ーー シーズンを通して4回転の練習の仕方を変えることはありましたか。
西野 試合ごとに、全日本だったり、全日本ジュニアだったり、すごくうまい選手がたくさんいるので、そこで刺激を受けて跳び方を真似してみたり、そういうのを考えながらやっていました。
ーー サルコウに関して、いちばん参考にした選手は?
西野 やっぱり壷井(達也)選手の軽い感じが好きで、それが参考になりました。
ーー 今回、試合で4回転が決まったことで、さらに上へという気持ちになりましたか。
西野 そうですね。やっぱり初めて決まって、この大きな大会で決めることができて、自信につながると思います。
ーー 中学校生活はどんな3年間でしたか。
西野 友だちといろんなことをしたり、スケートもしっかりやってすごく充実した3年間だったと思います。
ーー いちばんの思い出を挙げるとしたら?
西野 う~ん……(熟考)わりとスケートが多かったかな。スケートの合宿とかが普通におもろかったです。
男子3位 岡崎隼士(蒼明学院2年)

ーー 素晴らしいフリーの演技でした。
岡崎 トリプルアクセルも跳べたし、よかったんじゃないかなと思います。
ーー 結果としても満足のいくものでしたか。
岡崎 自分のなかではショートのときから表彰台を狙っていたつもりだったので、目標の順位がとれてよかったです。
ーー 後半グループはいい演技が続いていましたが、どんなメンタリティで臨みましたか。
岡崎 前の松本(悠輝)くんが118点を出していて、「あれ、おれヤバくない?」と思って。それでさらにやる気が出ました。そのなかで、トリプルアクセルの入りのときに力んだらダメだと思って、しっかり締めることを意識して跳べたのでよかったと思います。
ーー アクセル降りたときはどんな気持ちでしたか。
岡崎 「ああ、降りた……」って。降りて流れをつかめた気がしました。
ーー トリプルアクセルに関してはシーズンを通して練習はどのように?
岡崎 波がすごかったです。跳べないときがあったり、調子いいときはすごくよかったりとか。そのなかで力みすぎずに、力をしっかり前に出すということを重点的にやってきました。
ーー フリーだけで言えば、全日本ジュニア選手権より20点ほど上がっていますが、どのような変化が?
岡崎 全日本ジュニアはすべてが沈んでいたというか、のびのび演技ができていなかった。ジャンプがやっぱり沈んでいて、いいジャンプが跳べていなかったので、ルッツとかほかのジャンプもしっかり跳べたので今回はよかったかなと思います。
ーー 全体にジャンプの底上げができた?
岡崎 高さが出てきたと、自分のなかでは思っています。
ーー ご自身が思う自分の持ち味は?
岡崎 表現力が自分のなかではあると思っているので、来季もしっかり自分を出せるようにがんばりたいと思います。
ーー 「白鳥の湖」を滑るにあたってはどのような準備を?
岡崎 バレエの曲なので、それ(バレエの動画)を見て、躍動感や妖しいところをしっかり表現できるようにしました。
ーー 来シーズンの目標を教えてください。
岡崎 トリプルアクセルがまだまだ課題なので、成功率をいかに上げるかと、ほかのジャンプ、スピン、スケーティングもしっかりできるようにがんばりたいと思います。
ーー ジュニアグランプリも視野に入ってくるのでは?
岡崎 自分の実力次第というところです。ほかの人たちもすごくうまい人ばかりなので、そこに少しでも近づいていけるようにがんばります。
>>女子メダリスト 和田薫子選手、上薗恋奈選手、岡万佑子選手インタビュー