男子1位 中田璃士(中京大中京CAN1年)
SPで首位に立ったあと、「ありえないジャンプをやりたい」「(演技後は)大の字は2回やったので、次はうつぶせになりたい」と語っていた中田璃士。年末年始の練習では、4回転フリップや4回転アクセル、さらにはコンビネーションジャンプの2本目に3アクセルをつけるシークエンスの練習も行っていたという。フリーでは4トウ、3アクセル+オイラー+3サルコウ、3アクセルと次々ジャンプを成功させると、終盤のコレオシークエンスにはリーバスジャンプのシングルアクセルを織り交ぜ、ラストポーズのあとは氷に突っ伏してフィニッシュ。有言実行ののち、合計226.52点で勝利した。

ーー 優勝したいまの気持ちは。
中田 すごく緊張していたので解放感があります。
ーー 前日に、ありえないジャンプ、やったことのないジャンプをすると話していましたが、有言実行となりました。
中田 3アクセル+オイラー+3フリップをやりたかったので悔しいですけど、アクセルはできたので、逆の、OKです。
ーー フリーに向けてどう気持ちを作りましたか。
中田 全日本と同じくらい集中をして、やることをやって疲れが出ているので、体力づくりをしたいです。
ーー 全日本選手権での経験は自信になった?
中田 これからは全日本2位という成績があるので、その成績でいろんな人から見られるので、戦っていて恐れられる選手になりたいなと思います。
ーー 中京大中京高校のみなさんとの交流について。
中田 通信と全日制が団体戦は違うので(別チームとしての出場)、それが悔しいです。一緒だったら優勝できたのに。
ーー 全日本選手権2位を踏まえると、同世代のなかで負けていられないという気持ちはありますか。
中田 今シーズン、国内だとまだ1回も負けていないので、絶対に負けたくないです。全日本は優勝を狙ってはいなかったので、また違う緊張感がありました。
ーー 演技が終わったあと、うつ伏せになったときの気持ちは?
中田 本当に疲れすぎて、うれしいというよりも立てなかったです。
ーー 昨日の言葉があったので狙っていたのかなと。
中田 狙いはしました、一応。(笑)
ーー 歴史に名を残すとなると、インターハイ3連覇も達成したい?
中田 もちろんです。3連覇はするんですけど、圧倒的差をつけたいです。
ーー 蛯原選手、周藤選手とのエキシビションの練習が、ジャンプ発表会にもなっていました。
中田 あれがいつもの練習の通常通りなので、それをいろんなお客さんに見てもらえると楽しいです。
ーー ものすごく盛り上がっていましたが、お客さんから反応があるとやる気も出ますか。
中田 疲れてなかったら4フリップとか絶対やっていたんですけど、もう脚に力が入らないぐらい疲れていたので。また次あったときはやります。
ーー インターハイの初優勝について。
中田 高校で1番を決める試合で、全中は1回しか出られなくて最高順位が3位だったのでタイトルはないんですけど、インターハイでしっかりタイトルを獲れたのはうれしかったです。
ーー 中京大中京高校は、女子でも島田麻央選手(通信)が優勝しました。
中田 中京は最強です!
ーー ここから世界ジュニア選手権に向けて調子を上げていくだけという感じでしょうか。
中田 そうですね。怪我しない限りあとは上がっていくだけなので。あまり調子悪いとかは感じないので、やることをやって全日本で見せたような演技を世界ジュニアでも見せて、ジュニアでも”勝てないな”と思われる人になりたいです。
ーー 昨季は僅差での2位でしたが、その差を埋めるために必要だったことは?
中田 PCS(演技構成点)は今シーズン出るようになってきたので、ジャンプの出来栄えとかスピンとか。ジャンプは、跳んでいる種類的には自分が(ジュニアで)いちばん上な気がするので、そういうところで自信を持って、去年や今年負けた人たちをぶっ倒したいです。
ーー では、バッティングセンターに行っている時間はなさそうですね。
中田 そうですね……野球クラブに入りたいです。(笑)
ーー 演技後のパフォーマンスは、大の字、うつ伏せとやりましたが、次は?
中田 え~、次……あ! でも今回はうつ伏せの練習だったので、世界ジュニアでもっと完成度を高めてがんばりたいと思います。
男子2位 蛯原大弥(駒場学園1年)

SP、フリーともにメリハリの利いた演技で合計200.07点を獲得して、初めてのインターハイで表彰台に上がった。フリーは切れのある3アクセル+2トウで幕を開け、4トウにも挑戦、上位3選手によるエキシビションの前に行われた氷上練習では、練習中の4回転ルッツを成功させるなど、会場を大いに沸かせた。
ーー 素晴らしいフリーでした。
蛯原 がんばりました!
ーー トリプルアクセルの完成とともに、演技全体のクオリティが上がった印象がありますが、ご自身の感触としては?
蛯原 3回転+3回転とかはクオリティが上がったかなという感じはありますが、まだまだアクセルのクオリティは練習でいいものを跳べているので、本番でもっといいのを跳べるようにしたいなというのがあります。
ーー 4回転ルッツを試合に入れる予定は?
蛯原 練習次第ですかね。いまは本当に遊びみたいな感じで練習しているので、本格的に入れるかはわからないんですけど、遊び感覚で練習しているのも楽しいので、試合は今後のお楽しみくらいの気持ちで見ていてくれたらなと思います。
ーー 来季の目標設定について。
蛯原 今季はジュニアグランプリのときに、4回転をみんな跳んでいると衝撃を受けて、もう今季は4回転に挑戦したいなと思っていた。全日本ジュニアも8位で(全日本選手権への推薦出場ライン)ギリギリになってしまったんですけど、9位になってもいいやという気持ちで(4回転への挑戦を)やっていたので、今季に満足していないとかはなくて。なんならけっこう満足した年になっているので、来シーズンも、たくさんレベルアップした演技ができるように、スケールアップしたなと思ってもらえるようにがんばりたいなと思います。
ーー まずはジュニアグランプリで上位を目指す?
蛯原 そうですね。今季はジュニアグランプリ1戦目5位で、すごく悔しい思いをしたので、去年の悔しさは今年晴らしたいと思います。
ーー 来季はジュニアグランプリファイナルが日本開催ですしね。
蛯原 名古屋のファイナルには本当に出たい気持ちがあって。去年、(来季の)ファイナルが名古屋と決まってからずっと出たいと言っていたので、そこを目標にしたいなと思っています。
ーー 改めて、インターハイ2位という結果を受けて。
蛯原 2番という結果もうれしいですし、何よりちゃんと目標にしていた3アクセル2本、4トウを転んだあともしっかりまとめるというのが出来たのが大きな成果なのかなと思っています。
ーー ジャンプの感触としてとくによかったのは?
蛯原 1本目のアクセルがよかったです。2本目のアクセルがちょっといつもの練習と違うような感じになってしまったので、そこが悔やまれているんですけど、それでも後半の3回転+3回転とか、2アクセル+2アクセルとかもきれいに決まったので、練習の成果が出たのかなと思います。
ーー エキシビションの練習では4回転ルッツを降りてかなりお客さんを沸かせていました。
蛯原 えー。(笑)たまたまなんですけど、やっぱりお客さんのいるところで降りたのはすごく自信になりました。お客さんが盛り上がってくれるほうが楽しいので、どんどん盛り上がってほしいなと思います。
ーー 演技中の歓声は聞こえていますか。
蛯原 試合のときはけっこう集中していて、あまり耳に入ってこないことが多いんですけど、大技降りたときの「わあー!」とか、演技終わったあとの歓声はすごく聞こえてくるので、やっぱりうれしいですね。
ーー 次戦の国スポに向けて。
蛯原 今回、SP65点で70点を超えられなかったので、今回よりもSPでいい演技を目指して。課題は今回たくさん見つかったので、課題をクリアできるようにしたい。フリーでは、最低でも今日の演技ができるように、4回転もそろそろ降りたいのでがんばりたいです。
男子3位 周藤集(ID学園3年)

高校3年生の周藤集が2度目の3位。昨季は、右足首骨折の療養のため出場が叶わなかったが、2年ぶりのインターハイでSP、フリーともに後半に向けてギアを上げていく気迫の演技をやり遂げ、ラストチャンスをものにして再びの表彰台に上がった。
ーー ラストのインターハイで表彰台に乗れたことについて。
周藤 表彰台に乗れたことはとてもうれしいんですけど、同じ(MFアカデミーの)チームメイトである中田璃士くんにどうしても勝ちたいので、今後もっとたくさん練習して勝てるようにがんばりたいです。
ーー そのために、よりがんばっていきたいところはどんなところですか。
周藤 まず自分と比べたときに、スピードが圧倒的に違うところや、ジャンプのうまさ、加点、いろんな部分が挙げられるので、そこを練習していきたいです。
ーー エキシビションは楽しそうな雰囲気でした。
周藤 試合はいつも緊張して表情が固まってしまうので、エキシビションでは仲間たちに見守られてとても楽しく笑顔で滑れました。
ーー 次戦の国スポへの調整について。
周藤 今回ミスした冒頭のトリプルアクセル2本と、引き続き後半のジャンプの練習や、スケーティング、体力面などを見直していきたいです。
ーー 今大会の収穫は?
周藤 やはり後半をまとめられたところや、トリプル+トリプルのコンビネーションをうまく加点つきで決められたことはとても収穫になりました。
ーー 来季に向けて4回転の計画は?
周藤 トウループとサルコウを練習したいと思っています。
ーー 現在の進捗は?
周藤 4回転トウループはクリーンで跳べそうなことがあって、サルコウはまだ半回転ぐらい足りないので、もうちょっとコツを掴んで近づけていけたらいいなと思っています。
ーー 改めて、今日のフリーの演技を振り返って。
周藤 SPもフリーも緊張をすごくしてしまって、それをまず落ち着けるのに集中していたんですけど、冒頭の2本ミスをしてしまい、3本目のときにはとにかく集中して、自分の練習してきたフォームをイメージしながらすべての後半のジャンプを跳ぶようにしたら、うまくはまるようになりました。
ーー フリーの完成度について。
周藤 後半のジャンプはまとめられていい演技だったと思うんですが、ここ2ヵ月ほどはスケーティングをとくに練習してきて、そこが今回、後半疲れてしまって、コレオなどでスピードがもうちょっとほしいなというところで止まりそうになっていたので、そこをもう一度見直して体力面なども鍛えていきたいと思います。
ーー 今回は緊張が大きかったとのことですが、ご自身としては演技に臨むときに緊張はあったほうがいいタイプですか。いまのところベストな心の状態は?
周藤 今回はSPが過去一くらい緊張してしまって。フリーはけっこう落ち着けていたので、焦ってしまうと小さなミスを連発しやすくなるので、気持ちは平常心に近いぐらいがちょうどいいです。
ーー SPのときにそこまで緊張したのは、どういう思いからだったと感じていますか。
周藤 全日本ジュニアが終わってから、ひたすら効率のいい練習を続けてきたので、がんばってきたことをお客さんや関係者などにも見せたいという思いがすごかったので緊張していました。
ーー 4回転はどのくらいから試合に入れていきたい?
周藤 もう来シーズン入ってからはすべての試合で4回転を入れていきたいと思っています。
ーー 中田選手に勝ちたいというお話もありましたが、中田選手もMFアカデミーに来たときに周藤選手の姿を見てがんばろうと思ったとお話しされていました。いいライバルがいる環境について。
周藤 同じ貸切などで(氷に)乗っていて、彼は4回転やセカンドのトリプルアクセルなど高度なジャンプをバンバン跳んでいて、もう本当に「バケモンだろ!」と思いながら(笑)、刺激されながら練習しているので、璃士のジャンプを参考にしたりしていきたいと思います。
ーー ご自身も相手に刺激を与える存在だということについては?
周藤 試合のときとか、今日も「がんばろうな!」と言ったり、自分たちで刺激し合って高めていっているので、そういう部分は自分も誇らしげに思っていきたいと思います。
ーー 来季の目標について。
周藤 来季は最後の全日本ジュニアになるので、そこで優勝したいと思います。グランプリシリーズも2戦しっかり出て表彰台にちゃんと上がって、グランプリファイナルに出場することが目標です。