2024年10月18日
イギリスのアイスショー「HOT ICE」に出演した石塚玲雄さん&依田茉里紗さんのインタビュー&ショーレポート

ブラックプールから現地レポート! 日本人スケーターが英国のアイスショーで活躍

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規模が大きくて大胆な演出

ショー終演後、興奮冷めやらぬ観客に囲まれながらロビーで待っていると、公演を終えたばかりの2人が来てくれた。「イギリスで家族以外の日本人に会うのは初めてです」と笑顔で対応してくれた2人。約30分にわたって、ショーのことやイギリスでの生活について話してくれた。

—— 「HOT ICE」に出演することになったきっかけを教えていただけますか。
石塚 ぼくはこのショーのことをスケート仲間から聞いて知ってから、代表の方に連絡をとって、動画と簡単な履歴書を出しました。
依田 私はInstagamで、「あ、こんなアイスショーがあるんだ」と知って、面白そうだなと思って動画を送りました。

—— 海外のスケーターと共にショーを作るのは初めてかと思いますが、リハーサルはいかがでしたか。
石塚 シングルスケーターですけど、他のみんなといっしょに滑るということがけっこう多いので、他の人たちとタイミングを合わせることはすごく大事だなとリハーサルのときから思ってやっています。
依田 6月の2週目あたりから3週間ほどのリハーサル期間だったのですが、私は自分にいっぱいいっぱいすぎて、いつの間にか3週間が経っていました。これで大丈夫なのかなと思いつつも、ショーの本番が始まったらみんなきっちりやるし、自分も含めて緊張感があるなかでやっています。

—— このショーは「Eternity(永遠)」というタイトルがありつつも、明確なストーリーがあるわけではではなく、抽象的な表現が求められるかと思います。パフォーマンスをするうえで心掛けていることなどはありますか。
石塚 確かにおっしゃる通り「Eternity」っていう1つのテーマはありながら、中身はそんなにすべてがつながるストーリーというわけではありません。1曲1曲にイメージをそれぞれみんなが持っていると思います。最後の曲「Valhalla」はちょっとかっこいい感じの音楽。聞いた話だと、PLEASURE BEACHのアトラクションに同じ「Valhalla」っていう乗り物があって。
依田 遊園地の「Valhalla」っていう乗り物と同じ曲を使っていて、バイキングのイメージです。
石塚 だからみんな力強くかっこよくやっています。

―― 火の演出や水の演出もありますよね。
石塚 日本のショーでも火を使うところはあると思うんですけど、このショーは炎とかをバンバン使うから、やっぱり規模がでかいなあと思いますね。怖くはないけど、たまになんかちょっと熱いときがあるから「大丈夫かな?」みたいな。(笑)
依田 私もこの演出は大胆だなと思います。あったかーいっていう感じですね。(笑)恐怖心よりも好奇心のほうが強いです。

―― 衣装もいままでに着たことがないようなものばかりだと思います。
石塚 衣装は女子のほうが大変じゃない? 男子は日本のショーだったらズボンは黒になると思うんですよ。でもそこが水色なのがやっぱり海外だなっていうのと、派手だからこそ海外のショーなのかなという感じはありますね。
依田 本当に最初は衣装にびっくりしました。「え? これ大丈夫?」って。でも全然みんな堂々としているんです。「透けるけど、だから何?」みたいな。私はやっぱり日本人なので、最初はすごくびっくりしましたけど、もうここまで来たら慣れですよね。まだ恥ずかしいですけど。(笑)すごく確認はします。本番ギリギリまで私は鏡を見ています。




―― スピード感のあるショーで早替えも大変かと思います。
依田 いやあ苦労しましたよね。慣れるのに1~2週間以上かかりました。
石塚 同じく。
依田 衣装も丁寧に扱わないといけないし、床に落としちゃいけないとかたくさん言われるので。急がなきゃいけないけど、やっぱり急いでいると落ちちゃったりして怒られたりとかそういうのはあったりしたかな。あとは間に合わないとか。私はもうドレッシングルームにある椅子や机を全部使って、もう全部セットして。脱いで、着て、はい、出る! みたいな。チャックが上がらないとかだったら衣装さんを呼ぶんですけど、そんな時間もないしという感じですね。
石塚 間に合わないことはありました、ぼくも。リハーサルで間に合わなくて、1個靴カバーをつけたけど、もう片方はつけていないみたいな。いまは、ぼくの場合は必ず上から着る。トップス、その後に下。順番を決めちゃって、取って着て、取って履いてみたいな。リズムを作ってがんばっています。

他のスケーターとルームシェアでの生活

—— 他のスケーターから刺激を受けることは?
石塚 男子スケーターのなかで、いちばん実績があるのはカナダのマットくん(Matthew Markell/2018年カナダジュニア選手権優勝)なんですけど、彼はやっぱり表現力がすごい。練習のときから見ているだけで学べるなという感じがします。
依田 (海外のスケーターは)顔とか身体での表現がすごいんです。身長もあって、さらにそれで大きく見えるし、お化粧も自分に合った骨格でできる。みんなすごく色んな色を使ったり、派手にメイクしていて。スケートの面だけじゃなくてショーに出る者として学ぶことも多いですね。プロは意識が違うなと感じました。

—— 他のメンバーとのコミュニケーションはどのように?
石塚 本当に英語は勉強中で、こうやって海外に長期間滞在するのも初めてです。リハーサル期間中は0のところから作り上げていくので、やっぱりコミュニケーションを取る機会も多くて。がんばってはいましたけど、どうしてもわかんないことも多かったので、けっこう茉里紗ちゃんが助けくれました。そこは本当に感謝。簡単な言葉でもなんとか伝えよう伝えようとしたら、伝わることもたまにあるので、そこはちょっとずつ自信にしてがんばりたいなと思います。
依田 私は小学校はインターナショナルスクールに行っていたので、英語は出来るんですけど、10年くらいしゃべってなかったんです。最初は他のスケーターから英語がしゃべれないんだろうなって思われていて、私の目を見てしゃべってもらえないことも正直多かった。最初はちょっと(その空気に)やられていたんですけど、途中から「しゃべれます!」みたいな雰囲気を出していきましたね。

—— イギリスでの生活はいかがですか。
石塚 スケーター以外と関わる機会は買い物に行ったときぐらいしかないんです。いまがんばっているのは、スーパーマーケットに行ったときに店員さんに何かを聞いたりとか、話しかけたりすることを目標に生活しています。
依田 私はずっと実家暮らしだったので、初めてのルームシェアで、生活リズムの面とかはけっこう最初は苦労しましたね。自炊もしてこなかったので、レシピを必死に見て、作れそうなものから。やっぱり食材も違いますし、味も違うし、調味料も違うので、最初はそういうのには苦労していました。
石塚 ルームシェアと言っても家がいくつかあって、家によってスタイルが違うんです。ぼくがいるところは各部屋にキッチンがある。家は一緒だけど家のなかでちゃんと分かれているんです。
依田 私はお部屋が2LDKみたいな感じで、そこで2人暮らしです。




—— 慣れない生活のなかでのリフレッシュ方法は?
依田 最初はオフの日曜日も疲れているからずっと家にいたり、ちょっと出かけたとしても、近くでご飯を食べたりというくらいだったんですけど、何週間か前にリヴァプールのほうにみんなで遊びに行きました。私はけっこうアクティブな人間なので、これはすごいリフレッシュになるなと思って、最近は毎週日曜日はここから離れるようにしていますね。いまは本当にロンドンに行きたくって。
石塚 行きたいね。でも遠い。
依田 ザ・観光をしたいです。名所に行きたい。食べ物も食べたいし。
石塚 ぼくももちろん体は休めたいけど、それだけじゃリフレッシュにならないから、すぐ近くにビーチがあるので、遠出までは行かなくてもちょっと海を見に行ったりとか。リヴァプールには一緒にぼくも行ったので、観光もしました。ロンドンにも何とか行けたらいいなとは思っています。

自分の目線だけにならないように

―― このショーも残すところ3週間ほどですが、どんなパフォーマンスを届けていきたいか教えてください。
依田 最初はお客さんがいっぱいいて楽しかったのですが、途中から「ああジャンプをやらなきゃ」とか「早着替え間に合わせなきゃ」とか楽しめない自分がいたんですね。お化粧にも苦しんだり、あと網タイツを履いているんですけど、穴が空いてたら自分で直さなきゃいけないんですよ。そういうことを全部やらなくてはいけなくて、それがけっこうメンタルに来ちゃったときも正直ありました。でもあと3週間ってなったら、ここまで来たらもう楽しむしかないと思いますね。
石塚 どの曲もけっこういい曲を使っていると思うので、やっぱり曲をよく聴いて、その曲に合わせた表現がお客さんに伝わるように。自分の目線だけにならないようにしたいなというのは思います。

―― このショーでの経験は、今後どのように生かしていきたいですか。
石塚 ショースケーターって40歳になっても続けられるわけじゃなくて、長くてもここ5年から10年だと思うので、いましかできない。ぼくもこういう経験をさせてもらって、またショーにも携わってみたいなという気持ちでいます。海外に限らず、日本でも選択肢が増えてきているので、いろんなショーを経験したらいろんなスケートを知れるのかなと思います。
依田 私もアイスショーにこれからも出演し続けたいと思っています。自分がきっかけでスケートをしたいな、やってみたいなって思ってくれる子が1人でも増えたらうれしいです。アイスショーをやって思ったんですけど、最初は真顔で座っているお客さんたちも、終わってから笑顔で拍手してくれるというのがやっぱりすっごくうれしくって。なのでこれからもそういうことができたらいいなと思っています。

―― ありがとうございました。残りの3週間が素敵な時間になることを祈っています。
(2024年8月19日に取材)

石塚は現在、「HOT ICE」の姉妹ショー「Holiday on Ice」のドイツ公演に向けてリハーサル真っ只中。「HOT ICE」の2024年公演への出演を皮切りに、2人のますますの活躍が期待される。
また、2025年の「HOT ICE」公演も決定。イギリス旅行の際には、ぜひPLEASURE BEACH RESORTに立ち寄り、「HOT ICE」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

PLEASURE BEACH RESORTへの行き方ガイド
ロンドン・Euston駅から特急Avanti West Coastに乗車
→Preston駅で下車
→Northern RailのBlackpoolsouth行きに乗車
→Blackpool Pleasure Beach駅で下車
→アリーナまで徒歩10分

▶イベント開催情報
HOT ICE 2025
2025年7月10日~9月13日/PLEASURE BEACH RESORT
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