2024年11月21日
世界のトップシーンに新風を吹き込む注目の大学1年生コンビ

CROSS TALK 千葉百音×吉田陽菜「木下アカデミーで自分の力を引き出したい」

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今年3月にカナダ・モントリオールで開催された世界選手権にそろって初出場した千葉百音選手と吉田陽菜選手。名古屋出身の吉田選手はジュニア時代から、仙台出身の千葉選手は昨春から、京都・宇治の木下アカデミーで濱田美栄コーチらの指導を受け、2023-2024シーズンは吉田選手がグランプリファイナルで銅メダルを獲得、千葉選手は四大陸選手権で優勝するなど、世界の舞台での活躍がますます期待される2人です。

4月に行われた木下アカデミーの練習生たちによるアイスショー「ブルーム・オン・アイス」で、“もねはな”対談を決行。同い年のトレーニングメイトとして切磋琢磨する2人に、初めての世界選手権のことやお互いのことを楽しく語り合ってもらいました。

互いの存在に支えられながら初めての世界選手権へ

―― 昨シーズンは2人そろって世界選手権に初出場しましたが、振り返ってどんな舞台でしたか。
千葉 シーズンの初めから世界選手権出場を目標にがんばってきたので、すごく緊張したんですが、世界選手権に出られたという経験がすごくよかったと思います。それと同時に悔しい結果でもあったので、来年はもっと強くなりたいと、強く思いました。
吉田 私はシーズン初めのころは出られると全然思っていなかったので、あの舞台で滑れただけでもうれしかったし、楽しかったです。でも、自分にはいろいろとまだ足りない部分もたくさん感じたので、来年もあの舞台に立ちたいし、今回は全日本選手権がよくなくて、グランプリシリーズの結果がつながるかたちで出られましたが、新シーズンはどの試合も大事にしたいなと思いました。

―― プレッシャーはありましたか。
千葉 世界選手権で、翌シーズンの枠取りがかかっているというプレッシャーをいちばん感じたのは、ショートのときです。もうすごいガチガチに固まってしまって、思うように体がコントロールできない感じだったんですけど、フリーは少し肩の力を抜いて、ここで演技できることに感謝しながら楽しんで滑ることができたかなと思います。
吉田 世界選手権に出るということは、少なからずプレッシャーがあるのは当たり前のことなのかなと。すごく緊張はしたんですが、観客のみなさんも、会場全体としての雰囲気も温かったので、緊張すること自体も楽しんで滑れたと思います。

―― そのなかでお互いがいてよかったなと感じた瞬間は?
千葉 とにかく陽菜ちゃんのショートの表情がすごくいいなと思ったんです! 緊張しているだろうなとは思っていたんですけど、それを跳ね飛ばすぐらいのめっちゃ元気な笑顔で、見ていて元気をもらえました。
吉田 試合に一緒に出られるのも心強いんですが、自分がいちばん心強かったのは、それまでの練習の過程で、一緒に準備をしていけたこと。クラブのみんながどんどんシーズンを終わっていくなかで、初めてシーズンの最後にこんな大きな試合があるので、2人で準備できたのはすごく心強かったです。
千葉 前シーズンまでは、3月まで調子のピークを保つ必要がそこまでなくて、徐々にシーズンが終わっていく感じだったので、調子をピークに保たないといけない大会が最後まであったのは、たしかに難しかったよね。私はシーズン前の春に仙台から木下アカデミーに移ってきて、最初は練習についていくのに精いっぱいという感じだったけど、試合にはだいたい陽菜ちゃんと一緒に出るので、大会に向けて、緊張感を持って、試合への気持ちが伝わるなかで一緒に練習できたのがよかったなと思います。

―― 最初にお互いを知ったのはノービスのころですか?
千葉 野辺山(ノービス選手が集まる全国有望新人発掘合宿)のころですね。それまで私は全日本ノービスにもあまり出てなかったんですけど、唯一、小学6年生のときに野辺山の合宿に出られて、そのときに初めて陽菜ちゃんの存在を知りました。
吉田 初めて知ったのは野辺山で一緒になったときで、印象が強いのはそのあと全日本ジュニア合宿に一緒に行ったときかな。ノービスのときから合宿も試合も一緒だったので、去年、百音ちゃんが木下アカデミーにきたときも全然違和感なかったです。(笑)

コラボ中も見惚れる村元&高橋組の滑り

―― 「ブルーム・オン・アイス」は、木下アカデミーの練習生のみなさんが成果を発表する場にもなっていると思いますが、今年はいかがでしたか。千葉選手は今年が初参加ですね。
千葉 お客さんがすごく盛り上がってくださって、滑っていてとても一体感が感じられるショーだったと思います。
吉田 いつも一緒に練習しているメンバーで作りあげるショーなので、すごく楽しみながらみんなで仲良くできたかなと思います。

―― 始まる前には円陣を組んで気合を入れていましたね。
千葉 森口澄士くんとか、主に男子たち数名が主導になって声をかけてくれていました。

―― 高橋大輔さん、村元哉中さんとのコラボレーション「The Climb」も披露されました。
千葉 しっとりめの曲で、歌詞は力強く目標に向かって突き進むという意味。力強くいきたい気持ちと、少し弱気で不安になっているところの両面を音楽に乗せてしっかり滑ることができたかなと思います。
吉田 いまの私たちにぴったりなテーマの曲なので、みんなありのままの姿で滑れたと思います。
千葉 初めて高橋さん、村元さんと一緒に滑ってみて、やっぱりスケーティングがすごくうまいなと思いました。同じことをやっていても、無駄な力が入っていないのに華やかに見えたりするので、そこがすごいなと思います。
吉田 プログラム中にすれ違ったり、交差したりする振付のときにも自然と哉中ちゃんと大ちゃんのほうを見ちゃう。(笑)
千葉 きれーって、見ちゃうよね。(笑)
吉田 やっぱりすごいなあと思いながら滑っていました。

―― 改めて、木下アカデミーはどんな場所ですか?
千葉 リンクはつねに貸し切り状態で、完璧に近い練習環境だと思うので、あとは自分自身が毎日上達しようという強い気持ちをもって練習することが大事だと思っています。
吉田 トップの選手が集まっているので毎日刺激をもらうし、自分もがんばらないとという気持ちになります。曲かけ練習もたくさんできるし、環境が整っているところなので、ここでより自分の実力を引き出せたらいいなと思います。
千葉 本当にみんな技術レベルが高くて、自分がシニアだから引っ張っていくというより、私もがんばろうとか、できるかもと勇気づけられることのほうが多いです。年齢はアカデミーの女子選手のなかでは上のほうなので、日ごろの態度としてはちゃんと責任ある行動を心がけたいです!
吉田 年下であっても技術とか見習うこともすごくいっぱいあるよね。自分も年上の選手として結果も残したいし、責任をもって練習はするけど、みんなから見習えること、収穫できることもいっぱいあるので、一緒に切磋琢磨していきたいなと思います。

―― それぞれに違った魅力をたくさんお持ちのお2人ですが、お互いの能力でほしいなと思うのはどんなところですか。
千葉 陽菜ちゃんは度胸が強いイメージがあるので、果敢にジャンプを跳びにいく姿勢を見習いたいな。
吉田 やっぱり自分に足りない百音ちゃんの強みは表現力。柔軟性も見習いたいし、1つ1つの動きを丁寧に滑っているので、ちょっと雑になってしまう自分にとっては、そこも見習いたい部分です。
―― ちなみに吉田さんは、度胸は……?
吉田 ある、と言っておきます。(笑)

―― では、今回のインタビューの締めに、「この春夏に私はこうなります!」と読者の方への宣言をお願いできますか。
千葉 やっぱりフィジカル面が弱いというのが今シーズンの反省点の1つとして見つかったことなので、このオフの間にしっかり筋肉をつけて細マッチョになりたいです!
吉田 大学生になったので、オフアイスのトレーニングに力を入れたいと思うのと、学校とスケートの両立が大変ではあるんですが、1日1日を無駄にせずに大切にできる大学生になりたいです!


―― この機会にお互いへ言っておきたいことがあれば、最後にぜひお願いします。
千葉 怪我に気をつけてがんばろう!
吉田 これからもがんばろうね!
―― 新シーズンのご活躍も楽しみにしています。本日はありがとうございました。


新シーズンのグランプリシリーズでは、千葉百音選手がNHK杯とカップ・オブ・チャイナ、吉田陽菜選手がスケートカナダとフィンランディア・トロフィーに出場予定。2選手の活躍に、乞うご期待を!

さらに発売中の「アイスショーの世界10」(表紙:ステファン・ランビエル、ギヨーム・シゼロン)では、「ブルーム・オン・アイス」の模様をダイジェストでご紹介しています。ぜひあわせてお楽しみください! 

プロフィール
■千葉百音(ちば・もね) 2005年5月1日、仙台生まれ。木下アカデミー所属。4歳のときにスケートを始める。2022年全日本ジュニア選手権2位、2023年四大陸選手権3位。2023-2024シーズンは全日本選手権2位、四大陸選手権優勝、世界選手権7位。柔軟性を生かした伸びやかな滑りが魅力。 ■吉田陽菜(よしだ・はな) 2005年8月21日、名古屋生まれ。木下アカデミー所属。6歳のときにスケートを始める。2022年ジュニアグランプリファイナル6位。2023-2024シーズンは、カップ・オブ・チャイナ優勝、グランプリファイナル3位、全日本選手権7位、世界選手権8位。ISUアワード2024最優秀新人賞に選出されたトリプルアクセルジャンパー。
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