あの夏の日、花火の思い出
―― 俳優としては先輩のお2人について、高橋さんから見てすごいなと思ったのはどんな場面でしたか。
高橋 全部です!
山時 いやいやいや。(笑)
高橋 集会所のシーンはとくにそう。2人とも泣きのシーンでしたが、ぼくは役柄的に泣いたらだめじゃないですか。でもリアルに泣きそうになってしまって。そのくらい本当にリアルに、ぐんぐん伝わってくるんですよ。撮影に入る前は普通にラフに喋っているんだけど、スイッチの入り方もプロだなと思って。
山時 だってぼく、古城さんに座布団当ててますからね。本気で当てていいよって言われたから、本気で当てに行きました。
高橋 わっと当てているのに、そのなかにも冷静な部分を持っていて、そこが本当にプロフェッショナルだな、これはもう年齢じゃないなと。仕事として、役者さんとしてずっとやってきた先輩、すごいです! と思いました。
―― 逆にお2人から見た映画初出演の高橋さんはどんなふうに見えていましたか?
高橋 紅子と古城は、結構2人のシーンが多かったんだよね。
中島 そうですね。初めてとは思えないほど、すごく真摯に言葉を紡いでくださって、素晴らしいなと思いました。
山時 人前に立って表現するみたいなところは、やっぱり慣れていらっしゃると思うので、そういうところも含めて勉強になりました。長台詞が多かったので、ずっと練習されていて……。一緒に滑舌練習をしましたよね。ぼくも滑舌が悪いときがあって、悩んでいたので、一緒に練習したこともあります。
高橋 アドバイスもしてくれて、ね。
山時 いや、アドバイスなんてたいそうな話じゃないですけど、ずっと台詞の練習をされていたので、ぼくも「あ、まずい、絶対間違えられない」と思いながら。(笑)
―― 山時さんと中島さんは、いつもどんな心構えをもってお芝居に臨んでいるのでしょうか。
中島 私は演技のときは、その場で会話をしていて、もらった気持ちをそのまま返せたらいいなと思っています。紅子だったら、後半にかけて表情が変わっていくんですけれど、言葉以外のところでもちゃんと紅子の人間としての気持ちの変化が伝わったらいいなと思っていました。
山時 カメラを通して、観てくださった方の心に「矢を射る」という意識はあります。どれだけお客さんの心に届くかというのを意識しつつ、やはりお芝居は会話のキャッチボールで、目の前にいる人と会話して成り立つものなので、両方意識しながら絶妙なラインを自分なりに作ろうと頑張っています。
―― 倉敷の大原美術館での撮影もありましたが、印象的な作品などはありましたか。
高橋 ぼくは大原美術館の学芸員という役柄ですけど、撮影で初めて行ったんです。もう撮影に集中していたから、全然わからない。(笑)
中島 私はモネの絵が好きでした。淡い雰囲気がすごく好きで。撮影中の同じフロアにモネの絵があったので、ずっと見ていました。
―― 映画では、高校生たちが花火を打ち上げることを目指して奮闘します。花火が大事なモチーフになる作品ですけれども、みなさんの花火の思い出は?
山時 いつも地元の友だちと、地元のお祭りで小さな花火大会を見るルーティンがあって、毎回友だちみんなで行っていますね。今年は大きい花火大会に行きたいと思っていたけど、ちょっと難しいかもしれないです。
中島 私は高3の夏に鎌倉の花火に行って、夏の始まりと夏の終わりを一気に感じて、すごく楽しかったのを覚えています。
高橋 子どものときに、毎年おじいちゃんに田舎の花火大会に連れていってもらって、その帰りに蛍を獲って帰るのが定番でした。おじいちゃんっ子だったんです。でもスケートを始めてからは全然行けなくなって、おじいちゃんも亡くなってしまった。本当に小さいころの記憶しかなくて、いまもやっているかわからないけど、大人になったいま、そのお祭りに行ってみたいなという思いはありますね。
スペシャルインタビュー後篇はこちら→
映画「蔵のある街」高橋大輔×山時聡真×中島瑠菜スペシャルインタビュー②
CREDIT
●山時聡真さん
スタイリスト:西村咲喜 ヘアメイク:AZUMA(M-rep by MONDO artist-group)
●中島瑠菜さん
スタイリスト:西村菜月 ヘアメイク:SAKURA(まきうらオフィス)
ワンピース¥17,600 【LAEMUSE】(https://laemuse.online/)
●高橋大輔さん
スタイリング:折原美奈子 ヘアメイク:宇田川恵司
セットアップ¥209,000 衣装協力:DAKS(ダックス)/三共生興ファッション