倉敷を舞台にした映画「蔵のある街」が、8月22日に全国公開されます。公開を前に、今作が映画初出演となる高橋大輔さん(古城緑郎役)と、ダブル主演の山時聡真さん(難波蒼役)、中島瑠菜さん(白神紅子役)の3人が、対談インタビューに登場してくれました! 高校生の青春をみずみずしく演じきった山時さん、中島さんと、それを見守る大人の姿を優しい芝居で描いた高橋さん。倉敷を舞台に行われた撮影でのエピソードや、それぞれの演技に対する姿勢など、さまざまな話題を伺いました。全2回のうち前篇をお送りします。
映画「蔵のある街」は、倉敷に住む高校生たちが、夢を諦めかけた幼馴染みのために、花火を打ち上げることを目指して奔走する物語。彼らの想いが、やがて周囲の人々を巻き込んでいく青春ストーリーです。山田洋次監督のもとで長年助監督と共同脚本を務めた平松恵美子監督が故郷・倉敷に触発されて構想した映画で、高橋さんをはじめ、登場人物に倉敷出身の俳優・前野朋哉さん、MEGUMIさんや地元の人々が出演。美しい倉敷の風景も大きな見どころになっています。
映画「蔵のある街」全国公開を前に
―― いよいよ「蔵のある街」が全国公開となりますが、公開を前にしたいまどんなお気持ちですか。
中島 うれしいですね。倉敷で3週間みっちり撮ったので、みんなそれぞれ思い入れもあるので。
山時 倉敷でも、東京でも、完成披露舞台挨拶が満席と聞いて、本当に温かく迎えられているな、応援されているなと感じています。
高橋 いやあ、ドキドキしています。でも本当に、映画としてすごく素敵な映画になっていると思うので、ぜひいろんな方に見ていただきたいと思っています。
中島 私、大学の先生に倉敷出身の方がいて、「この映画をきっかけに、倉敷に帰ろうと思った」と言ってくださって。ちゃんと伝わっているんだと、すごくうれしかったです。
山時 倉敷でのバルーンリリースなどのイベントをさせていただいたときに、倉敷のみなさんが「おかえり」「よかったよ」と言ってくださって。事前に打ち合わせしてくれていたのかなと思うくらい。そういう感想を聞いたり、拍手やみなさんの表情を見たりしていると、みんなに届いているんだなという実感があります。ぼくたちは東京出身ですけれども、倉敷は第二の故郷になっているなと思いました。
高橋 倉敷の地元の方々にとっても、この映画には本当に素敵な空気であったり、倉敷のよさみたいなものがすごくあったから、誇らしく思いますしね。倉敷出身ではない方々にとっても、故郷に戻ってみようかな、というふうに思える映画になっていると思う。地元のよさを伝えていこうと思う方もたくさんいるんじゃないかな。見ていただいてから、またどんどん派生していくのではというふうに思います。
―― ご自分の故郷が映画の舞台になって、そこに出演されるというのは?
高橋 うれしいですね。知っている場所もあれば、ぼくも当たり前に見ていたけれど、映像で見ると、「あ、こんなに素敵に見えるんだ」と、新しい見え方ができるシーンがすごくたくさんあった。いろいろな視点で地元を見ると、また違ったふうに見えるということを感じました。
―― 撮影を通じて、キャストのみなさんとも仲良くなっていきましたか。
中島 ご飯をみんなで食べたりするときに、年代もぜんぜん違うんですけれど、たくさん話すことによってどんどん距離が近くなる感じがして、すごくつながっているなと思いました。
―― お2人は若い世代ですが、高橋さんの現役時代は……。
高橋 知らないでしょ?
山時 いやいや、知ってます。
高橋 知ってるんだ~。
山時 もちろん知ってますよ!
高橋 この映画がなければ、絶対喋らないじゃないですか。この映画という1つのきっかけで、こうやって知り合うことができて、普段交わらない方たちとお話をさせていただいたなかで、年齢関係なく、学ぶこともあったし、そういった経験はすごく貴重だなと思いました。ぼくは初めての映画なんですけど、みなさん本当にいい人なんですよ。ナチュラルで、フラットで、優しくて。最初はもうめちゃくちゃドキドキしていたんですけど、普通にみんなが喋ってくれるから、「ああよかったー! 優しい現場だ」と思って、うれしかったですね。
山時 それこそ、子どもと大人の壁みたいなところは、この作品の重要な部分だと思うんですけれど、現場ではそういうこともなく、迎え入れてくれました。作中に集会所でのシーンがあるんですけど、そこはみんなにとって課題になっていたシーンで、丸一日かけて撮影するなかで、みんながいちばんいい芝居ができて撮り終わったときに、「よく頑張ったね、ぼくたち」みたいに、またそこでチームが深まったんです。やっぱりつながったという印象はありましたね。