ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックは2月9日、個人戦のスタートとなるアイスダンスのリズムダンスが行われ、23組が出場するなか、ロランス・フルニエ・ボードリー&ギヨーム・シゼロン組(フランス)が90.18点で首位に立ちました。2位には前日に団体で金メダルを獲得したマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組(米国)が89.72点で続き、3位はパイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組(カナダ)が86.18点で追っています。
前日の団体戦表彰式で、表彰台の表面にエッジを傷つける素材が使われており、試合前にブレードの再研磨を余儀なくされた選手もいました。上位の試合後のコメントとともに、団体金メダルのアメリカ代表チョック&ベイツ組と同銅メダルのイタリア代表シャルレーヌ・ギナール&マルコ・ファッブリ組による状況説明もあわせてお伝えします。とくにファッブリ選手が詳しく話してくれました。
ロランス・フルニエ・ボードリー&ギヨーム・シゼロン(フランス)RD1位

―― リズムダンスの演技はどうでしたか。自己ベストの得点が出ました。
シゼロン スコアには満足しています。団体戦より得点を上げるのが目標でした。最大限の力で滑って、その瞬間を楽しもうとしました。観客の方々から大きな声援をいただき、本当に心温まる素晴らしい瞬間でした。
フルニエ・ボードリー 団体戦がアイスブレイクになって、オリンピックの最初の緊張を和らげることができました。今日は開放感をもって少し楽しむことができたと思います。
―― 集中力を保つ工夫はどのように?
シゼロン しっかり集中するのと同時に、演技にはいろんなレイヤーがあって、そこには過去の経験値が生きていると思う。1000個ぐらい気をつけなくちゃいけないポイントがあるけど、体が覚えている部分もあるから。
フルニエ・ボードリー 試合ではある意味で集中を手放して、考えすぎずに自分の体やこれまでの練習を信じるのも大事です。いい練習を積んできたので、それが自信をつけてくれました。
―― チョック&ベイツとの僅差の戦いについては? 彼らは今季で引退を表明していて、戦えるのは今季だけです。
シゼロン 長年一緒に練習してきているからなあ。
フルニエ・ボードリー 観客の方々には面白いシーズンじゃないかと思います。エキサイティングな戦いがこの競技への関心を呼び起こしてくれたらいいなと思うし、新しく結成したチームが活躍できるという可能性も拓けるんじゃないかと。
―― FDまで1日練習日がありますが。
シゼロン オリンピックの氷でFDを滑れるのが1度きりなので楽しみです。同時に、オリンピックにいられる1日をできるかぎり楽しみたい。
フルニエ・ボードリー 氷上での4分間はあっという間です。だからその瞬間を楽しんで、思い出として家に持って帰りたいです。
マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ(米国)RD2位

―― 昨日の団体戦の表彰台でブレードが痛むという問題が起きました。
ベイツ そうですね、ええと、スケートは大丈夫でした。ブレードもいい状態だし、自分たちもいい状態です。全部いい感じです。
チョック 昨日は2時ごろまで起きていました。でも10時間くらい寝られたから。
―― リズムダンスの演技については。
ベイツ 自分たちは強いと信じて滑れました。団体の演技よりもいいくらい。演技終わりのハグとか笑顔、おじぎなんかが、オリンピックの最良の記憶になるだろうなという気がします。自分たちのベストを尽くしてあとは待つだけという達成感。今日の演技を誇りに思っています。
―― 2位でのスタートとなりましたが。
チョック だからといって何も変わりません。いつも通りで、この満足感をもってFDにも臨みたい。
ベイツ 目標は金メダルだけど、それ以上のものがあって、ゴールには複数の要素がある。ここまでの準備だって、オフアイスで誇るべき存在であることだってゴールになりえます。今週はもう目まぐるしくて、夢みたいで、そのすべての瞬間を味わっている。オリンピックが与えてくれるものを最後のしずく1滴まで逃したくないと思います。
―― メダルに不具合がという話も聞こえてきましたが、団体戦の金メダルは大丈夫でしたか?
ベイツ メダルには何の問題もないよ。ゴージャスでビューティフル。もらったとき本当に心がいっぱいになりました。
―― 団体戦の翌日が個人戦ですが、切り替えるのは大変でしたか。
チョック そのつもりで事前から準備してきました。たしかに最高のパフォーマンスを披露するのはエネルギーを使うことだけど、その面でも私たちは経験豊富なので、今日も生きたと思います。
パイパー・ギレス&ポール・ポワリエ(カナダ)RD3位

―― リズムダンスはどうでしたか。
ギレス とても強い気持ちをもってこの試合にやってきました。団体戦では少しプログラムに振り回されてしまったけれど、リセットして今日はしっかり自分たちの演技ができた。緊張を完璧にコントロールできたし、オリンピック・モーメントを作り出すことができたと思います。
ポワリエ 団体戦ではステップのレベルが低かったけど、パイパーが言った通り、ちょっと興奮しすぎてこぼれてしまったんだと思う。団体戦のおかげで集中力を高めることができたし、ステップごとにしっかり注意して、上滑りせずに表現できました。
―― 困難を乗り越え、メダル候補として臨むオリンピックです。Netflixのドキュメンタリーでも描かれましたね。
ギレス (病で休養した)3年前は、メダルを争う日が来るなんて想像していませんでした。オリンピックに出られるかどうかさえ未知数だった。でも毎年努力してきて、スケートを愛し続けてきたことで、競技に復帰することもできた。いまもこのスポーツを愛していますし、もっと達成すること、祝福することが私たちにはたくさんあるはず。あの出来事のおかげで、私たちはよりよい競技者になれた。試合に臨むたびに、これは人生の一部なんだ、周りの人たちがいてくれることはオリンピックのメダルよりも大切なことなんだと気づけるようになりました。そういう視野をもっていれば、もう勝ったも同然なんです。本当にわくわくしているし、氷上での瞬間を祝福し、自分たちの道のりを誇りに思っています。
シャルレーヌ・ギナール&マルコ・ファッブリ(イタリア)RD5位
―― 団体戦で銅メダルを獲得した興奮が今日も残っているのでは。
ファッブリ 表彰式のあとは本当に疲れてしまっていたけれど、スイッチを切り替えて臨みました。昨日の興奮のままで試合をするのはぼくらにはキツすぎる。(笑)みんなでお祝いをしたあと、選手村で落ち着くように努めて、再度集中しました。
―― 表彰台でブレードが痛んでしまったというトラブルについては?
ファッブリ 表彰台の表面が何か変な感じで、滑り止めのコーティングみたいなのがしてあって、小さい石みたいなのが埋め込んであったんだよ。台の上ではわからなかったけど、終わって氷に降りたら、まったく漕げないし、滑らなくなってしまっていた。ブレードに糊を塗りつけたみたいな感じで。だから再研磨しなくてはいけなくて、若干ストレスフルな状況ではあった。でも、次世代に話して聞かせる持ちネタになったかな。ぼくらはありすぎるくらい持ちネタがあるけどね。
―― メダルが破損するという問題は?
ファッブリ いやいや全然。ぼくらはすごく大切に扱っているから。ものすごく注意深くね。
―― 母国のオリンピックでメダルを争うのは7年前くらいから考えてきたことだと思いますが。
ギナール 7年前にはこんなに長く滑って、ここに来るなんて思っていなかった。こんなに長いキャリアになるなんて。
ファッブリ 2018年の平昌オリンピックのときに、競技を辞めようって考えていた。北京のあとも。でも、やってもいいじゃないかと思った。いい判断だったよ。たくさんメダルを獲得して、素晴らしい経験をしてくることができた。でもあのときのぼくらは、今日のぼくたちの姿を想像してはいなかったね。
