同世代のトップランナーとして
今年9月に17歳になった中田は、次代を担う存在だ。年齢制限でミラノ・コルティナ・オリンピックには出られないが、全日本選手権での活躍や、ジュニアの大会の演技内容からも実力は知られるところ。一緒に戦う同世代の選手たちからも一目置かれる。
全日本ジュニア選手権2位で、中田とともにジュニアグランプリファイナルに出場する西野太翔は、中田の1つ前の滑走順でフリーを滑り、自身の演技を終えると、リンクサイドから「いけー!」と大きな声援を送った。
「エグいな」が(中田のフリーを見て)最初に浮かんできた言葉です。すごく上の存在なので、1歩でも近づけるように自分もがんばらなきゃという気持ちになります。(演技を見ているときは)普通に「マジがんばれ!」って。ライバルでもあるし、最高の友だちでもあると思っています。
西野太翔
そして、中田を追いかけるのは同世代だけではない。今シーズン、全日本ノービス選手権に初出場した9歳下の末弟・序珠亜は、兄の4回転を見て「ぼくも4回転を跳んで将来有名人になりたいから」と練習に励んでいる。
演技で負けているのが悔しい
シャープなジャンプ、華やかなオーラに、肝の据わった発言。持ち合わせる資質もスターにふさわしいが、中田が次代のエースと呼ばれる強さの理由は、”理想のフィギュアスケート”を追い求める姿勢にこそあるのかもしれない。
歴代最高得点の圧勝で全日本ジュニア選手権2連覇を達成したあと、取材陣の前で最初に口にしたのはじつは喜びよりも悔しさだった。
最初のジャンプが終わったあとから体力がきつくて、だいぶバテていたので、ジャンプはよかったとしても、ほかの選手と比べて全然滑り込んでいないのがばれれている。そこはうれしいというより悔しいです。
そして、こうも話した。
結果を見たら、フリー170点、ショートも80点で、過去一ジュニアではよかった点数だったと思うんですけど、演技全体を見たときに大弥や太翔と比べて全然よくないので、そういった部分で負けているところが悔しいです。
理想の演技の向こうに、栄光はあるものだ。来シーズンのシニア移行を見据える中田は、だがその前に、叶えたい目標があるのだという。10月にホームリンクでインタビューをした際、全日本選手権に向けての目標を教えてくれた。
同じオリンピックに出るつもりで、本気で優勝を狙っている。
「ワールド・フィギュアスケートNo.104」インタビューより
足の状態と向き合いながら、理想のフィギュアスケートを追い求めながら、1番を目指す17歳のグラディエーター。まずは、12月4日から始まるジュニアグランプリファイナルで、ジュニアのトップ選手たちと顔を合わせる。
今週発売予定の「ワールド・フィギュアスケートNo.104」では、中田璃士選手のロングインタビューを掲載しています。昨年の同時期に行ったインタビューからの変化やジュニアの集大成への向けての思い、さらには18歳で挑戦したいことなど、盛りだくさんお話しいただきました。17歳の今を切り取った撮り下ろし写真もたっぷりです。ぜひチェックしてください!





